ギャルの三和さんは、今日も今日とてアホかわいい
小坂あと
第0話「クラスメイトの三和さんは」
私の名前は、
身長は168cm、髪型は黒のミディアムヘア。
特に特徴がないのが特徴の、そこら辺にいそうな女子高校生である。
クラスメイトとは深く絡まず、どの派閥にも所属せず、来るもの拒まず去るもの追わずで、人間関係は狭く浅く……そんな私の日課は、人間観察だ。
ひとり時間が多いと、どうしても暇になる。その暇潰しのため、周りの人をよく見てることが多い私だからこそ、色々と気付くこともある。
例えば、真面目な学級委員長である竹中さんは、おそらくクラスの中心人物でありちょいヤンキーな坂口くんと付き合っている。理由は、お互いお揃いの指輪を肌見放さず持っているからだ。
明らかにお揃いと分かる形状の指輪を、それぞれ竹中さんはキーホルダーに、坂口くんはネックレスにしている。
他にも、いつも教室の隅で絵を書いている地味で太った男子――斎藤は、隠れて一軍女子の黒ギャルである錦戸さんのことを描いてるから片想い確定で、そんな片想いに気付きもしない錦戸さんは隣のクラスのイケメン藤田と交際中。
ちなみに錦戸さんは、明るくハキハキした性格に見えるけど、時折ものすごく繊細な一面を持つ気遣い屋さんだ。
こんな風に、色んな人を観察しては人間関係の推測までして暇を持て余している私は、高校二年生になってとある人物に出会った。
それが、
髪色はベージュ系の金で、背中まであるロングヘアがよく似合う端正な顔立ちをしている。身長は私よりもちょい低い、160とかだと思う。痩せ型の巨乳。
何もしてなくても目立つ金髪ギャルの彼女は、友達と話してる時も口数が多い方ではなく、どちらかと言えばクールで気は強く、だけど意外とよく笑う不思議な人だ。
さらに不思議なのは、ああ見えて彼女はドジなんだろうってこと。
本人はクールぶってるものの、たまにスカートが下着に巻き込まれていたり、体操着を表裏反対に着たりしている。
周りの人間は、彼女の持つキャラ故かあんまり気付くことが少なくて、どこかで本人が気付くまで放置されてることも多い。
この間は、授業中ずっとノートが反対なのにそのまま使っていた。
……あの人、多分アホだ。
言い換えれば、天然とも言う。
今のところ、他の人にはバレていないっぽい。知っているのは私だけだ。
だけど、わざわざドジしてる時に教えることはしない。仲良い人以外には塩対応、おまけにオタク嫌いと有名な彼女と関わるのはトラブルの元になりそうで、面倒だから。
私はただ、平穏に、無事に、何事もなく学校生活を静かに送るだけ。
事なかれ主義の私が、三和さんを通じて色んなことに巻き込まれていくのは、二年生になってから数カ月経ったとある日のこと。
それは、夏の温度が芽吹く季節のことだった。
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