第82話 ぺらぺらに挑戦

翌日。



ぼくは、作業空間にこもった。


学校に通うことになったからね。


新しい挑戦をしようと思う。



それは、『紙』だ。



【自給自足】は、【レベル40】になった。


『乾麺』は、すでに成功している。


『粉・粒』から、『細長いもの』へ進んだのだ。



今度は、『薄っぺらいもの』もイケるんじゃないかと思う。



__むむむっ!



『ぺらぺら』を、イメージしてみた。



来い! ぺらぺら!


来るんだ! ぺらぺら!



ちょっと、呼んでみた。


眼の前では、白い塊が、伸びたり縮んだりしている。



__ぺらぺら! うすうす!



全身全霊を込めると、白い塊が、みよーんと広がった。



__できたのか?



眼の前には、ぺらぺらでうすうすなものが、ふよふよ浮かんでいる。



__おかしい



A4のコピー用紙をイメージしたのに。


眼の前には、1メートル四方の大きなペラペラがあった。



__まあ、いつものことか



とにかく、999枚作ろう。


そうしないと、レベルが上がらない。



__そういえば



今まで、あんまり失敗したことってないな



もちろん、レベルが足りなければ、失敗する。


それは、いきなり高望み?をした場合だ。


今だって、シャンプーとかはムリだと思う。


濃度が、高すぎるからね。




でも、可能そうなものを選べば、大概は、成功する。


こんなに成功率が高いのは、【アカシックレコード】のお陰だと思う。



思うだけで、そのメカニズムなんて、まったくわからない。


だから、『女神のお陰』と言ってるのと、何もかわらないんだ。




999枚作ってから、取り出してみた。


たぶん、コピー用紙だと思う。


スーパーとかで、500枚包んで売られてるやつだ。



もしかすると、少し厚い?


ぎりぎりまで薄くしないと、失敗すると思ったのに意外だ。



でも、なにしろ、1メートル四方。


どうやって、切ろうかな?



ついでに、『うすうすシリーズ』を作ってみた。



『ラップ』


『アルミホイル』


『トレーシングペーパー』


『クッキングシート』


『ビニールシート』もちろん、薄手の。



どれも、使いみちがないのが、寂しいけど。


エルフか、ドワーフのひとたちが、うまく使ってくれるんじゃないかな。


珍しいもの好きだから、間違いなく喜ぶだろう。




__まあ、それでいいや



せっかくだからね。


食べ物も、ひとつくらい作っておきたい。



ペラペラの食べ物って、あったかな?



__そうだ、アレがあった



やや、悪戦苦闘したけど、できた。



『ポテチ』だ。



ただ、やはり、1メートル四方。


さらに、なぜかというか、とうぜんというか。


まっ平らだ。



完全に、別の食べ物に見える。



でも、試食したら、紛れもない『ポテチ』。


あまり、油はきつくなく、ほどほどの塩味だった。


悪戦苦闘した甲斐があったというものだ。



見た目の違和感がハンパないけど、おいしい……と思う。


目をつぶって食べれば、OK?



__でも、コレ



調子に乗って食べ続けたら、きっと太るだろうな。


ぼくは、とてもキケンなモノを、作ってしまったのかもしれない。





__じゃあ、次だ。




ぼくは、すごく細いものをイメージした。


黒くて、すごく細くて、すぐ折れるやつ。



__できた!



『シヤープペンシル』の芯だ。



『紙』ができたんだから、次は、筆記用具だよ。


筆記用具といえば、シャーペンだ。



でも、また、長さが、1メートルもある……。


それに、大事なことを忘れていた。



ぼくには、まだ、『シャープペンシル』本体が作れないんだった。



__ま、まあ、いいや



よし、次は、液体だ。



__できた! 



インクが出来たぞ!



これなら、ペンがあれば書ける。


ペンなら、この世界にも、ちゃんとある。


もちろん、インクもあるけど……。



__あれ? 作った意味がない?



それなら……。



ぼくは、インクを作り続けた。



『赤』、『青』、『緑』、『黄』、『オレンジ』、『紫』、『銀』、『金』、『白』



最初の『黒』を入れると、10色だ。


『赤』と『青』以外は、使いみちがない気がするけど。



__まあ、いいや



このあと、勢いで、『10色シリーズ』を作った。


『シャープの芯』と『紙』の二種類だけど……



でも、『紙』なら、使いみちがあるんじゃないだろうか?


折り紙とか?


ああ、でも、折り紙の文化なんて、あるはずないか。



『紙』、『シャープの芯』、『インク』は、専用の【タブ】を作った。



【卵ハウスの倉庫】には、いろんなものが詰まっている。


だから、それぞれ、【タブ】を作って整理しているんだ。


まるで、パソコンみたいだけど。



ちなみに、今回は【学校用タブ】だ。





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