第25話 FMでオフコース『愛を止めないで』『風に吹かれて』を知る

 さて、久しぶりに「コーセー歌謡ベストテン」の話題に戻るというか、ここにきてやっとオフコースの名前が出てきたんだが、そもそも生涯初オフコース聴取がどれであったか思い出せない面がある。一応濃厚なのは1979年1月20日リリースの『愛を止めないで(作詞作曲小田和正)』を、コーセー歌謡ベストテンで聴いたその時だと思うんだが、もしかしたら1975年の『眠れぬ夜(作詞作曲小田和正)』も聴いたことがあったかもしれないしなかったかもしれないし、そもそも「オフコース」っていう名前は知ってはいた気はするので、『愛を止めないで』で、これがオフコースっていうんだあ、へえ、と思ったような感じじゃなかった気もするし、このへんは実にあいまいである。松任谷由実の『埠頭を渡る風』をいつ初めて聴いたのか問題に通ずるところがある。


 というのも、まず『愛を止めないで』だが、オリコン年鑑だと週間順位の最高位が31位で、1979年通年だと121位ということになっていて、「ザ・ベストテン」の方をウィキ等でいろいろあたってみたけどランクインした形跡はないようだし、しかし間違いなく「コーセー歌謡ベストテン」にはランクインしてオンエアされたから自分はそれを覚えているのだ。何しろこの曲はこの小説のタイトルと相反するかのように、ほぼイントロなしの小田和正のピアノ弾き語りから始まるっていう鮮烈さで、かなり吃驚した記憶あるのだ。で、そのことも含めて宮川泰は曲全体かなりな絶賛ぶりだったのだ。そうだった。前に宮川泰大絶賛の曲4曲っての書いたが、それ以外にこの曲も大絶賛していた。で、その時何位だったのかまでは無論覚えてないけど、1位2位3位という位置でなかったことだけは確かだ。


 で、宮川泰がどういう褒め方してたかまでは全然覚えてないんだけど、自分としては単純に、こんなしゃれおつな透明感のあるスルーっとした曲いままで邦楽で聴いたことねえええええ!みたいなごくありきたりな身もふたもない感想を抱いた次第でございます。恐れ入ります。


 で、オフコースのことなので、これまた他のニューミュージック系ミュージシャンと全然違う独自色ガンガン全面に出ていてあらゆる意味で仰天しっぱなしで、なにはともあれエアチェックしたこの曲のテープはヘビロテで聞き込んだ。


 で、ここがポイントになるんだが、オフコースに関しては全く「耳コピ」する気にならず、実際ほんとうに「聴取」のみであった。なにしろどう考えても自分では歌えない声域だったからだ。こりゃまいった、手が付けられない、みたいな。


 そしてさらに謎なのがこの次のシングル曲『風に吹かれて(作詞作曲小田和正)』なんだが、これ典型的なオフコースナンバーだよねえ、うんうん知ってる知ってる、ってところはあるものの、中3リアタイ時に聴けていたのかどうなのか甚だ疑問が残る。


 というのも1979年6月5日発売で、オリコン年鑑だと、週間最高順位41位で、年間データだと発売日の関係もあるのか掲載がない。翌年の年鑑の通年データ見ても掲載がない。いずれにせよ『愛を止めないで』に比べると売れていない。なのでこの曲はリアタイ時には聴いてない可能性もあるし、でもあの時に聴いたなあ、ってのもあるし、全くわからない。


 これを書き始める前までのうっすらとした「歴史感覚」だと、『愛を止めないで』→『風に吹かれて』→『さよなら』とホップステップジャンプみたいな感じを思い描いてたんだが意外とそういうスルっとした流れでもなかったんだなあ、みたいな。


 つまりアリスでいうところの『冬の稲妻』みたいな役割を『愛を止めないで』が果たしていた、っていう感じじゃなかったんだ、みたいなね。


 実際、『冬の稲妻』→『涙の誓い』と『愛を止めないで』→『風に吹かれて』をこう並べて比較してみると、ワイルドな大衆性みたいなものは後者には欠けているのかもしれない、ってのはある。あるが、『冬の稲妻』と『愛を止めないで』の比較なら圧倒的に『愛を止めないで』かなあ、って気はする。いろいろな意味で。それだけ初めて耳にした時のインパクト強かった。逆に『冬の稲妻』に関しちゃ既存の『帰らざる日々』『遠くで汽笛を聞きながら』と比べてどうなのよ?ってところあるし。


 このあたり実際の売れ具合と曲そのものへの評価のズレってのは出てくるものですよね。


 オフコースとアリスじゃ、詞と曲調の風味が全然ちがうってのはそりゃ当然なので、それはそれとして、純粋に「演奏」の面だけで捉えると、やはりコーラスの厚みですかね。これに関しちゃ対アリスうんぬん、じゃなく、単純に全ニューミュージック系グループ内でも秀でていたってことでしょう。人数面の優位性もあるし。


 そういう抜きんでた演奏面の特徴は『風に吹かれて』でも十分に出てたと思うんだけど当時はそんなに売れてなかったんか?といまあらためて再認識させられたってことです。


 コーセー歌謡ベストテン、1976年のアリスの『帰らざる日々』に関しても、オリコンデータと突き合わせると微妙なところあるんだけどランクインしてたし、『愛を止めないで』もちょっとそれに似た側面あるよなあ。


 ましかし、オンエアされないよりはされた方がよかったには違いない。


 というかあれだな、特にヒットチャートに興味のない人って、やっぱり『さよなら』からいきなりオフコースを知ったってことになるんか。もしかして。そのへんどうなんだろう。ま、他所様のことは気にしてもしかたないかな。


 で、蒸し返すようだけど、やはり『風に吹かれて』、1979年の6月、販売日の前後、ベストテン番組じゃない何かで聴いてた可能性あるかなって気がしてきた。やっぱりあの『さよなら』の時、ジワジワとオフコースきて、ここでドーンだなあ、みたいな感想持ったような記憶あるもんなあ。


 いま販売日の「前後」って書きましたけど、販売前の曲がフルコーラス流れることも無くはないですからね。


 コーセー歌謡ベストテンの全記録とかあるといいんだけどなあ、とかつくづく思いますよね。こういう時。


 ということで、厨房時代までのオフコース知識ってのは今書いてるような感じで、御高名はかねがね伺っております、の状態で『さよなら』の前に知ってた曲は、『愛を止めないで』1曲のみ、もしくは『愛を止めないで』と『風に吹かれて』の2曲のみ、だったということでほぼ間違いなかろう。


 そして『さよなら』以降、どんどんビッググループになり、解散後小田和正ソロでも誰でも知っているようなレベルのヒット曲出して、ということでそういう説明はよいとして、とにもかくにも中3までの段階だと、あの有名なタモリVS小田和正の構図はまだ世に現れてないわけです。


 ま、繰り返しになりますけど、「是々非々」で物事に臨んでますので、アリスのハンドインハンドでドン引きしたのと、ケースは違いますけど、自分が中学卒業、高校入学以降にオフコース、ヒット連発のさなかの『Yes-No(作詞作曲小田和正)』の歌詞「君を抱いていいの?」にタモリが、いちいち聞くかそれ?みたいなツッコミいれたのがほとんどすべての問題の肝だと思うわけですが、当時は、なるほどそりゃタモリに理がある、ってことで心理的に完全にそっちに加担し続けるような姿勢でずーっと過ごしてたわけですけど、時はどんどん移り変わり、いまこれどうなのよ?ってことになってますよねえ。世界中で性加害問題が取り沙汰されるようになって、あれやこれやの大問題もリアルタイムで進行中なわけですが。


 まあ自分ももうこれちょっとどうしていいかわからないってところが多いですけどね、やっぱり週刊文春みたいなところを駆け込み寺みたいに使うのはやめた方がいいと思いますよ。


 「近代社会」みたいなものが成立したころから知恵を集めて、綿々と確立してきたような、基本原則というのか、一般意思1・0的なものというのか、そういうのは遵守しつつ物事進めた方がいいですね。私刑の禁止、無罪推定の原則の2点はゆるがせにしないでもらいたい。司直の手にゆだねるのがあるべき姿だし、司直に問題があるのであれば、それを正すという方向で動くべきでしょうな。






 





 

 


















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