第9話

「あなた、異常だわっ。人のこと根掘り葉掘り聞いて、子供や夫に近づいて、ゴミまで漁って!どういうつもりなのっ!」


「あはは。そんなに怒らないでよ。あなた達家族が、心配で、何となく気になるのよ」


「心配して頂かなくて結構よ!大体、何となくで、こんな事するの、どうかしてるわ!」


「あら、里奈さんこそ。はっきりとした理由もないのに、何となく、私を攻撃しないでいただきたいわ。私は、ただ、お向かいさんとして仲良くしたいだけなのに」


「もう、私達に関わらないで!これも要りません!」


私は、紙袋を、美穂子に押し付けると、玄関扉を乱暴に閉めて、すぐに鍵をかけた。覗き穴から見ていると、美穂子は、暫く玄関扉の前に立っていたが、背中を向けると、美穂子は、白いワンピースを揺らしながら、向かいの家へ向かって響いていく。


ーーーー異常だ。


他人のゴミを漁るなんて、まともじゃない。あの異常な行動、美穂子の夫も子供も、何も思わないのだろうか?



私は、座り込んでいた玄関先から立ち上がると、パソコンの電源を入れた。


東山街ひがしやままち沼田村ぬまたむら 杉原美穂子』 

で、検索をかけて見るが、東山街 沼田村の情報しか出てこない。


『東山街 沼田村 杉原春人』で、再び検索をかける。


ーーーー私は、口元を覆った。

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