第17話

料理はとても兄の口に合ったようで、兄はそれからしきりに彼の腕を褒めた。


それで気をよくしたのだろう、彼は兄を自然と「にいさん」と呼んでいた。

あまりに自然だったので、昔からそう呼んでいるかのように感じた。



おつまみをほとんど平らげたところで、買ってきたお酒もほとんど底をつき、奥村くんは帰ることになった。


兄がいるといえど、彼を私の家に泊める気はなかった。



すっかり出来上がってしまった私を気遣って、兄は自分が奥村くんを見送ろうかと言ったけれど、私はそれを断った。


伝えなくちゃ、とその時思ったから。

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