第2話 学園生活

朝食を済ませ、教室に向かう5人。


(早乙女 晶 男装)

お前らな、恋バナのひとつでも無いんか?


(北条 刹那 男の娘)

知ってる?源さんのところの鯉、卵産んだんだって。


(九条 蓮 男の娘)

そうそう、それに触発されて、勘次郎さんが立派な錦鯉買ったんだよね!


(早乙女 晶 男装)

その鯉バナじゃねぇ〜!!


(三笘 蘭 男の娘)

知ってる?鯉の洗いって、サラサラした独特の食感に淡白な旨みと甘みがるんだよ?

 

(桐生 聖 男装)

しっかり泥抜きしなきゃいけないがな。


(早乙女 晶 男装)

うがああぁぁぁっ!!

お前らに恋バナ求めたオレが馬鹿だったよ!!



そうこうしているうちに教室に着く。


(生徒:男の娘)

ごきげんよう。


(北条 刹那 男の娘)

ごきげんよう。


(生徒:男装)

お前ら、いつも仲良いなぁ。


(北条 刹那 男の娘)

だって、晶の愛人ですから(照)


(早乙女 晶 男装)

誰が愛人だよ!


(北条 刹那 男の娘)

酷い!あの夏い暑の夜のことは……(涙目)


(早乙女 晶 男装)

ねぇ〜よ!

それを言うなら、暑い夏の夜だろ!


(九条 蓮 男の娘)

そうよ、あんなに激しかったのに(涙目)


(早乙女 晶 男装)

何がだよ!


(三笘 蘭 男の娘)

テトリス(笑)


(桐生 聖 男装)

あゝ、あれは激しかったな(笑)


(早乙女 晶 男装)

そうだったな!忘れてたわ!


(北条 刹那 男の娘)

人間テトリス(照)


(早乙女 晶 男装)

どんなんだよ!

なんで照れんだよ!


(九条 蓮 男の娘)

えっち(照)


(早乙女 晶 男装)

お前ら、頭湧いてるだろ!


(北条 刹那 男の娘)

でも、お風呂入ったじゃない。


(早乙女 晶 男装)

風呂ぐらい入るわ。


(三笘 蘭 男の娘)

えっ?!


(早乙女 晶 男装)

なんで驚くんだよ!そんなに臭うんかよ(涙目)


(北条 刹那 男の娘)

えっちな匂いが……


(九条 蓮 男の娘)

朝から元気よねぇ……


(早乙女 晶 男装)

してねぇ〜わ!


(北条 刹那 男の娘)

シャンプー、何使ってるの?潮?(ニヤッ)


(早乙女 晶 男装)

ほぉ〜、ちょっと来い!


(北条 刹那 男の娘)

えっ?!いや、ここ教室!皆んな見てるってぇ〜(照)


(早乙女 晶 男装)

照れてんじゃねぇ〜!



刹那は晶に教室の隅に押しやられ……


(北条 刹那 男の娘)

嫌ぁ〜ん(嬉)


(早乙女 晶 男装)

喜んでるじゃねぇ〜か!



衆人環視の中……


(北条 刹那 男の娘)

あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡はぁ♡はぁ♡はぁ♡ はぁ♡がっ♡がっ♡がっ♡がっ♡


(早乙女 晶 男装)

はぁ♡はぁ♡はぁ♡ はぁ♡ほんと根性あるわ。


(生徒:男の娘)

やっぱり愛人は違うわね(笑)


(生徒:男装)

大切にしてやりなよ、早乙女(ニヤッ)


(早乙女 晶 男装)

ぬおぉぉぉっ!!



ある意味自爆する早乙女。

まぁ、いつものこった(笑)


授業が始まる。

といっても少し変わっている。

普通の高校教育はしない。

無駄だからだ。

カリキュラムは、漢検、電卓技能検定、暗算検定、英会話、経理、簿記である。

卒業までに、漢検は1級、英会話はネイティブ会話、暗算検定では1級取得を目指し、経理は決算書が読め、簿記は日商簿記や全商簿記を取得するという、実践に即したカリキュラムになっている。

各科目、専門教師がついており、これが就職後に強力な武器になるのだ。

これは延長もできる為、全て最高位を取得してから大学へ進学する者も居る。

意外と多かったりするので、実質高校6年とか普通に居る。

ワザと浪人をするのだ。

高校は3年で卒業しておきながら、浪人プログラムを利用して、高校時に撮り損ねた資格やネイティブ会話を続けるのだ。

大学入学時に第二外国語までネイティブに話せる学園生も普通に居る。

それは大学の就職カリキュラムにも設定されている為、本業の取得以外に取得する者が多数だ。

なので、聖トランサ学園大学院卒業生は最低でも3ヶ国語は話せるのだ。

平均は5ヶ国語といったところか。

人気なのは、英語、ドイツ語、フランス語だ。

それ以外にもスペイン語やポルトガル語、ロシア語や東南アジア圏、アジア圏やアフリカ地域、中東地域など、色々選択できるようになっている。

あくまで実践が目的なので、使わない文法などは省略されている。

その地域での生活が問題なくできるレベルが取得レベルになっている。

それ以上となると、専門語の範囲になるので、その道に進むカリキュラムを選択する事になる。


(桐生 聖 男装)

で、刹那はどの外国語会話を習得するんだ?


(北条 刹那 男の娘)

スワヒリ語とヒンディー語かな。


(早乙女 晶 男装)

まずは英会話を習得しようか。


(北条 刹那 男の娘)

えっ!?


(早乙女 晶 男装)

なんで驚くんだよ!



そんなこんなで授業が始まる。

中学では優秀だった刹那は、授業についていけているが、英会話だけは致命的に遅れている。

入学してまずやる事が英会話だからだ。

早い者は保育園からやっている。

この差はデカい。

しかし、日常会話と日常生活に必要なレベルで良い。

日本の高校のように使わない、使えない英語とは違うので、拙いながらもどうにかこうにかやっていた。

周りも当然協力的で、どんどんレベルを上げていっている。

出来る者が手を差し伸べる、ノブレス・オブリージュ、紳士淑女教育の賜物である。



(北条 刹那 男の娘)

ううっ……


(早乙女 晶 男装)

どうした?


(北条 刹那 男の娘)

産まれる……


(早乙女 晶 男装)

何がだよ!


(九条 蓮 男の娘)

でも、英会話は上達してるよ?刹那。


(北条 刹那 男の娘)

ほんと?なら良かった。


(早乙女 晶 男装)

最初はほとんど喋れなかったからな。


(三笘 蘭 男の娘)

私達は保育園からやってるからね。

その代わり、第二外国語のスタートラインは同じよ。


(九条 蓮 男の娘)

私も来た時は、全く喋れなくて焦ったから、気持ちはよく分かるわ。


(早乙女 晶 男装)

まぁ、そんなに焦らず気楽にやれ。

3浪なんてザラに居る。

それだけこの学園のプログラムは人気なんだ。


(三笘 蘭 男の娘)

私達は3浪する予定よ、大学入学時に第二外国語までネイティブ会話できるのは大きいし。

ネイティブ会話はできるチャンスがあるなら、出来るだけやりたいから。


(桐生 聖 男装)

急いで卒業するより、しっかり身につけてから卒業する方が良い。

この学園の生徒はハイレベルな即戦力と期待されているからな。


(九条 蓮 男の娘)

心配しなくても、親には学園から説明されているよ。

奨学金制度もあるし、寄付もあるから、奨学金返済に苦労する事はない。


(三笘 蘭 男の娘)

自分の年収の何%って決まってるの、生活に差し支えない程度にね。

で、一定額以下なら免除もされる。

生活第一だからね。


(桐生 聖 男装)

系列校なら、奨学金返済が50歳からってのも居るぐらいだ。

もはや寄付だな。

それほど生活第一に考えられている。

だから、ハイクラスな収入を得たら、後輩達の為に寄付するんだよ。

ちなみにこの学園への寄付は非課税だ。

経営者なんか、税金対策で多額の寄付をする者も居るよ。

納税よりも、同志が大切だからね。

納税は他の者がやれば良い。


(北条 刹那 男の娘)

卒業後の家賃とかは?


(桐生 聖 男装)

格安だ。

学園自体、税免除されているからな。

たしか姉妹校提携している"華百合学園"もそのはずだ。

だから生徒にかなり優遇できる。

そうやって守られているからな。

給料にかかる所得税や保険料、年金は払わないといけないがな。

消費税は免除だ。


(北条 刹那 男の娘)

なるほど。


(三笘 蘭 男の娘)

まだというか、分かり合えない事が多いからね。

だから私達は私達で自衛するのよ。

その為の絆ね。

これも私達の先輩達のおかげね、政界進出して法整備で勝ち取ったからね。

面白いのが、聖トランサ学園の卒業生の政党と華百合学園の卒業生の政党は違うのよね。


(桐生 聖 男装)

事あるごとに共闘してるけどな。

一応、性別不一致とトランスジェンダーを分けてるって感じかな。

一緒にしたら、息詰まりません?みたいな。


(三笘 蘭 男の娘)

完全に不一致と自覚している方と、その一歩手前のじゃあ、似て非なるものだからね。

どっちかに合わすのは大変でしょうって感じかな?

目指してるのは同じなんだけどね。


(桐生 聖 男装)

オレ達みたいなのは両校にいるしな。

男装だと言い切るのがウチで、男装とは言われたくないけどなって言うのが華百合だ。

不一致の度合いかな。

まぁ、交流は積極的にやってる。

会ってみたら良い。

刹那はトランスジェンダーなんだろ?女として生きていきたいか?


(北条 刹那 男の娘)

分かんない。

でも、なんか、男は嫌かな。


(三笘 蘭 男の娘)

華百合寄りのウチね。

男を完全に捨てたい、女として生きていくってのが華百合だから。

外科的にとまでは言わないけど。

ウチはその一歩手前よね。

あっ、恋愛、結婚は自由よ、同性婚もあるから。

本人の意識の問題ね。

華百合の方は自分はどっちだって決まってるわ。


(桐生 聖 男装)

そういう意味では、オレは中途半端かな?

オレの意思は男寄りという感じだしな、中性から男寄りかな。


(三笘 蘭 男の娘)

私は男じゃない、男と思われなくないかな。

だからって女性ですって言い切れないわね、中性って感じ。


(北条 刹那 男の娘)

なるほどね。


(桐生 聖 男装)

交流もありゃあ、行き来もある。

いつでも相談にのってくれるよ。

実際、転入なんてザラにある。


(三笘 蘭 男の娘)

姉妹校提携ができて、また多くの同志が救われたしね。


(北条 刹那 男の娘)

ここに入学できて、心底良かったと思うよ。


(早乙女 晶 男装)

まぁ、皆んな同志だ、助け合っていこうや。


(北条 刹那 男の娘)

うん。



良い仲間に恵まれたな、刹那。


(早乙女 晶 男装)

昼だ!学食行くぞ!


(北条 刹那 男の娘)

はい、あなた♡


(早乙女 晶 男装)

誰があなただよ!


(北条 刹那 男の娘)

さぁ?


(早乙女 晶 男装)

オレじゃねぇ〜のかよ!

思わず反応したわ!


(九条 蓮 男の娘)

えっ?そう思ってたの?


(三笘 蘭 男の娘)

あらあら、応援するわよ(ニヤッ)


(桐生 聖 男装)

早乙女、がんばれ(ニヤリ)


(早乙女 晶 男装)

のおぉぉぉっ!!



5人は学食に行く。


(北条 刹那 男の娘)

リブロースステーキ600g、ご飯特盛2つ、野菜サラダとコンソメスープ。


(早乙女 晶 男装)

誰が食うんだよ!そんなに食えねぇ〜よ!(涙目)


(北条 刹那 男の娘)

えっ?


(早乙女 晶 男装)

だからぁ〜……


(北条 刹那 男の娘)

私だけど?


(九条 蓮 男の娘)

刹那って、お肉の時は凄っごく食べるよね。


(北条 刹那 男の娘)

お肉大好き。

で、お肉とご飯は一緒派。


(三笘 蘭 男の娘)

なるほどね。


(桐生 聖 男装)

早乙女(ニヤッ)


(早乙女 晶 男装)

のああぁぁぁっ!!


(北条 刹那 男の娘)

はい、これ飲んで(笑)


(早乙女 晶 男装)

うっせーわ、ん?


(北条 刹那 男の娘)

私のおしっこ(笑)


(早乙女 晶 男装)

ブーッ!何飲ますんだよ!!


(九条 蓮 男の娘)

違うよ、私のおしっこだよ(笑)


(早乙女 晶 男装)

どっちでも一緒だ!!


(三笘 蘭 男の娘)

私の聖水(ニヤッ)


(早乙女 晶 男装)

その界隈なら、ご褒美だろうな!


(桐生 聖 男装)

オレの潮の方が良かったか?(笑)


(早乙女 晶 男装)

どれも要らねぇ〜よ!(涙目)



頼んだメニューが届く。

今の時代、タッチパネルで注文、配膳ロボットが運んでくる。


(早乙女 晶 男装)

凄ぇ〜量だな(ため息)


(北条 刹那 男の娘)

チートデーだから。


(早乙女 晶 男装)

ダイエットか?ほどほどにしろよ。


(北条 刹那 男の娘)

??そんなのしてないよ?


(早乙女 晶 男装)

じゃあ、何のチートデーだよ!!


(北条 刹那 男の娘)

お肉♪


(早乙女 晶 男装)

そ、そうか……


(九条 蓮 男の娘)

なんだかんだで(ニヤッ)


(三笘 蘭 男の娘)

意識してるよね(ニヤッ)


(桐生 聖 男装)

早乙女(ニヤリ)


(早乙女 晶 男装)

のああぁぁぁっ!!


(北条 刹那 男の娘)

仕方ないなぁ……

はい、あーん♡美味しいよ(ニコッ)


(早乙女 晶 男装)

えっ?あ、あゝ……



早乙女はひと口、あーん♡した。

 

(北条 刹那 男の娘)

食べるんだ(ニヤリ)


(早乙女 晶 男装)

・・・あっ。


(九条 蓮 男の娘)

やっぱり(ニヤッ)


(三笘 蘭 男の娘)

素直になっちゃいなさいよ(ニヤッ)


(桐生 聖 男装)

応援するぞ(ニヤリ)


(早乙女 晶 男装)

あ"あ"ぁ”ぁ"ぁ"っ!!



なかなか弄り甲斐のある奴だな、早乙女(笑)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る