ルル子っていうメカニック宇宙人につきまとわれて幸せです?

鹿嶋 雲丹

プロローグ 世界はこうなってるんだ

 俺が住んでるこの星には、宙外ちゅうがいから沢山の人がやってくる。


 その目的は、侵略というキナ臭いものじゃなく、観光を楽しむ、というのがほとんどだ。

 なんせ、異星人よそものの奴らから見たら、地球うちは。


 自然がキレイ、人のマナーが良い(つまり戦闘能力が低いってことね)、食いモンも飲みモンもうまい。


 視覚、味覚、感覚を満たしてくれる、超人気スポット。それが地球。おいでませ、地球。


 遊びに来たからには楽しむぜ、土産も買うぜ、とちゃりんちゃりーんと銭を落としてくれる、ありがたぁい異星人よそものたち。


 ところがどっこい。


 たまに、不法に侵入して悪いことをするフトドキな輩もいるのだ。


 でも大丈夫!


 それを取り締まる機関が、ちゃんとあるからね。異星人対応係っていう、警察組織の一部。

 ちなみにその人達、ワルモノ異星人を取り締まるだけじゃなくて、帰りたいけど帰れない、みたいに困っている異星人の保護なんかもしている。


 ザ・困った時には近所の交番へ。

 ちょっとデカめの黒いボタンを押して、備え付けの受話器で困りごとを話すんだ。

 そうすれば、異星人対応係、通称『エイリアンヘルパー(略称エイヘル)』の人達がなんとかしてくれる。


 まあ、俺は生まれてこのかた、そのボタンを押したことはないけど。

 だって街で異星人よそものを見かけたり道を尋ねられても、困ったことなんか一度もないもん。

 今はそんなことより、日々を生きるだけで精一杯さ。


 二十九歳の一人暮らしのアルバイトは、体が資本なんだ。倒れたら、即オダブツだぜ。

 俺には特に夢も希望もないけどさ。とりあえずまだ、生きていたいんだよな。

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