一日目 泥棒と会合‼

今日も今日とて農業農業

だが昨日までの俺とは違う

なぜかって先生、いや安奈あんなさんに父を説得してもらう約束をしたからね

気分はルンルンだぜ!ルンルン~

まあ考え事してたから凄く作業遅かったけど

気づいたら日は高くに上ってた

「もしかして昼近いんじゃないか?」

…特にやることもないし別にいいか

でもお腹は空いたな、ご飯にしよう

そうして家の中に入り冷蔵庫をあさる

豚ロースと焼き肉のたれと生姜、キャベツにマヨネーズだってある

ふっふっふ、今日のお昼ご飯は生姜焼きにしよう

…え?夜に生姜焼き食べろよって?父親にも食べさせろって?

ま、まあ豚ロース少ないしね、うん。仕方なし!

じゃあ調理に入るか

とは言っても特別なことはしない

豚ロースに薄力粉をつけ生姜を入れた焼き肉のたれに少し漬ける

お腹空いてるし十分じゅっぷんもつけないけど

そしてごま油をひいて焼く

あとはマヨネーズをかけたキャベツの千切りにロースを添える

完成ー!凄い簡単

あ、主役を忘れてた、山もりご飯!

生姜焼きは白米無限食いできるからね(?)

「ではいただきま…」

ピンポーン

インターホンが鳴る、あまりにもタイミングが悪い

居留守するわけにもいかないので玄関に急ぐ

にしても珍しいなこんな山奥に人が来るなんて

「はーい」

玄関を開けるとそこには

「こんにちは、少しよろし…」

そこまで言って止まる、多分この子も気づいたな

「ぎゃああぁぁ!人食いお化け!

「昨日の泥棒じゃん…なんだよ!その呼び名!」

泥棒はまた逃げようとする

がしかし俺とほぼゼロ距離、それに大体予想できたためあっさり確保

「は、はなせぇ~!」

割と力強いなコイツ!だけど逃がすような俺じゃない

「泥棒!今日こそはしっかり話を聞くからな!」

「何よそれ!私知らない!それに泥棒はインターホン押さない!」

むっ確かにそうか

コイツ大慌てしてる割に的確なことを言う

「じゃあ人食いお化けってなんだよ」

「あなた私に『逃げるか食われるか、どっちがいい』って言ったじゃない!」

言ったっけ?…言ったわ

「イノシシに向かってな!」

「…え?」

ようやく泥棒(仮)は落ち着いてくれた

様子を見るにどうやら双方に誤解があったらしい

「仕方ない、昼ご飯の最中さいちゅうだったんだ

中で話さないか?」

「ええ、そうね

…私もお昼食べてないからもらえないかしら」

いきなり図々しいな

「そんなに肉ないぞ」

「大丈夫よ、私は少食だもの」

「そっか、まあ中入れよ」

とりあえず泥棒(仮)を居間に通して、新たな皿に俺の肉とキャベツを乗せる

惜しいやつをなくしたぜ

米と箸の準備をして持っていく

「あらっ昼から生姜焼きとは豪華ね」

「楽だから丁度良かったんだよ」

まあ夜も結局作らないとなんだけどね

「早く食べましょう!」

「お、おう」

そんなに腹が減っていたのか

「「いただきます」」

まずはロースを口に入れる、美味い

味が濃いめだから米とも合うな

焼き肉のたれって実はすごい便利

色々な食材がバランスよく入っており、肉の味を引き立ててくれる

次はキャベツと共に食べる

うまっキャベツのシャキシャキ感とマヨネーズがさらに肉を美味くする

…にしても泥棒(仮)食べ方きれいだな、姿勢がいい

背はピンとしてるし落ち着いてる

凄い!初めて見た泣いてる姿とはまったく印象が違う

「…なによ、じろじろ見て」

流石に気付かれたか、別に隠すことでもないので説明する

「あ、いや綺麗きれいだなって」

「きっ⁉あっそう!」

急に顔を赤らめる、どうしたんだろ

「…そういうあんたも、カッコいいわよ」

「…え⁉」

急な不意打ちに顔を赤らめる…あっそういうこと

言葉足らずがたたったわ、いや幸運を呼び寄せたか?

とにかく必死に言い訳をする

「さっき俺が言ったのは姿勢のことだ!」

そう言われやって理解したのか

「紛らわしい言い方しないでよ!私の恥じらいを返してほしいわ!」

そう怒っているように聞こえるが少し落ち込んでるように見える

流石に悪いと思った、なので本当のことを言う

「…まあお前、可愛いと思うよ」

「ふぇ⁉あ、ありがとう」

この後、ご飯を食べる間に一切の話ができなかった

どっちも恥ずかしかったからね


ご飯を食べ終わった後もしばらく気まずかった

仕方がないので俺から行くことに

「ごほんっ俺は天谷あまや 信吾しんご、十四歳

ここに住んでます」

「…ふふっなんかお見合いみたいね

私は藍川あいかわ 瑠衣菜るいな、十四歳

気軽に瑠衣菜って呼んでちょうだい」

「分かった、俺も信吾でいい」

「ええ、信吾ね

よろしく」

改めてみると泥棒(仮)、もとい瑠衣菜は凄い美少女だな(今更)

とりあえず気になったことを聞く

「なんで箱罠の中に?」

正直一番気になる

人間があんな見え見えの罠にかかるわけがない。そう信じたい

「箱罠ってあの檻みたいなやつ?

だって仕方ないじゃない!あんな大きなイノシシが目の前に出てきたのよ

檻の中に逃げたくなるじゃない!」

「つまりイノシシが怖くて箱罠に入ったと」

「そうよ!」

何というか、間に合ってよかったというべきか

「イノシシが本気で突進してたらあんな鉄格子意味ないぞ」

イノシシが助走をつけて突進したら最悪あの箱罠は壊れる

壊れなくても曲がったりするので怪我をしていた可能性が高い

まだゆっくりと背中を見せず逃げた方が安全だ

「え?じゃあ私死ぬかもしれなかったってこと」

「まあそうだね」

また重い沈黙が流れる

「じゃ、じゃあさ!なんで初めて来た日、つまりイノシシに遭遇する前日!

なんで入って来なかったの?」

「え?気づいてたの?」

「いや足跡が残ってたから」

「…あーなるほど

なんでインターホンすら押さずに逃げ帰ったか、ね」

いやそこまで言ってない

割と自分が死んでたかもという事実を受け止めきれてないらしい

「玄関の骨にビビったわ

後でお父様に確認したら飾りだから安心しなさいって」

あの熊の頭の骨かー。流石に置いてるだけで害がありすぎるな

「それは何というか、ごめん」

「いやいいわよ

…ごめんなさい、気を使わせてるわよね」

うん、とは言えないけどね

沈黙はちょっと耐えられないかも

「明日また来るわね、ちょっと落ち着いてから話したいわ」

「お、おう」

大丈夫かこれ

「気を付けてな」

「ええ、ありがとう

また来るわ」

そう言って歩き出す瑠衣菜

彼女が見えなくなってから家に入る

…明日も来るのか、楽しみだな

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