第21話

NOside



午後22時




「明日は早いですよ」



「はーい。おやすみなさい」



「はい。おやすなさい」




シンが2階の自分の部屋に入るのを確認して、喜田川はスマホを取り出した。



1つの電話番号を呼び出し掛ける。



この電話番号に掛けるのは……いつも緊急の時。




『……』



「もしもし。お願いがあるのです」



『……』



「ハ?挨拶?私とアナタにそんなものは必要ないでしょう」



『……』



「守ってほしい子が居るのです」



『……』



「はい」



『……』



「高校に一緒に入学しようとしたらダメでした」



『……』



「笑わないで下さい」




喜田川が憮然とした表情になる。




「頼みます。大事な子なんです」



『……』



「ありがとう。よろしくお願いします」




通話を終了してスマホをしまう。




「……“ココロ”。何かが始めろうとしているのでしょうか」




そしてそれに、あの子が巻き込まれる。



喜田川は確かにそれを感じ取っていたーー。



















シンside



“シン。貴女の名前は心と書いてシンって読むんだよ”




夢の中



優しい優しい声がします。



記憶にはない声。


けれど、とても胸を打つ声。


どんな人なのか顔を見たいのですが、声だけしか聞こえません。




“周りの人達に愛し愛される、優しく人に寄り添える心を持ってほしいと願いを込めて、心(シン)”








あたしの名前ーー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る