第19話

◇7. 連れていかれる少女

 こうして、イリスは隣で震えていた子供たちに視線を投げ、わずかに微笑(ほほえ)もうとした。

 「もう……大丈夫。私……ごめんね。先に行くから……」

 村人の一人が「イリス……」と弱々しい声をかけるが、どうすることもできない。

 「行くぞ」

 ガルサーグが乱暴にイリスの腕を取る。ヒリヒリと痛むが、彼女は悲鳴を押し殺す。


 ルシファードは背を向け、先に立って歩きだす。ゼアハが子供たちをチラと見下しながら、くつくつと笑みを漏らす。サルグリッドは村の礼拝堂を一瞥(いちべつ)して、

 「こんな場所に神はいない。もし居ても、お前らを救う力などないさ」

 そう呟(つぶや)くと、冷たい風とともに四人の眷属はイリスを連れて村を出ていく。

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