19
ーパタン
幹部室のドアを閉めてそのドアにもたれ掛かる。
信じると言っても心配なものは心配だ。
誰かが傷ついたら……
そう思うと怖くて仕方ない。
私はポケットからスマホを取り出すと、優也に電話をかけた。
しかし耳元で響くのはあの優しい声ではなく、冷たい電子音。
「ゆう、や……」
凛太郎、渚、そしてリコにまで電話をかけたのに誰一人として出ない。
「なんで……?」
悪い方にばかり考えてしてしまう頭を振って、blueのオーナー、葵さんにかけてみる。
[はーい、メイちゃん?]
電話の向こうから聞こえた明るい声に少しだけ安心した私は、その声に縋るように訊ねた。
「葵さん!あの、優也達そっちいますか?」
[優也達?ちょうどさっき帰ったよ?どしたの」
その場に居ないことに内心舌打ちをする。
移動中だから電話が繋がらない、、?
今日はリコがいたから車だよね。
誰か一人くらい、着信に気付かないだろうか。
まさか、族と遭遇してる……?
[……し、もしもし!!]
葵さんの声にハッとする。
[メイちゃん大丈夫?なんかあった?]
「……葵さん、今倉庫に奇襲が掛かってます。相手はまだ不明で、下のメンバーが対応する事になりそうです。
優也達と連絡がとれません。四人を探してくれませんか?」
真剣な私の声に葵さんが息を飲むのが分かった。
[探せって、え?優也達を?]
「私の悪い想像なら良いんですが、もしかしたら倉庫と総長を同時に狙われたかもしれません」
[……それは良くない展開だね。分かった、取り敢えずはメイちゃんに従うよ]
「ありがとうございます。もし四人と連絡がついたら、リコの安全確保といつでも連絡が取れるようにさせて下さい。
安全な場所での待機も」
[分かった……メイちゃん、無理しないでよ]
葵さんの心配そうな声にフッと笑ってしまった。
「努力します」
ープツン
一言そう言って私は電話を切った。
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