🎅2❄️

 こんな事になったのは、超しょーもない理由。


 オレはただ、夕飯を食い終わって動画を見てただけ。そしたらユキが「食器ぐらい片付けてよ」とか言ってきた。


 え? なんで急に?

 ユキとは一年の付き合いだ。

 けど、片付けろなんざ今まで言われた事ねーぞ?


「なんで?」


 謎過ぎる指示に言い返すと、さらに「いつも君の分も僕が片付けてる。せめて台所に運んでよ」とユキが言った。


「や、片付けとか言われてねーし」


「言われなくてもやってよ。自分の分ぐらい」


「ハァ? 言われなきゃムリだろ。急に何キレてんの?」


 そう言った途端、ユキは突然ハンガーの自分のコートを引っ掴んで、そのままバタバタと部屋を出て行った。


「おい、どこ行くんだよ!」


「どこでもいいでしょ」


 顔をうつむかせながら最後に扉を開けて、あの捨てゼリフ。


「君なんか、もう知らない」


 それが一時間ぐらい前のハナシ。

 20時を過ぎても、ユキはまだ家に帰って来ない。


 マジダリぃ。

 こんな事でマジギレすんの? めんどくせぇ。

 こっちだって知らねーわ。


 カッとなって最初のうちはダラダラ動画を見てた。


 どうせすぐ帰ってくんだろ。そう思ってたのに、十分経っても、二十分経ってもユキは戻って来なかった。


 オレが悪い訳じゃねーし。


 けどそっからエグいイライラのせいで、今はただ部屋でボーッとするしかやることがない。


「ハァー……」


 テーブル下の長座布団に寝っ転がる。


 手触りのいい、あたたかい素材の長座布団。

 去年、ユキと一緒に初めてZトリで買いに行ったヤツだった。


 まだユキが、この家に来たばっかりの、オレの事をまだよく知らない頃の——。

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