第3話 アリス
~アリス宅前~
「アリス大丈夫かな、、、」
エレナが心配そうにアリスの家の前に立ち呼び鈴を鳴らす。
しかし、しばらく待っても一向に開く気配がしないので大声で呼びかけてみる。
「アリスー!」
さらに待ってみるも音すら聞こえなかった。
エレナはドアを開けようと試みる。
「あれ、鍵が、、、」
エレナは中へと入る。
(なんというか不気味だな、、、いつもアリスと遊ぶ時は少しも感じないのに。)
家の中は電気が付いていなかった。
ただそれだけだ。しかしエレナはどことなく不気味に感じた。
エレナはアリスがいないか薄暗い家の中を探索する。
そしてリビングにやってきた。
机の上には、出しっぱなしにされた空のコップに、 使用済みの薬の包装。
(やっぱり体調が悪かったのだろうか?、、、)
壁にはカレンダーがかかっており、今日を指す場所に付箋が貼ってある。
(一階には誰もいなさそうだな。)
おおよそ見回ったエレナは二階にも足を運ぶことにした。
「アリスー!いるかー!」
「こ、、、こないで!!!」
「!?」
急な声にエレナは驚くが、すぐにその声はアリスだとわかった。
「、、、アリスいるのか?」
「あ、あはははは、、、エレナ、、、下に行って話しましょう?」
その声の元は奥の扉から聞こえるように感じた。
エレナはそのドアに近づいて話す。
「アリス、、、何か隠しているのか?、、、」
その問いに返事はなかった。
「アリス開けるぞ!」
エレナはドアを勢いよく開ける。
扉を抑えていたのか、エレナがドアをあけた途端にアリスは床に倒れる。
「アリ、、、ス、、、」
エレナはアリスのことを心配するより、この部屋の異常さに言葉を失った。
「なんだよ、、、これ、、、」
壁一面には刃物を描いた図が載っており、またもう片方の壁側には段ボールが大量に積み上がっていた。
「ッ!、、、」
アリスはエレナを押し退け部屋を出ていった。
「いってえ、、、おい!アリス!!!」
エレナは後を追おうとするも、立ち上がり部屋を出た後の視界にアリスはいなかった。
(逃げ足のはやい!、、、)
エレナは追いかけるのを諦め、この陰鬱とした部屋を探ることにした。
(なにをアリスは隠しているんだよ!、、、)
エレナは部屋の角にある机に向かった。
机の上には鉛筆や定規などが散乱している。
引き出しの中には、誰かの家の間取りがかいてあった。
(なんのために、、、)
次にエレナは段ボールの中を見てみる。
中には何も入ってなかった。
(他に目につくものはないか、、、本当になんのためなんだ。)
エレナは二階の他の部屋も探してみることにした。
(たしかに普段は二階まではお邪魔しないからな、こんな事になっていたとは気づかなかったな。)
階段近くの部屋に入る。
(、、、)
この部屋も同様に陰鬱とした雰囲気をしていた。
壁には切り傷らしき後が無数につけられていた。
床には紙が散乱しておりこちらも切り刻まれたかのような形をしていた。
空いたままの小さな引き出しにはなにも入っていなかった。
(アリス、、、)
エレナは他にも探索したがあれら以外はおおよそ普通であり、見つけられたのはこの二部屋と、どこかの家の間取り図だけだった。
アリスがいないかキョロキョロしながらも、エレナは家の外に出た。
エレナは少々アリスに対し不信感を抱いてしまっていた。
(家に帰るか、、、)
エレナは気持ちに整理をつけるために自宅に帰ろうと思った。
と、そこで気づく。
(なんだあれ?)
エレナが目線を送るのは、左上がクリップで止められた紙だった。
地面に落ちていたのでエレナは拾った。
(!!!)
エレナはその書類に書いてある文字にまたしても言葉を失った。
(、、、ハハ、、、何を考えてるんだよ、、、)
そこにはアリスらしき文字で”ルイ殺害計画”と書かれていた。
エレナは中を開かず何も考えないように自宅へとゆっくり足を進めた。
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