第33話
兄は心配して、自分の家に泊まればいいんじゃないかと言ってくれたが、大学から随分と離れているうえ、ただでさえ忙しい兄の負担にはなりたくなかった。
それに、彼が私に怖い顔をしても、また距離を置いて接すればしばらくは大丈夫だろうと高を括っていた。
彼の引き返せない暗闇が、すでに底なしになっているとは知らずに。
兄と別れ、電車を数本乗り継いで最寄り駅にたどり着いた。
燃えるような夕焼けが、重い鼠色の雲の隙間から細く差し込んでいた。
まぶしさに目を細め、周りもよく見ずにアパートへ急いだ。
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