聖トランサ学園物語

なぎさセツナ

第1話 私立聖トランサ学園

聖トランサ学園、それは男の娘と男装の生徒のみが通うトランスジェンダーの学園である。

保育園から大学院まであり、最大25年の一貫校でありながら、中途入学も可能な学園である。

それはトランスジェンダーの人権を守り、差別主義者から守る為である。

多様性の時代になりながらも、未だ理解できないクズゴミ共から身の安全を守らなければいけない情けない世の中だからだ。

学園は系列校も含めて4校あり、それぞれの学力に応じて振り分けられるようになっている。

なので、大学、大学院に進めない者には短大や専門学校も用意されており、無理矢理大学院まで進まなくて良いように配慮されている。

人間性の育成は当然だが、中高、特に高校までは学力が優先され、それぞれに合った系列校に配属される。

その為の4段階だ。

また、学費は親の経済力が考慮される為、お金が無いから入学できないという事はない。

可能な限り、救おうという体制ができている。

余裕のある家庭は、同志を救う為に寄付金を用意するほどだ。

高校に入学すると、学力より人間性が最優先される。

そこで絆を構築する為だ。

高度な専門の道に進まないのであれば、既に世の中で生活していく上での知識は習得している。

これからは訳の分からない底辺ゴミクズから身を守ることが必要不可欠であるため、いざという時に助け合いができる必要があるからだ。

当然、高度な専門の道に進んだ者は、率先して手を差し伸べる。

それ以外でも、手に職を付けた専門職が居る、そういう者がいざという時に駆けつけ、同志を守るのだ。

その為にも幅広い絆が必要である。

その絆の構築の為に高校では、学力は二の次になる。

身を守る術を手に入れるのだ。

大学からは、就職対策となり、進みたい道への英才教育が始まる。

卒業後、即戦力になる為だ。

高度大学院に進む為には、もちろん高度な専門職、研究者や医師、薬剤師、検事に弁護士、裁判官、政治家、官僚となる為、大学からは超忙しくなる。

一般職はそこまで忙しくないとはいえ、専門知識の習得に大学院まで進学する。

人生を慎重に選ぶ為に、自主的に、進路変更、留年、降格は出来るようになっており、一度選んだからといって無理して進む必要は無い。

大学からやり直せるのだ。

ただし、いくらなんでもそろそろ諦めましょうという場合には進路変更を勧められ、応じなければ学費を全額自己負担して習得出来るまで足掻くか、中途退学を選ぶか、という事になる。

またその予備軍となるのが聖心トランサ学園の生徒である。

しかし、高卒だから、専門学校卒だからと下に見る者は居ない。

世の中、色々な職業があるからだ。

下支えも無ければ立ち行かなくなる。

それだけに各校との交流も積極的に行われている。

違いはいわゆる学力だけだ。

ついていけなくなり、脱落者を出さない為だ。

人間性に対する教育は徹底して行われる。

皆、同志だからだ。

腐った世の中で、力を合わせて行き抜かなければならない。

なので、この学園関係では、イジメは無い。

徹底して摘発され、もはや改心の余地無しと判断されれば強制退学になる為だ。

それ以外は生徒の自主性を重んじる為、自由な校風である。

また、学園は広大な敷地内にあり、敷地外に出なくても生活していけるようになっている。

学生は敷地内に居る間は、特にお金を使う事はない。

敷地外で活動する為の"お小遣い"は支給されているが。

それは、金銭感覚を失わないようにする為だ。

卒業後、金銭感覚が狂っていた為に破産することの無いように、その辺りの教育もされている。

人間性も重視して教育される為、無料でも独り占めや喧嘩などは起こりにくい。

そういう事が起これば、即補導され、教育されるからだ。

皆、紳士淑女教育を受け、譲り合いの心を大切にしている。

そうなると、あまり使わない者も居るわけで、そういう者は寄付などボランティア活動に力を入れていた。

災害派遣も積極的に行う為、聖トランサ学園系列の生徒というだけで、周りから一目置かれている場合もある。

政治活動も一部では盛んに行われている為、政界進出する者も多く、政党もあり、かなりの発言権もある。

自分達の人権や権利を守るためだ。

この学園の広大な敷地を手に入れたのも、その政治力の賜物である。

どの程度広大かというと、政令都市1都市分の敷地である。

こうなると、なんだかんだで企業は黙ってはいない。

学園生徒なら学園が全額支払うし、模範的な住民達となると、我先に進出してきた。

一大市場になるからだ。

積極的な就活も行われ、色々な企業に就職していった。

その人材が進む道の英才教育を受け、即戦力になるのだ。

当然受け入れ企業側も待遇を優遇し、重用する。

それだけに周りも接し方を考え、下手な事はなかなかしてこない。

それでもしてくるバカは解雇や降格、場合によれば仲間が救済に駆けつけ、裁判や警告になる為、破滅願望でもない限りしてこない。

しかし、そこは紳士淑女教育を受けた卒業生、威張る事なく仕事には真面目に真摯に向き合う為、まともな人達からは可愛いがられた。

理解が深まるのも、ひとえに先輩卒業生達の努力と献身のおかげである。

また、この学園には面白い関係がある。

姉妹校協定を結んでいる学園系列があるのだ。

性別不一致の生徒達が通う"私立華百合学園"だ。

この学園とも積極的に交流が行われており、本人の状況により、生徒の行き来が行われたりする。


(北条 刹那 男の娘)

あっ、ごきげんよう。

 


彼女は北条 刹那、この学園に通う男の娘だ。

北条 刹那?どっかで聞いた名前のような気がするのは作者だけか?

彼女は小学生の頃からトランスジェンダーに憧れていたが、中学まではひた隠しにしていた。

薄々勘づいていたのは母親であった。

母は凄いな。

高校に進学するにあたって、母親から追求を受け、刹那は遂にカミングアウトしたのだ。

しかし、母親は特に驚くことはなく、逆にもっと早くはっきりさせれば良かったと涙した。

刹那は今まで苦しんでいただろうと母親に詫びられ、それなら良い高校があると聖トランサ学園への進学を勧められた。

学費の心配はしなくて良いこと、全寮制だが仲間ができ、将来にわたって安心できるのではないかと。

またトランスジェンダーではなく、性別不一致と判断されれば、姉妹校協定を結んでいる性別不一致の生徒達が通う"私立華百合学園"へ編入してもらえることなど、今後の人生を考えれば、メリットが大きいと。

刹那も学校案内を見て、これは自分の為の学校ではないか?と思うほど惚れ込んだ。

卒業生の就職先も素晴らしいものがあるし。

ここなら自分らしく生きていけると、聖トランサ学園への進学を決めた。

願書を提出したのだが、試験日が書いてない。

持参品に中学で実際に行われた試験の成績と書いてあるだけだった。

後日、面接日が記載された受験票が郵送されてきた。

しかも親の同席は特に必要はないと記載されている。


(北条 刹那 男の娘)

うーん、どうしたらいいかなぁ……



なんだかんだで母親は同席した。

そこで、自分は薄々勘づいていたのに、確かめるのが遅かったこと。

その為にいかに辛い思いをしたであろうということ。

この先の本人の幸せの為には、如何に必要な進学である事など、周りもどん引きの大演説を行った。

最後に本人の意思を確認されたが、自分が自分らしく生きて行くために、是非とも入学したいと答えた。


後日、無事、聖トランサ学園から合格の通知を受け取り、晴れて入学が決まった。

それに伴い、名前も"北条 刹那"、性別"男の娘"と正式に戸籍に登録した。


(九条 蓮 男の娘)

こぎけんよう、刹那。



九条 蓮、この学園に中学から通うクラスメイトの男の娘である。


(早乙女 晶 男装)

オッス!刹那、蓮!



早乙女 晶、彼は小学生の頃からこの学園に通う男装の麗人?である。

あくまで本人談だが(笑)


(早乙女 晶 男装)

学食行こうぜ、朝メシだ。


(北条 刹那 男の娘)

そうだね、朝ご飯は食べないとね。


(九条 蓮 男の娘)

朝食べないと、力出ないよね。



そう言うと、3人は学食へ行く。


(九条 蓮 男の娘)

今日は何にしようかなぁ。

シュガーバタートースト、スクランブルエッグ、ベーコンとオレンジジュースにしよう。


(早乙女 晶 男装)

オレは何にするかなぁ……


(北条 刹那 男の娘)

ナニにするんだって(照)


(九条 蓮 男の娘)

えっち(照)


(早乙女 晶 男装)

そのナニじゃねぇ〜!

えーっと……


(北条 刹那 男の娘)

枝豆、塩サバ、塩辛(半笑)


(早乙女 晶 男装)

なんでだよ!

飲まねぇ〜よ!

捕まるよ!


(九条 蘭:ふたなり)

いつも部屋飲みしてるのに?(ニヤッ)


(早乙女 晶 男装)

してねぇ〜わ!

退学になるやろ!


(北条 刹那 男の娘)

惜しい、韻踏まなかった。


(九条 蓮 男の娘)

さっき踏んだのにねぇ。


(早乙女 晶 男装)

意識してねぇ〜よ!


(北条 刹那 男の娘)

ボクはサーロインステーキ800g、ライス特盛り。


(早乙女 晶 男装)

朝からヘビーだな、おい!


(九条 蓮 男の娘)

って晶なら言うと思った(ニヤッ)


(早乙女 晶 男装)

朝から胃もたれするわ!


(北条 刹那 男の娘)

そんな貴方にはい、樋屋奇応丸。


(早乙女 晶 男装)

夜泣きはしてねぇ〜!


(九条 蓮 男の娘)

えっ?泣き上戸じゃん(真顔)


(北条 刹那 男の娘)

いつも泣きながら、あたりめ噛みしめてるじゃん(真顔)


(早乙女 晶 男装)

してねぇ〜!

なんで酒飲んでんのが前提なんだよ!


(北条 刹那 男の娘)

晶だから。


(九条 蓮 男の娘)

晶だもんね。


(早乙女 晶 男装)

そのことについて、一度よく話し合おうか、身体で!


(北条 刹那 男の娘)

えっち(照)


(九条 蓮 男の娘)

変態(照)


(早乙女 晶 男装)

なんでだよ!

照れてんじゃねぇ〜よ!


(北条 刹那 男の娘)

早く頼んだら?晶。


(九条 蓮 男の娘)

そうだよ、食べないの?


(早乙女 晶 男装)

いつの間に頼んだんだよ!

しれっと注文してんじゃねぇ〜よ!(涙目)


(三笘 蘭 男の娘)

あら、ごきげんよう。


(桐生 聖 男装)

お前らも朝飯か?



三笘 蘭、桐生 聖、ふたりは保育園からの幼馴染だ。

いつもこの5人は仲が良く、連んでいる。


(九条 蓮 男の娘)

聞いてよ、晶ったら、朝から枝豆、だし巻き卵、塩辛なんて頼む気なんだよ?


(桐生 聖 男装)

朝から飲むんかい!


(三笘 蘭 男の娘)

退学になっても知らないよ?


(早乙女 晶 男装)

飲まねぇ〜よ!

なんで飲むのが前提になるんだよ!(涙目)


(三笘 蘭 男の娘)

うーん……晶だから?


(桐生 聖 男装)

そうなるか……


(早乙女 晶 男装)

ならねぇ〜よ!(半泣)


(北条 刹那 男の娘)

もう分かったから、はい、晶、迎え酒(ニヤッ)


(早乙女 晶 男装)

なんで学食に酒があるんだよ!

しかもコップに透明な液体で言うな!


(北条 刹那 男の娘)

お猪口じゃ足りないでしょ?


(早乙女 晶 男装)

酒前提で、話を進めるな!(涙)

お前、一回身体で分からせてやる!


(北条 刹那 男の娘)

優しくしてね♡


(早乙女 晶 男装)

あゝ、優しくしてやるよ、避妊も完璧だ、覚悟しろや!


(北条 刹那 男の娘)

えっ?今?ここで?


(早乙女 晶 男装)

いいからちょっと来い!


(北条 刹那 男の娘)

えっ?えっ?えっ?……



そのまま柱の陰に引きずり込まれた。


(北条 刹那 男の娘)

あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡がっ♡がっ♡がっ♡がっ♡


(早乙女 晶 男装)

はぁ♡はぁ♡はぁ♡ はぁ♡これで少しは分かったろ。


(九条 蓮 男の娘)

ありゃりゃ……


(三笘 蘭 男の娘)

また派手に姦ったねぇ(ニヤッ)


(桐生 聖 男装)

まあ、平常運転っちゃあ、平常運転だがな(ニヤッ)



彼、彼女らにとっては、他愛のない日常の1コマであった。


(早乙女 晶 男装)

コイツ、ワザとやってねぇか?


(九条 蓮 男の娘)

まぁ、ネコだからね(ニヤリ)


(三笘 蘭 男の娘)

ネコだよね(ニヤリ)


(桐生 聖 男装)

可愛いい子猫ちゃんだな(ニヤッ)


(早乙女 晶 男装)

薄々勘づいてたが、やっぱりそうか。

これからもっと楽しくなりそうだ(ニヤッ)


(三笘 蘭 男の娘)

妊娠禁止よ。


(早乙女 晶 男装)

わーってる。

中絶も退学する気もねぇ〜、避妊は確実にする(ニヤリ)


(北条 刹那 男の娘)

にっ、にっ、妊娠王にオレはなる!


(早乙女 晶 男装)

ほう、もう一度こい(ニヤリ)


 

柱の陰に引きずり込む。


(北条 刹那 男の娘)

あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡がっ♡がっ♡がっ♡がっ♡


(早乙女 晶 男装)

はぁ♡はぁ♡はぁ♡ はぁ♡その根性だけは認めてやるわ。


(桐生 聖 男装)

相当の子猫ちゃんだな。


(三笘 蘭 男の娘)

ネコと言うより……


(九条 蓮 男の娘)

バリネコだね。

ちょっとやそっとのネコじゃない。


(桐生 聖 男装)

ただ、Mじゃない、そこはしっかり理解しないとな。


(九条 蓮 男の娘)

でも、ソフトSMなら大丈夫そうな気がする。


(三笘 蘭 男の娘)

まあ、怪我させたり、汚いことしなければね。

洒落の範囲は気をつけないと、イジメになったらいけないから。


(早乙女 晶 男装)

ツッコミとボケなら、どっちだ?

どっちもいけそうなんだが。


(桐生 聖 男装)

フリとボケかな。

アッチは突っ込まれだろう。

突っ込まされもな(ニヤッ)



お前ら、今日も平和だなぁ〜(笑)

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