なんで。ここに。アメリカンマフィア
流羽百眉
第1話 ここはどこなんだ。
あたりを見渡すと、ここは池袋のルミネ最上階、スタバの前だった。目の前には緑色の女の人の看板があるのに、お店の様子がどうもスタバじゃない。僕の隣にいる知らない人に「スタバはどうしたの?」と聞くと、そっと注文カウンターのほうを指差す。メニュー表を見ると明らかに種類が少ない。
アメリカン、ティー…、以上。
「いや、こちとらフラペチーノ飲みたいんだわ。」と突っ込むと、隣の人がようやく「ここはアメリカの大草原に住む家族のカフェなのさっ。」とあきれ顔で言う。状況が全く把握できなかったが、せっかく来たのでティーを頼むことにした。値段は560円。いや、スタバより高いじゃねぇか。少し、いや、かなり高いなぁと不満を胸に、商品受け取り口へ。
そこには、なんということでしょう、非常に幸の薄い、色白でぷくぷくと肥えた少年が頬を赤くしながら眠い目でこちらを見ていた。僕たちが商品を受け取りに来たことに気づくと、虫を払うような手つきでペラペラのプラスチック容器に入ったドリンクをこっちへよこした。僕は、一連のことから「ここはアメリカの草原になったんだ」と思うことにした。
値段に見合わないティーをほっそいストローですすりながら、どこか座るところがないかあたりを見渡すと…。なぜさっき、気づいて腰を抜かすことをしなかったのか驚くほどに、たくさんの肉厚なアメリカンマフィアのマッチョたちが窮屈そうに詰めあいながら椅子を埋め尽くしていたのだった。彼らはなぜか上裸で、布を着るともったいないほどたくさんのタトゥーで体を装飾していた。中でも僕は、ピッチピッチの白いスキニーにスキンヘッド、むっちむちのボディーにABCというタトゥーを輝かせている人に目を奪われた。次の瞬間、その白スキニーぴちぴちマフィアは隣にいた細マッチョアメリカンマフィアの首をつかみ殴りかかろうとした。僕はなぜか「だめだよ。」と大きな声を出し、手を伸ばして止めに入ろうとした。同時に左から僕を知らない人が止めた。「ここでそんな目立つことをしたらだめだよ。」という声が聞こえたと同時に、僕が気になっていたABCマフィアは、後から来た大きなマフィアに瞬殺されてしまった。何がどうなっているのかわからない僕に、「さっき止めに入ろうとしたから目をつけられたんじゃ…。」左隣の知らない人が必死に逃げようと声をかけて手を引いてくれているような気がした。遠くから大きいアメリカンマフィアが僕の方へじわじわと不敵な笑みを浮かべながら迫ってくるのが見えた。
僕は、なんでマフィア?なんで池袋のルミネがアメリカ?なんで僕がマフィアのボスに狙われる?はてなを頭にたくさん浮かべながら意識が遠のいていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます