第35話 そんなつもりではない!
翌日の昼休み。
当たり前のように、湊と七海は
幸いにもこの場所は澪にバレてはいないようだ。
「………なんだよ」
七海がジーッと湊の弁当を凝視する。
とても羨ましそうに。
ダイエット食を七海たちは完食してしまったため、冷蔵庫にしまわれていた鶏肉を使って作られたからあげ。白米に、冷凍のミートボールとポテト。彩りにほうれん草のごま和え、ポテトサラダを加えた、食べ盛りの湊のための満足弁当。
対して七海は、ハーブ味のサラダチキンにコンビニで買った野菜サラダ。
そこに、体脂肪を減らすと話題の特茶。
七海はもう特茶しか残っておらず、ただひたすらに湊の弁当を見る。
本人からすれば見てお腹を満たすと考えているようだが、実際にはキュルルとお腹がなっている。
「食いたいなら食っていいぞ」
「だめ!太っちゃう!」
「そんなに言うほどか?」
「…………そこまでボクに言わせる?」
「…………そうか」
湊は異常なほどの威圧感を感じ、七海への問いが地雷になりかけていると判断する。
「外見は変わったようには見えないけどな」
湊はそう呟いて、再び弁当へと目を移す。
「例え外見が変わってなくとも、
「す、すまん」
――――一条。ダイエットで一番大事なのは、無理をさせないことだ。いつか抑えていた感情が爆発して、ひどい目にあうぞ―――
古川から聞いた言葉。
そこまでに女子という人種はダイエットの際にピリついているのだと、湊は今実感した。
「み、湊?どーしたの?って、いきなりなに!?」
湊が七海の頬を優しく引っ張る。
幼い頃の咲穂に、よくやったように。
頬を上に持ち上げて、ゆっくりと下に落とす。不機嫌な時にこれをすると咲穂は、少しばかり機嫌が良くなるのだ。
頬を上に引っ張ることで口角を上げる。
(…………スベスベだな)
咲穂と違ったことは、七海の肌だ。
咲穂も決して悪くはないのだが、七海とは比べ物にならない。
「あ、あうぅぅ」
だんだんと七海の顔が赤くなっていく。
それに伴って、口角も少しづつ上がっていく。
「無理しないで、頑張れよ」
「う、うん」
最後にそう言って、湊は七海の頬から手を離す。
七海の顔はもう朱色に染まり、滑舌もとても崩れたものになっていた。
はっとしたように、七海の思考が帰ってくる。
「み、みなと!いつこんなことを覚えたのさ!どれだけこの学校で経験を積んだのさ!」
「ちげぇよ!俺に彼女なんかできたことがない!それにこれは咲穂にしかやってない!」
「妹を落とそうとするなんてサイテーだ!」
「そんなつもりではない!」
そんな会話を見ていた人がひとり。
(わーっ!面白いもの見ちゃった!もう湊と七くんは特別な関係なのか!)
…………皆さんお馴染み、澪である。
===
第31話投稿しました!
短くてすいません……
この作品は絶賛頑張り中です!
なので★★★と作品フォローをしていただけると大変助かります!
これからも同じくよろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます