灰かぶり星の少女

第41話

「殺されるーーっ！！」

「助けてーーっ！！」

大パニック！！

恐怖は伝染すると聞いたことがありますが、これがそうなのですね！！

我先にと男の人が現れたドアとは反対側から逃げようとする人達でごった返す中。

あたしと長谷川さんと碇さんは、一人たりとも逃さないとばかりにドアで仁王立ちしている男の人を凝視します。

昨日の包丁の人、とは別人でした。

そして

「とりあえず」

「包丁は」

「持ってませんね」

確認。

しかし……

確かに長谷川さんの言うとおり、似ています。

生気のない表情、しかし血走った瞳が異様な光を放っているところが。

病気……という表現がしっくりするような……

はっ！！

病気なのでは！？

喜田川さん！！

喜田川さんが倒れている先生に駆け寄っていくのが見えました。

あたしもっっ

「待て待て待て」

「お前は待て！！」

「えっ！？なんでですかっ」

喜田川さんがっ

「もし、アイツが“星”を狙っているのなら、“星”の出しっぱなしはマズいよシン」

冷静な声で柚乃ちゃんが話してくれます。

碇さんもさっき言いかけてました。

“星”っ“星”っ。

戻って！！と強く願うと”星”は体内へと吸い込まれていきました。

これで大丈夫で

ん？

喜田川さんがこっちを見てます。

「喜田川さんっ！！」

「……っっ！！」

「えっ！？」

何か叫んでいるのですが、このパニックで距離もあるためわかりません！！

「任せろっ！！」

「碇さん！？」

碇さんがズズイッと前に出て喜田川さんの口の動きを読み取ってくれようとしています。

「お願いします！！碇さん！！」

「………っっ！！」

「早く……お、お」

お？お？

「お菓子を買ってこい！！」

「えぇーーー！？」

今！？

今ですか！？

ヒュルルルルルルルーーッ

「ぐぁあっ！？」

「碇さん！？」

どこからともなく(間違いなく喜田川さん)、マイクが飛んできて碇さんのオデコに直撃！！

碇さんは間違っていたようです……。

ですよねーー。

わかってました！！

あたしはわかってましてよ！！

わぁあ……

長谷川さんと柚乃ちゃんの視線が痛い……。