第13話

それに、料理は私の数少ない得意分野だったこともある。


そのおかげで、家から2駅の場所にあるカフェでキッチン担当のアルバイトをしていた。

特に得意な料理はパスタだったから、彼に教えるのも時短料理が中心で、簡単なものが多かった。



そうして1ケ月が過ぎたころ、先に上京し今は社会人をしている兄から連絡が入った。


久しぶりに飲まないかという誘いに、私は快諾し、せっかくなので隣人である奥村くんも招いて、紹介も兼ねた宅飲みを提案した。


日ごろから気にかけてくれる兄に、近況報告もできると思ってのことだった。



しかし、それを奥村くんに伝えると、いつも朗らかに笑う彼の顔に影が差した。

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