猫の気持ち。(短編)

ライ・スシワシ KKG所属🐾

主の色恋

 私は猫である。名前はまだない。知らない公園で鳴いていたことは覚えている。そして、拾われた。主の名は知らぬが、という言い方だけは覚えている。私は主が好きだ。


私が拾われたのは、雨の日であった。どこにいるのかわからずにニャアニャア鳴くことしかできない。そんな私を、主は救ってくれたのだ。私は主に恩を抱いている。何かあったら主を助けるつもりだ。どんなことでも。


「ただいま〜!!」

主が帰ってきたようだ。部屋の隅っこに私は居座る。


「お、にゃん太郎も元気にしていたか〜?」


どうやら私はにゃんたろうという名前がつけられたようだ。良い名だ。大切にするか。


「そんなにゃん太郎には……じゃ〜ん!!首輪をつけます!!」


首輪…正直私にはいらないと思うが、まあ試しにつけてみるか。


「あれ?猫って首輪いらないんだっけ?どっちだっけ……まあいいか」


そういいながら、私にその首輪とやらをつけてくる。着心地悪いがまあいいか。主がつけてくれたものだし。


「ふふっ、にゃん太郎〜!!」


主が私のお腹に顔を当てて、なぜか吸ってきた。むず痒い。でも嫌いじゃない。


「す〜は〜す〜は〜」


私のお腹を気に入ってくれたのあろうか?


「あれ、男の子だったなんだイテッ」


流石に私でもそこは見られたくない。恥ずかしいのだ。


「ええ〜いいじゃ〜ん?」


再び猫パンチ。主に当たらない程度に。


「ぶ〜」

主は何故か顔を膨らます。


「ねえ、にゃん太郎?私、好きな人がいてね、その人に告白しようか迷っているんだけど、どうすればいいかな?」


・・・。いいなその男は。私を救ってくれた人私の好きな人に愛されているのは。私は猫だ。人間の性欲はよくわからない。ただ、私ができることは…


「ん?元気出せ、って意味なの?・・・ありがとう、にゃん太郎」


私は主の頭にぽんぽんと手を当てた。どこかで見た。転んでしまった子どもに、親が頭をぽんぽんしているところを。私はそれを真似ただけである。


「よ〜し!!明日告白するぞ〜!!」


主はそう言って元気が出たみたいだ。明日の嬉しい顔が楽しみだな。


「にゃん太郎、ありがとね!!」


満面の笑みだ。主の役に立って嬉しい。これからも主を支えていこう。

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