第10話

検索画面結果には、

『東山街の沼田村で起こった悲惨な事件……礼和10年◯月△日……トラック運転手の……飲酒運転による交通事故で、横断歩道を渡っていた……当時、8歳の杉原春人君と父親の杉原……が……により、死亡………』


その時、パソコン横に出して置いていた、スマホが震えて、ラインのメッセージが浮かぶ。


『里奈さん、うちの主人と春人の事調べてるの?』


そのメッセージを見た途端に、背筋が、ピンと張り、座っていても、足がカタカタと震えて力が入らない。


『何のことでしょうか』 


短く、指先で返答する。


返答したと同時に、今度は鳴り響いた、スマホの着信音に体がビクンと震えた。


液晶に浮かんでいる名前は『杉原美穂子』。

私は、震える指先でタップした。


「もしもし……」


『もしもし。こんにちは、美穂子ですけど』


「何でしょうか?」


『聞きたいことがあれば、直接聞いてくれればいいのに。お向かいさん、なんだから』


「……お子さん…と旦那さん……」


『そうよ、今は居ないの。でも、いつも私と一緒にいるのよ』


「……そう、なんですか……」


狂ってる。


今は、居ないのではなく、もうこの世に居ないのに。


『里奈さんと私って、何となく似てるわ』


「何言ってるの?……全然似てないわ」


『何となく似てるわよ、私もこっそり調べ物するもの。あなた達家族について、今のあなたみたいに、こっそりとね』


「何それ……」


『ふふふ……あともう一つ、調べものする時は、背後には気をつけなきゃねってこと』


ゾッとして振り返れば、キッチンの小窓から、美穂子が、コチラを眺めながら、口元に人差し指を当て、白い歯を見せた。

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