4 ジルベール騎士爵令嬢 アニエス その1

私が前世の記憶を取り戻したのは6歳の時だった。




木剣で思いっきり頭をどつかれた直後で、私は痛みを感じる以前に前後不覚に陥っており、頭を抱えてうずくまっていた真っ最中での出来事である。

泣き叫びこそしなかったが、涙が滲む私の目の前には、玩具のような、しかし訓練用として十分に実用に耐える、が転がっている。


その時はとにかく混乱していた。

衝撃と痛み、それもある。

だがそれ以上に私の脳を、いや、私であるということを揺らしたのは、どこからともなく流れ込んできた誰かの記憶だった。

むべなるかな、幼いである私の人格に、現代日本の一般男性の記憶とか価値観が流れ込んできたのだ、そりゃあもう「え、何?その……何?」と宇宙を見つめる猫のような状態になっても仕方のない事だろう。

私の脳内は、まるでパンドラの匣を蹴り飛ばして中身をぶち撒けたかのような状況であり、溢れ出したものを咀嚼して現状を理解するのが精一杯であった。

パンドラの匣なら最後に希望とか残りそうなもんだが、残念ながらそんなもんはない。


それもそうだろう。

オッサンという概念のどこに希望があるのだ。

そこに無けりゃないんだよ。


……こうして改めて考えると、酷い状況だな。

何かこう、生命に対する冒涜のようなものを感じる。極めてなにか生命に対する侮辱を感じます。

幼い少女という純真無垢で純粋な存在にオッサンの頭蓋をぶち込むとか、すごく特殊な性癖を一点突破で貫いてきそうな気がする、少なくとも公に語って良い性癖ではない。

なんていうの?まだ開かない花のつぼみを自分の手で開けて無理に開いて見せるというか?あるいは若い枝を摘み取って接ぎ木をしているというかなんというか。


何だか自分で言ってて気持ち悪くなってきた。やめやめ。

とにかくそうなった。




「ええい!アニエス!立て!立たぬか!それでも騎士たるジルベール家を継ぐ者か?!軟弱者!!」



私の目前で大きな声を上げる人間がいる。


うずくまっていた顔を上げ、その人間の顔を見れば、厳ついながらどこか神経質そうな顔つきの中年の男性がいた。

口元には短い髭を生やし、くすんだ金色の髪は、元は豊かだったのだが今は額を見せるほどに後退している。

茶色の目はただひたすらに、私を非難する意志を浮かべていた。

その手には木剣が握られている。


彼は、私の今生の父親である。

より正確に言うのであれば、血縁上の生物学的な父上様である、騎士ダミアン・ジルベールである。


幼女の脳に突然の出来事アクシデントが起きていたために、一瞬何が起きたのかを忘れてしまっていたが、ようやく現実に追い付いてきた。


騎士爵とはいえ貴族の令嬢として、きちんとした教育を受けていた私、アニエスは、今日もまた、いつものとおり家庭教師から基本的な礼儀作法や、聖書の勉強、あとは読み書きだったり算術だったりを学んでいくはずであった。

しかし、突然ダミアンが部屋にやってきたのだ。


無理矢理に腕を引かれて連れて行かれたのは、少し広い屋敷の庭にある広間になっている場所。

そこに半ば放り投げられるようにして開放されたと思えば、木剣を投げてよこされ、何の説明も話もないままに突然に木剣で頭をぶん殴られたのである。


ダミアンはなおも、手にした木剣を大きく振りかぶる。

状況こそ理解できたが、納得も受容もできていない私は、とにかく悲鳴をあげ、頭を守ろうと咄嗟に腕を翳した。

そこに、誰かが駆け寄る音が聞こえた。



「お館様!どうかおやめください!!お嬢様が!!」


「何をするかパトン!無礼者が!!」



ダミアンの従士であるパトンだ。

パトンは恐らくは偶然、この事態を発見したのだろう。

居てもたってもいられず、間に割って入り、ダミアンが私に向けて振り下ろそうとしていた木剣を掴んで受け止めたのだ。

パトンは指の爪が剥がれ血を流しながらも懸命にダミアンに訴える。



「お館様!今、お館様が木剣を振っておられる相手は、アニエスお嬢様でございます!」


「知っている!」


「ファビアン様やジュリアン様では無いのです!アニエスお嬢様なのですよ?!」


「知っている、と言っておるであろうが!!」



互いに唾が飛び交うほどに大声で言い合う2人を、他の従士や使用人たちは固唾をのんで見守っている様子であった。

私は、パトンが作ってくれた時間に、改めて情報を整理する。



私の名前は、アニエス・ジルベール。

騎士ダミアン・ジルベールを筆頭とするジルベール家の長女であり、第三子だ。

年齢は6歳。


長男ファビアンと次男ジュリアンという2人の兄がいるが、母上様は私がまだ物心つく前に病に倒れ、死んでしまっている。

母上様の記憶も思い出も、私にはない。

ともすれば、私が母の命を奪ったのだと糾弾され、迫害されそうな状況であったが……家族仲は、悪くなかった。

むしろ、と思う。


亡き母を想っていたのか、それとも下級貴族のためそこまで重要ではないと考えていたのか、あるいは相手がいなかったのか……理由はわからないが、ダミアンは後妻を取らず、私たち3人の子供を育てた。

もちろん、現代のように男性も育児に参加しようだとかそんな理念も何もない時代であるので、育児そのものは殆ど使用人に任せていたし、騎士としての訓練が必要な2人の兄はともかく、私は父という存在ということでしか、ダミアンと関わりが無かったのだけれど。


ダミアンは騎士としては、それなりに戦場で活躍できていた方であったらしく、王家より貰った賞状を大事にしていた。

私が覚えている限りでも毎年の任期従軍義務はきちんと務め、それなりに良い結果を出していた。

そんな父上様を誇りと目標にして、ファビアン兄様もジュリアン兄様も共に騎士を目指して切磋琢磨していたのだ。


そして私なのだが、家族の皆から可愛がられていた。

そりゃあもう、可愛がられた。


幼い私は自分の容姿について、何も気がついていなかったようだけれども……いやまあ、自分の魅力を正しく理解している幼女とかフィクションの存在メスガキ過ぎるし、当然と言えば当然では……あるのか?私の記憶では幼稚園の頃の女友達は自分の可愛さを把握していたように思える。まあいい。


とにかくだ、アニエスという少女は、(恐らくは不幸なことにも)推定前世である日本男児としての記憶を思い出してインストールしてしまったが為に、自分の外観について、ある程度は客観的な、それも異性から見たらどう思われるのかという視点で観察することが出来た為に、気がついてしまった。


記憶にも残っていない、母上様の形見の姿見で見た自分の姿。


めっちゃ可愛かった。

そりゃあもう、驚いて二度見どころか四回は鏡を見つめる羽目になるほどには可愛かった。


いや可愛いどころか、少女に至る前の幼女としての分際で既に女性としての魅力があるというか。

「可憐」「可愛い」という要素と「美人」「美貌」という要素を足してそのまま乗算してしまったというか。

亡き母上様譲りの艶やかで鮮やかな赤色の髪に、雪のように白い肌、そして目と鼻のパーツの配置が完璧である。


言うなれば魔性の美があった。

傾城傾国の女であった。


なんか神様がふざけて美しさパラメータにガンぶりしちゃったんじゃないかな?ってレベルだ。「う、うつくしい……」って敵対者が思わず見惚れて1ターン行動阻害かかるくらいの猛烈な美貌である。

クトゥルフ神話TRPGで出てきたらAPP18超え確定であり、間違いなくニャルラトホテプの化身認定されるに違いない。


一回見たらまず忘れんし、道中で出会ったら10人が10人振り返った上で、半数はもう一回見返すレベルの美しさである。

同級生にこんな美少女がおったら性癖を歪みに歪められてしまうこと請け合いであり、時代が時代なら、神々の生贄として献上されていそうだ。あるいは主神に惚れられてその妻の天罰をなぜか受ける羽目になっているか。


さて。


自分自身の姿であるという、それなりに強固である認識フィルターを通しても絶対可愛いと思えるほどの容姿だ。

そんな、すんごい容姿を他人が見たらどう思うか?


そりゃあもう、可愛がられた。


家族のみならず、領民からも「姫」などと呼ばれれるくらいには周囲を魅了しており、それどころか上級貴族から婚約者として打診があったほどなのだ。

いや、伯爵家の長男(10)とか侯爵家の次男(8)とか辺りからの打診は、爵位が高すぎるっピ!なことを除けば、まだ分からないでもない。

凄いのになると伯爵(38)とかからもアプローチがあったぞ……私6歳なんだが?歳の差にも限度があるぞ限度が。宗教の教えはどうした教えは。

とはいえ、これくらいの年齢差も、この時代11~13世紀くらいだと別に珍しい事ではないのが頭の痛いところだが。


ちなみにファビアン兄様もジュリアン兄様も、どうすれば近親婚が許されるのかを必死になって調べていたらしい。


私が、将来はお父さんやお兄ちゃんと結婚する!って言ってる時期の娘だから、兄様がたも冗談で言ってるんだろうと思ってたら、司祭とかに相談してる本気度ガチの私の心境は語り尽くせぬ。


中世ヨーロッパなら近親婚ハプスブルクは通っちゃうかもしらんと思ったが、どうも建国した王様が制定した法に絶対禁止と書かれいるし、聖書もばっちし禁止していることを知った。


この世界の聖書ではソドムとゴモラめいた話はあるが、父親と2人の娘は逃げた先で男性を見つけて幸せな結婚をしているのでやっぱり駄目である。

私は今世で神を信じることにした。


そういうわけで、父上様と2人の兄とは非常に良好な関係を築いていた。

それくらいには私は愛されていた……貞操が守れたのは奇跡であったかもしれん。



さて、そんな私の家族との生活は、しかしあっけなく終わってしまった。



ファビアン兄様とジュリアン兄様が、死んでしまったのだ。



ファビアン兄様は騎士爵を受領するための仕事の一環として初陣に出られたのだが、その先で矢を受け戦死してしまった。

ジュリアン兄様は、領民らと共に狩りに出かけたのだが、鹿を追う際に崖から滑落して転落死した。

立て続けに起きた2人の死という事件は、父上様ダミアンが慟哭を通り越し、発狂するにはあまりに十分だった。


今にして思えば、そのときの父上様の気持も多少は憶測することが出来る。


父親であるダミアンとしては、手塩にかけて育てた、亡き妻の忘れ形見である愛する2人の息子を立て続けに失った悲哀と。

騎士であるダミアンとしては、自身の領を継ぐ人間が失われ、自身が先祖より繋いできた正当なジルベール家の血統と、父が築き上げてきた剣という技術が途絶える悲劇と。


もし順当な貴族として、考えるのであれば。

ジルベール家という騎士爵の存続を考えるのであれば。


例えば養子を取り、時期ジルベール騎士爵領を継ぐ者として育てる。

あるいは、私の婚約者を婿入りという形で迎え入れ、私と婿の間に出来た子供に領を継がせる。

そういった方法を取る筈なのだが。


ダミアンは他の騎士や貴族と比較すると、血筋について強いこだわりがあり、剣について随分と執着があった。

なにせ、ジルベール家という存在が、誰の記憶にも残らず消えてしまう恐れすらあったから。


血と教えというのは、この時代において非常に重いものだ。

なにせ、物を書き残す紙すら用立てするのに難儀するのに、それが後世にしっかりと残されるという保証もない。

火事による消失、戦による紛失……抗争に巻き込まれれば損失もありえる。

口伝がもっとも一般的な情報伝達であったこの時代、潰えるというのは何にも耐え難い出来事なのだ。


前者の場合は、先祖より継がれてきたジルベール家の血を引く者は途絶えてしまう。

後者の場合は、先祖より継がれてきたジルベール家の剣を持つ者は途絶えてしまう。


この二者択一の問題には到底回答を出せなかった。


答えの出せない問答を突きつけられて狂ってしまった父上様。

それ故にを取ることにしたんだろう。


そうして狂ってしまった父上様は、私に目をつけたのだ。

この娘に騎士として育て、そして婿を取らせれば、血統も技術もすべては受け継がれると。


正当な血筋であり女たる私、アニエス・ジルベールを。

騎士にしようと、考えたわけだ。





「ええい!退け!!」



ダミアンが本気で振るった木剣を、パトンは脇腹に受けた。

苦鳴をあげて崩れるように蹲るパトンを蹴り飛ばしながら、ダミアンはアニエスに向き直る。

ああ、私の頭に叩き込んできた木剣は、あれでいて死なぬよう加減されていたのだな、と、なんだか冷静に物を見ていた。



「剣を持て、アニエス!!お前がジルベール家を継ぎ、騎士となるのだ!!」



ダミアンが唾液を飛ばしながら怒号をあげる。


さて、ここに来て何とか、転生前の前世の記憶の整理がつき、そして現状を正しく把握することが出来たわけだが。

私は息を吐く。


そして木剣を拾い上げる。

……重いな。

いやまあ、今までこんな荒事なんかと全く無縁な育て方されてたんだから当然と言えば当然かもしれんが。



「ほう?」



先程まで怒り狂って喚き散らしていたダミアンが、私の行動を見て興味深そうに、器用に片目だけを大きく開いた。

他の従士や使用人たちや、そして彼らに抱き起こされながら立ち上がるパトンは、目を見開いていた。



「わかりました、父上様」


「お嬢様?!」



声を上げたのはパトンだったのか、あるいは他の従士か使用人だったのかもわからない。

あるいは、全員が声を上げたのかもしれない。


木剣を持ちこちらの様子を見るダミアンの目を私は正面から見やる。



「私は騎士になりましょう。強き騎士に」


「ほう!」


「お嬢様?!なりません、どうかおやめください!!お館様も!!」



喜色を浮かべるダミアンと、未だにそれを止めさせようとするパトンがまるで対比のように声を上げる。


話を戻すが。


私が騎士になること。

それはとても、魅力的だと考えた。


色々とあるが理由は大きく3つだ。


まず1つ。


折角、私は異世界に転生したのだから、そこで名声を得るほどの大活躍したてみたいだろう?

大成するのは男の夢というものだ……まあ今世では女だけど。

それに、きっと私にも転生者特典とかそういうものがあるに違いない。

思い出せんけど、まああるだろ、多分。

それに騎士という最低限の地位がありそうな立場なら、武力チートのみならず現代知識を活用した内政チートも見込めるんじゃなかろうか?

そう考えると冒険者ルートよりも、騎士ルートの方が遥かに便利だし有益そうである。


そして、もう1つ。


これは、早急に何とかしないといけない案件だ。

それは、婚約破棄である。

先に断っておくが、これは別に悪役令嬢をやりたいわけではない。

だいたい騎士爵なんて下級の貴族位で令嬢で悪役なんてしても無意味だ。

じゃあなんで?と思うかもしれないが、これには理由がある。

何度も言う通り私は転生者であり、前世は男性であったのだ。

だが今世では女性であり、では婚約者は誰か?となれば男性になるわけだな。

ちなみに前世の私はれっきとした異性愛者であり、肉体も男性で性自認も男性であり恋愛対象は女性である。

つまりは精神的BLになるわけだ。


断固として拒否したい。


私は前世の記憶を思い出すにあたり、アニエスという少女の人格を乗っ取り魂を追い出して、その器に収まったというわけではない。

アニエスと言う少女の人格があることを前提で前世の平均的な日本人男性の記憶を思い出したというだけなので、業界用語的には、精神が統合されている、といった状況になるだろう。

なので、少女としての自覚だとか記憶だとかも勿論ある。

だがしかし、女性として生きた今世の6年よりも、男性として生きた記憶の方が年数で言えば遥かに多く、まだ私には淑女としての教育性教育も為されていなかったことも合わせ、男性としての意識が遥かに優勢であった。

故に、騎士として教育を受ければ、少なくとも美しく可愛らしい令嬢としての私を求めているのであろう今の婚約者たちは諦めるに違いない。

実際問題として婚約話が色々なところからやってきており、どこからか選ばねばならぬとかいう段階にまで来ていたのだ。全力で回避したかった。


そう熟考早計したうえでの決断であった。



「ならば、まずは基本となる型を教える。それが出来るまで何度でも打ち込むからな。身体で覚えるのだ」


「わかりました、お父様」


「どうかお止めを!お館様!お嬢様!!」



パトンが必死になって止めようとする。

しかし私にも事情があって決めたことなのだ、なんだか申し訳なくもなってくるが、ここは譲ることが出来ない。


最後に、3つ目の理由。

どちらかというと、これがメインの理由になると思うのだが。


私は父上様……もとい、このダミアンとかいう男にひどく、むかっ腹が立っていた。

いきなり頭に木剣叩き込んでくるわ、理由も支離滅裂で滅茶苦茶だわで、とにかく、アニエスとして培ってきた6年の愛想すらも尽きるほどに気に食わなかった。

だいたい、どんな理由があろうと突然幼女の頭をぶん殴るとか理不尽も理不尽すぎて、大人の思考で理解こそすれど意味不明だ。何したいんだコイツは!!たんこぶできたぞ、絶対!

というわけで、このハゲかかった気狂いを、一発ぶん殴ってやらなければ気がすまん。



そうだな————今にして思えば。


ダミアンは不幸が重なり、心労と不安から錯乱をしていただけだったかもしれない。


完全に狂いきったわけではなく、弱音を吐きたいのに吐くこともできず、かといってやせ我慢にするには辛すぎる現実に耐えかね、つい奇行に走ってしまったのかもしれない。


もし例えば。

例えば、の話だが。


私が今世では下級とはいえ貴族の女性として生きているのだからと、自覚をもって自分の運命を受け容れることが出来ていれば。

それとも、私がもう少し賢くて、自己の人生を決断を下す前に周囲に気を配り、何故パトンがここまで私たちを止めようとしたのかを考えて、もっと未来のことを真剣に考えていたのであれば。


そうでなくても、異世界に転生したという事実への興奮と、今まさに自らを打ち据えたダミアンへの怒りと、それらを脇に置いて物事を考えるだけの冷静さがあれば。


あるいは。


私があの場で前世の記憶など取り戻さず、愛されて生きてきた美しい少女として、ただ木剣で頭を打たれたことの意味も解らずに大声で泣きだしていれば。


ダミアンは正気を取り戻したのかもしれない。


自分が娘にしでかしたことを悔い、自分の娘に許しを請い、自己の執着に見切りをつけて、ジルベール家を存続させようと立て直そうと懸命に動いたのかもしれない。


だが、そうはならなかった。


私はダミアンに、ジルベール家を継ぐ騎士となるべく教育を受けることとなった。


この時の私は、ただただ蒙昧に。

前世の記憶に引きずられ、異世界での第二の人生をいかに騎士として謳歌するのかに、そして成り上がって立身出世していくのかに妄想の翼を羽ばたかせていたのだ。



私が現実を思い知るのは、もう手遅れになってからだった。






【騎士爵】

貴族としては最も低い地位にある爵位。

騎士爵位は個人に授けられる名誉であり、武芸、忠誠心、騎士道の精神を示した者が主君から叙任されるもので、騎士見習いは戦場での功績、トーナメントでの勝利、または主君への奉仕を通じて「騎士」にふさわしいと認められ、儀式で叙任される。

ただし、あくまでも騎士としての身分に限られ、土地については世襲される。


なおリュミエール王国においては、政治的な理由、儀礼的な意味、あるいは特別な栄誉によるものを除き、女性が騎士爵位を叙任された事例は存在しない。

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