チョイジジイのぼやき

僕気分

名もなきヒーロー

「人助けをした市民に感謝状が贈られました」という報道をよく目にする。正直、私はそれを見て、少し複雑な気持ちになる。だって、私は今まで一度もそんな感謝状をもらったことがないからだ。


でも、言っておくけれど、私は人助けをしている。いや、しているどころか、多分人よりも多く助けてきたと思う。見返りなんて求めないし、当然のことをしているだけなのに、どうしてあの人たちは感謝状をもらうのだろう?同じようなことをしているのに、なぜか私にはそのチャンスが巡ってこない。もらえる基準がわからない。


確かに、感謝状が欲しくて人助けをしているわけじゃない。困っている人がいれば、助けるのは当たり前のことだ。それに、感謝されることが嬉しいわけでもない。だが、他の人がもらっているのを見ると、つい「どうして自分には来ないんだろう?」と思ってしまう。


そんなことを言うと、「品格がない」とか「小さい人間だな」と思われるかもしれない。


とはいえ、感謝状をもらうことに対して、ふと思うことがある。感謝状をもらうためにわざわざ名乗り出るのもどうかと思うし、できることなら、さりげなく、何も言わずに立ち去りたいという気持ちが強い。結局、感謝状をもらった人たちは、私のように静かに立ち去ることができなかったから、もらったのだろう。彼らが胸を張っているわけではないと思いたい。


そう考えてみると、感謝状をもらう人って実は少数派で、ほとんどの人がそれを断っている。もしかしたら、名乗る事なく立ち去ることで、他の人も「それでいいんだ」と思うことができているのかもしれない。あの少ない感謝状の数が、その証拠だと思うことにしよう。


もちろん、私はこれからも人を助ける。

名乗らずに、何も求めず、スマートに。

私にとって大切なのは、有名になる事ではない。困っている人を見捨てない事だから。


私は「名もなきヒーロー」になる。


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