第159話 球根?

翌朝。



砂漠を眺めながら、朝ご飯を食べた。


ライスは、お皿にもっている。


はしが使えないから、このほうがいいらしい。



味噌は、まだ、作れない。


でも、味噌汁はある。


インスタント味噌汁の顆粒は、だいぶ前に作ったからね。



ドワーフのおばちゃんたちが、おいしく仕上げてくれている。


野菜とか、いっぱい入ってるんだ。



__豆腐がたべたいな



豆腐本体は、まだ、作れないと思う。


今のぼくには、豆腐は、巨大な個体なのだ。



でも、『にがり』をつくればいいのかな?


あとは、ドワーフやエルフが、何とかしてくれそうな気がする。



『わさびふりかけ』を掛けながら、ふと、そんなことを思った。



「兄さま。また、ふりかけばっかり食べてるのです」


「ちゃんとした、おかずも食べるべきなの」



なぜか。【ダンジョン・コア】と【世界樹】の【分身】に、注意された。



ちなみに、ふたりは、オムレツに、ナイフを入れている。


これは、『究極のオムレツ』らしい。


なぜって、コカトリスの卵だから。



コカトリスの卵は、『至高の食材』なんだよ。


だから、あんなに飼いたがったんだね。みんなして。



一攫千金を狙って、卵を取りに行く冒険者も多いとか。


でも、たいがいは、石像になるんだって。


やっぱり、地道に働かなきゃダメだよね。


まあ。ぼくが、言えるセリフじゃないけどさ。











朝食後。




「オアシスには、また来るとして。


まず、街をさがさない?」


アネットが、みんなに問いかけた。



もちろん、ぜんいん賛成。



ちなみに、子猫族は、もういない。


一匹が、【母船クーマ】に接続している扉を見つけてしまった。



そしたら。



「お魚の匂いがするにゃ!」とか叫んで。


いっせいに、駆けて行ってしまった。



今まで、穴蔵に隠れてたみたいだからね。


【母船クーマ】の中を、駆け回ったらいいと思う。



ちなみに、【許可】を得ていないものは、【母船】の外に出られない。


だから、間違って、海に落ちたりすることはないんだ。



いちおう。



みんなには連絡してある。


みんなって、クマ族・エルフ・ドワーフのことだよ。



しょせん、猫だからね。


気が向いたら、また、馬車へ戻ってくると思う。




出発前。




「このままだと、ヒューマンに荒らされるかもしれないの」



そう言って、ヒスイは、地面に手をついた。




しゅぽんっ!


しゅぽんっ!


しゅぽんっ!


(以下省略)



「木も草も、地面に引っ込んだのです!」


ルリが、びっくりしていた。


もちろん、みんなも、びっくり。



「何をしたの?ヒスイちゃん」


アネットが、たずねた。



「ここに集めたの」



ヒスイの手元には、おおきなかぶ?があった。


いや。どっちかというと、おおきな『球根』?



「兄さま。コレ」


ヒスイが、大きな『球根』をぺちぺち叩いた。



__運んでくれってこと?



たしかに、ヒスイが扱うには、かなりデカい。



見渡すと、オアシスが消えていた。


いや。地面と泉だけになっていた。



解除キャンセル



泉の水は、ぼくの魔法だ。



もしかすると、しばらく残ってるかもしれない。


それは、それで、ちょっと不気味な感じだろう。


砂漠なのに、なかなか蒸発しない水なんて。



だから、『解除』で消した。


生命のあるものは、この『球根』に集められたはずだし。




ちなみに、この『球根』は、【聖域】に埋めた。


『しばらく休んだら、また、地面から顔を出すの』


ヒスイが、そう言っていた。



__休眠中ってことかな?



それなら、放置しておいても大丈夫だね。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る