ヲ、ヒ、ネの話

息子が小学生になり、カタカナの書き順を確認することになった。漢字の書き順はよく話題に上るが、カタカナの書き順について考えたことはなかった。

「ア」から「ン」まで、チェックを始めると、三つの間違いを発見した。

まず「ヲ」だ。息子は三画で書いた。私は、二画。最後に横棒を加えると私が説明した。

次に「ヒ」。息子は一画目左から右、私は右から左だと伝えた。

そして「ネ」は、息子は最後に右のチョン、私は縦棒を入れると言った。

「それぞれ十回書いてきて。」と息子に言うと、息子は首をかしげながら「おかしいなぁ」とつぶやき、紙と鉛筆を持って立ち去った。

なぜこんな間違いをするのだろうと、私は書き順をじっくり見ているうちに、ふと気づいた。全て、息子の書き順が合っていたのだ。そして、間違えていたのは、他でもない私だった。

「まさか、こんな大人がカタカナの書き順を間違えるなんて…」と、自分の間違いに気づいた瞬間、顔が熱くなった。それでも、すぐに息子が混乱しないように訂正しなければと思い、恥を忍んで息子に謝った。

息子は少し驚いた様子で私を見たが、すぐに笑顔を見せ、「いいよ、わかった」と許してくれた。それから、彼は再び紙と鉛筆を手に取り、こう言った。

「お父さん、じゃあ十回書いてきて」






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