俺を裏切った彼女とその浮気相手の男に復讐したら、頼れる親友と共に新しい青春を歩むことになった~ざまぁから始まる俺の薔薇色の逆転劇~

こまの ととと

第1話

 放課後。

 俺――篠崎みなとはいつものように部活を終え、商店街を歩いていた。


「今日も疲れたな……」


 なんてつぶやきながらも、そんな時に癒しになってくれる存在を思い出す。

 俺の彼女、小坂あかりだ。

 高校に上がってから出来た恋人で、初対面から妙に気が合ってそのまま付き合うこととなった。


 自分で言うのもなんだが、かなり美少女だし、周りの羨むカップルだ。


 所属している部活の関係で、放課後に会う機会には恵まれないが、その分は日中の学校の中でイチャイチャしながら過ごしている。

 今日だってそうだった。


 たわいも無い会話で笑うあかり……。


「ああ、今日も可愛かったなぁ」


 なんて浮かれた事を言ってる俺の体には、もう疲れも無く吹き飛んでいた。


 そんな時だった。


「……ん?」


 ふとした偶然で、人混みの中から最愛のあかりの姿を見つける。

 こんな時間に、こんな所で会うなんてな。


 声を掛けようとした時、様子がおかしい事に気付いた。

 人混みの中から段々と見えてきた姿。それは誰かと楽しそうに笑っている姿だ。


 そして、その笑いかけている相手。隣にいる人間の存在に俺は驚いた。


「――ッ!? あいつは!?」

 

 筋肉質で派手な服装の男、同じ学年の安藤健吾だった。

 素行が悪く、評判の良くない男だ。

 少なくとも、ガラの悪い連中以外でツルんでいる姿を見たことがない。


 俺は目を疑い、二人を追った。


 路地裏に入った二人を見た瞬間、さらに目を覆いたくなる事態に発展していた。


(なんだと!?)


 あかりが安藤に抱きつきながらキスをするのを目撃したのだ。

 起こっている事態に、しばらくショックで動けなかった。


 その間にも、二人はキスはさらに熱くなっていく。


 俺は意を決して声を上げた。


「あかり……! お前何やってんだよ……!」


 驚いた表情を見せた明莉だったが、すぐに悪びれることなく「え、湊……? なんでここにいるの?」とあくまで平然としている。


「……は?」


 安藤も面白がるように鼻で笑い、俺を煽り始めてきた。


「なんだお前、こんなとこでストーカーかよ? お前の彼女って言っても、もう俺のもんだけどなァ」


 問い詰めようとするも、安藤は俺を壁に押し付ける。


「うっ!」


 思わずうめき声を上げる俺。

 それを見て、何が面白いのかケタケタと笑い始める安藤。


「ははっ。だっさ」


 その傍らであかりは、俺を見下ろすように笑いながら安藤に同調し、冷たく吐き捨てる。


「だってみなと、退屈だったんだもん。アンタと付き合ってるの、本当時間の無駄だったよ」


「そ、そんな……」


「いい加減にしろよ。人の女に気安く話掛けんじゃねぇ!!」


 安藤に殴られ、傷ついた俺はその場に倒れ込む。


「ああっ!?」


「やっぱダサいよ、アンタ」


 二人は笑い声を上げながら、夜の街へと消えていった。


 ◇◇◇


 翌日、俺はボロボロの状態で学校に登校するが、クラスではすでに噂が広まっていた。


「篠崎の奴、昨日街で泣きながらフラれたらしいぞ」


「しかも相手、安藤ってヤンキーらしいな」


 いたたまれずに席につくが、あかりはあたかも何事もなかったかのように、女子たちと談笑している。


「何? 結局別れたわけ?」


「だってさぁ、元々お情けで付き合ってただけなのに。その気になってうざかったんだよね」


 その後教室に入ってきた安藤があかりに手を振り、教室全体がざわつく中、彼女は嬉々として彼の元へ駆け寄る。


「あっ、健吾。愛しの彼女に会いに来たの?」


 二人が親しげに振る舞う姿に、俺の心は今度こそ粉々に砕かれたのだ。


 ◇◇◇


 放課後、一人で屋上にいる俺。本来なら、隣に居たはずの女はもう居ない。今もどこかで俺の事を今の彼氏と一緒に見下しながら笑っている事だろう。


「はぁ……、どうしてこんなことに」


 これまでの自分の無力さを悔やみ、彼女に尽くしてきた日々を思い返しながら、湧き上がる怒りと屈辱を感じていた。


(俺は結局、単に弄ばれていただけのバカな男ってことかよ……っ)


 悔しい。ただ悔しかった。


 その時、屋上の扉が開く男が聞こえてきた。

 誰か来たのだろう。そちらに目をやると同じクラスの椎名ひよりが現れる。椎名は露骨に落ち込む俺の様子を見てか、心配そうに声をかける。


「大丈夫……って聞くのも無神経かな。でも、篠崎くんがこんな顔してるの、珍しいよね」


 正直、今は話し掛けて欲しくなかった。だが真剣な表情に心を動かされたのか、向き合う事にした。


 最初はこちらを気遣うような当たり障りのない会話。それからつい話し込んだあと、こちらの心に踏み込んで来るようなひよりから放たれた一言が、俺を奮い立たせるきっかけとなった。


「そんな奴のせいで、篠崎くんが傷つくの、見てられない。絶対に見返してやろうよ!」


 その言葉に俺は心を決めた。


(大して関係も無い俺の為に、ここまで言ってくれる人間が居るなんて……。そうだ! こんな事で腐っちゃいけない!)


 今の自分を変えるんだ。あの馬鹿共を見返すために。

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