異世界結婚相談所 ~魔王と勇者の婚活事情~

湊 マチ

第1話 異世界結婚相談所、開業します!

ブラック企業の婚活コンサルタントとして過労死した俺、篠崎遼一は、気が付けば真っ白な空間にいた。


「ようこそ、異世界の入口へ。」


突然現れたのは、見るからに怪しい中年男性。白いローブを羽織ってはいるが、その態度はどうにも軽い。神を名乗るその男は、俺をにっこりと見つめた。


「君、婚活コンサルタントだったよね?人類を何組も結婚に導いたって聞いたよ。いやあ素晴らしい!異世界でそのスキル、ぜひ使ってくれないかな?」


「は? なんの話ですか?ていうか、これ、夢ですか?残業でぶっ倒れた俺の現実逃避?」


「残念ながら現実だよ。君、過労死したんだ。」


……え?


俺の頭が情報を処理する前に、神が得意げに説明を続ける。


「君がこれから行く異世界は、深刻な婚姻率低下の危機にある。種族同士の争い、文化の違い、恋愛観のズレが原因で、結婚する人が激減しているんだ。このままだと人口減少が止まらず、世界が滅びるよ。」


「なんでそんなヤバい問題を俺に押し付けるんだよ!?」


「だって君、婚活のプロだろう?人間関係の難しさに耐え抜き、膨大な案件を成功に導いてきたんだ。君ほどの適任者はいない!」


「いやいや、俺はただのサラリーマンだぞ!異世界で結婚相談所なんて無理に決まって――」


「安心して!君には特別なスキルを与えるから。」


神が指を鳴らした瞬間、俺の頭の中に何かが流れ込んできた。


「その名も“愛の分析”。対象者同士の相性を一瞬で判断できる力だよ。これさえあれば、どんなカップルもベストマッチングさ!」


「そんな力もらっても……」


「大丈夫。あとは君の腕次第だからね。ほら、頑張って!」


「ちょ、待――」


俺の抗議も虚しく、視界が一瞬で暗転した。


気が付けば、俺はにぎやかな街の広場に立っていた。木造の建物が立ち並び、人々が行き交う中、どこかファンタジー感のある雰囲気が漂っている。


そして目の前には一枚の看板。


「篠崎結婚相談所」


……いや、勝手に看板作るなよ!


こうして、俺の異世界人生――いや、「異世界婚活アドバイザー」としての新たな物語が始まった。

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