第3話 下着

 「これで今日の練習を終わります。お疲れ様でした」

「「お疲れ様でした」」

 広い体育館内に部員の声がよく響き渡る。

九月も終盤に突入し、少しずつ肌寒くなってきた近頃は、毎年のことであるにも関わらず辺りが暗くなるスピードの速さに驚かされる。

ここは優華が所属している女子バスケ部の練習場所である。体育館を半分に分けたうちの入り口側は女子バスケ部、反対のステージ側を使っているのが男子バスケ部であった。初心者での入部ということに加え、一年生の後期から少し遅れての入部となった優華は、周りに早く追いつきたいという一心で真面目に練習に通っていた。下級生は練習後まで気を抜かず、ボールや得点表を持ち体育館倉庫へと運ぶ先輩を見つけては、半ば強引に奪い去り代わりに片付けるのが日課となっていた。

 用具など全ての片付けが終わり、そろそろ帰ろうかと鞄を肩にかけて歩き出した時、後ろから聞き慣れた声に呼び止められた。

「優華~、一緒に行こ~」

 その声に振り向くと、予想していた通りの人物が小走りで優華の元へ駆け寄ってきていた。

「うん、行こ~」

声の主は、同じバスケ部に所属している同学年の田川(たがわ)実(み)涼(すず)である。学部は違うものの、優華と同じくバスケ初心者で入部したこともあり親しくしてくれている。ほのかにギャル味が感じられる性格で、顔立ちも華やかである。実涼は優華の隣に追い付くと、呼吸を整えながら話し始めた。

「あのさ、今日今からちょっと時間ある?」

「うんまあ、特に用事はないけど」

「一緒に服買いに行くの付き合ってほしい!」

「え、今から?」

 スマホを点灯させると、画面には午後七時七分と表示されていた。決してこれからショッピングをしに行く時間ではないような気はするが、実涼は優華に向き直り、顔の前で両手を合わせて必死に懇願する。

「お願い! マジお願い! 明日彼氏とデートなのすっかり忘れててさ、着ていく服がないの~」

「いやいや、一枚ぐらいあるでしょ」

 優華は素っ気なく答えると、実涼の合掌の手を掴んでスッと下におろした。オシャレや流行に敏感な実涼のことだ。既に何着も余所行きの洋服を持っているだろう。それに、よりによってこんな前日の夜にバタバタと買いに行く必要はないだろう。だが、優華がせっかく下ろしたはずの合掌をもう一度復活させ、続けて必死に頼み込む。

「いや、ほんとにないの、一枚も」

「この前かわいいの買ったって言ってたじゃん」

「ああ、あれは夏服。今日買いたいのは秋服」

 ね、お願い! と何度も懇願してくる実涼に根負けし、買い物に付き合うこととなった。


  


「うわ~かわいいのありすぎて決めらんないわ」

「結構目移りしちゃうね」

「ね」

 優華たちは、通っている大学からそう遠くない場所にある大型ショッピングモールに来ていた。今どきの流行ファッションや目を惹くかわいい小物にコスメたち——。通路を数メートル進むだけで新しいものが目に飛び込んでくる。優華も実涼も、それは忙しなく目線を動かしていた。

 着いて約一時間ほど経った頃、実涼はお目当てのデート服を購入することが出来た。これで優華の任務も達成されたと胸を撫で下ろし、時刻を見ると八時半を過ぎていた。

そろそろ帰ろうかと二人で出口まで歩いていると、突然実涼が少し大きな声で叫んだ。

「何あれかわいい! 優華見て!」

 実涼の指がさした方向と視線の先を追うと、二人がいる場所から十メートルほど離れたところに女性用下着の店が構えてあった。

「あの下着のとこ?」

「そこそこ! ちょっと見に行こうよ」

「え、ああ」

 そう応えきる前に実涼は優華の腕を引き、目的の店へ向かい走り始める。少々勢いに押されつつも店の前に着くと、優華は店の商品に釘付けになった。レースやリボンを基調としたガーリーな雰囲気の商品たちが並んでいる。

「え、めっちゃかわいい……」

「でしょ! 何か買ってこうよ」

実涼はわかりやすく浮足立ち、はしゃぎながら店の奥へと兵って行った。つられて優華も奥へ進んでいく。

「優華も一個ぐらい買いなよ。これとか彼氏喜ぶかもよ〜?」

実涼が見せてきたものは、淡いピンクの生地に黒のレースのリボンで飾り付けられている可愛らしいデザインのものだった。

「ほんとかわいいね。ほしい」

「買っちゃいなよ。優華似合いそう」

「でも下着なんだし、勝手に買っちゃだめでしょ」

「え、なんで?」

 優華の何気ない一言に、実涼はぴたりと動きを止めた。素朴でストレートな投げかけに、返答が見つからず言葉に詰まる。

「なんでって…」

「え、もしかして、彼氏の許可いる系⁇ 俺の好みの下着付けろ的な⁇ シンプルモラいんだけどその彼氏」

 マジドン引きなんだけど、そんな男マジやめな、などぼそぼそと言いたいことを次々に言いながら、実涼はまた商品の物色に戻っていた。このままでは洸太郎に〝下着の好みを彼女に強要するモラハラ男〟という汚名が着せられてしまうと思い、許可をとる相手の正解を告げた。

「違う違う、洸ちゃんじゃないよ。お母さんだよ」

「……お母さん?」

 またしても実涼は、優華の言葉に手を止めた。しかし今度は先程とは違い、二人を囲む周りの空気さえもぴたりと流れを止めているように感じた。

「なに、未だにお母さんに下着買ってもらってる感じ?」

怪訝そうな表情で優華に問うた。まさか違うよね、と続けたそうに優華の目を見つめる。やってしまったと直感的に悟ったが、もう取り返しがつかないところまで来てしまっていた。

「お母さんがこれまで買ったやつしか使ってないし、そもそもそれ以外持ってないんだ。ずっとお母さんに許可なく下着とか買っちゃいけないと思ってたんだけど」

 反応を伺うように恐る恐る話す優華に対し、実涼は数秒間黙ったままじっとこちらを見つめていた。

 確かに思い返してみれば、自分で下着を新調したことは一度もなかった。

ちょうど大学二年生に進級するタイミングで、母が下宿先に泊まりに来たことがあった。その時、母が突然優華の胸元を見ながら「大きくならないわね。それじゃあお嫁にいけない」と言ったことがあった。じっとりとしたその視線と、母が放ったその言葉に強い不快感を覚えたことを思い出す。

「誰に似たのかしら、こんなの」

そう言って母がこちらに手を伸ばしてきた瞬間、思わずその手を払いのけてしまったことを、あの光景を、今でもはっきりとよく覚えている。母は何も気に留めることはなく、視線を優華の胸元に寄越したまま静かに「お母さんに任せなさい」とだけ言った。

それから二週間ほど経ったある日、母が二枚の下着を手に持ち「これ育乳ブラなんですって。高かったのよ」と言うと、優華の手に持たせた。それらを手に取った瞬間、心地の悪い不快感と拒絶反応のようなものが腹の奥で疼くような感覚がしていた。いつものように体に入り込んでいくような感覚は一切なく、ただ不快感だけが体中を埋め尽くしていた。

「私、もう大学生なんだから、お母さんにブラジャーを買われるのはちょっと……」

 振り絞ったその声は、予想していたよりずっと弱々しく優華の耳に届いた。伏せていた目をゆっくりとあげると、機嫌を損ねたような表情をした母と目が合った。

「お母さんせっかく優華のためを思って買ったのに、気に入らないってこと?」

「いや、そうじゃなくて」

「なに、またあの男に何か言われたの⁈」

「違う!」

 母の言う〝あの男〟とは洸太郎のことである。なぜだかわからないが、洸太郎のことを悪く言っている時の母が、優華の目にもの凄く醜い生き物のように映ることがあった。気が付けば反射的に強く反論していた。そんな優華の様子に、母は少し驚いていた。

母が何かの〝ゾーン〟に入ってしまった時、優華が最優先すべきことは母の機嫌を損ねてしまった自分を責め、改め、一秒でも早く機嫌をとること。そんな優華が些か声を荒げたその瞬間、それを予想だにしていなかった母がほんの一瞬だけ顔を怯ませた、ように見受けられた。少なくとも優華の目にはそう映った。

腹の奥底、これまでに経験したことのないような熱の沸き上がりを覚えた。高い温度の熱を帯び、それはもはや冷たさを感じるほどの。今まで知っていたものではないもの。

溶けて歪な形で冷え固まっていたはずの蝋燭が、熱によって再び流れ出していくように、息を吹き返しどろどろと腹を這い回る。この沸き上がりを快感というのだと理解した時、優華にこれ以上ないほどの自嘲の感情が生じ、快感はすぐに不快へと変化した。

我に返り、必死に下手糞な笑顔を張り付けるとまた口を開いた。

「でも、もう買っちゃったんだし、使わなきゃもったいないよ。気にかけてくれてありがとね。これからは買う前に相談とかしてよ」

 語尾は冗談めかしたような口調を心がけ、出来るだけ軽快に、明るく。母はありがとうという言葉に少し機嫌が直ったのか、また穏やかな顔を浮かべた。軽い恐怖と強い安堵の反復は、麻薬のような効果があった。


優華が、まるで走馬灯のように当時の記憶を反芻している間、実涼は黙ってこちらを見ていた。暫くの沈黙の後、すぅーっと鼻から思い切り息を吐いた実涼は、視線をこちらに注いだまま呟いた。

「……まあ、何かそんな感じの気はしてたわ。いや流石にブラとかにまで及んでるとは思わなかったけど。あんたのこれまでの話聞いてたら何となく」

「え、何の話?」

 優華のその問いに答えることなく、実涼は優華の首に手を回し方を組んだ。

「今日は絶対一着は買ってくよ。お母さんの許可とかいらないから。誰かの許可なしじゃ不安なら、あたしが許可するから」

「え、うん」

 その後は一番気に入った商品をひとつ選び、半ば強引にレジまで手を引かれていった。店を後にする時、言いようのない罪悪感と高揚感を感じていた。



 二人がショッピングモールを出る時、時刻は九時を回っていた。結構買ったね、良いもの見つかってよかった、また来よ~

そんな他愛もない会話をしながら夜道を歩いていると、ふと実涼が思いついたように話し始めた。

「そういえばさ、優華バイト探してるって前言ってなかったっけ?」

「え?ああ、親に催促されてんだよね」

「じゃあさ」

 実涼は少し間を溜めてから、まるで内緒話をするように優華の耳に近付き、わざと小声で言葉の続きを話す。

「ラウンジでバイトしてみない?」

「え、ラウンジ?」

 全く予想していなかった聞き慣れない単語に、優華は素っ頓狂な声で返した。

「私最近、大学からちょっと離れたところにある飲み屋街のラウンジでバイト始めたんだよね」

「え、ほんとに?」

「うん。でさ、店の人が大学生のバイト欲しがってて、優華もどうかな~って」

「ちょっと待って、ラウンジって」

 つまり夜の店だよね? 水商売ってこと?

 優華の脳内が、限られた数少ない知識を総動員させ必死にイメージする。浮かんだおぼろげなイメージが正解に近いなら、率直な感想としてあまりいいイメージは持っていないというのが本音であった。第一に縁遠い世界であるということに間違いはないはずだ。

 実涼は優華の思考を何となく読み取ったのか、いたずらっぽく笑って説明した。

「そう、ラウンジは夜の店のことだよ。しかもうちの店に関しては、ラウンジってのは名前だけで業務内容はほぼキャバと一緒」

「ええ、キャバクラ……」

 また優華にとって刺激の強い単語が出てきたと、思わず表情を歪ませる。そんなこともお構いなしに呑気な様子で、持っている紙袋をふわふわと揺らしながらスキップでもしだすかのような調子で歩く実涼に小走りで追いつく。

「つまり、男の人の隣に座って、お酒作って、お話しするって感じのこと?」

「大正解! 付け加えるとしたら、超綺麗なドレスを着て、超ヒール高い靴を履いてって感じだね」

 想像するだけで頭がくらくらしそうな世界が、イメージが、実涼の言葉によって少しずつより鮮明になっていく。

「え、それって犯罪とかにならない?」

「ならないよ、なるわけないじゃん。水商売ってみんな嫌ったり下に見たりするけどさ、立派な仕事だよ? ちゃんと需要があって成り立ってんだからさ、どっちかっていうとそういうおっさんらの需要がきもいってだけだし」

 優華の言葉に、可笑しそうにけらけらと笑っている。無知を馬鹿にされているようで少しムッとしながらも、その言葉には納得させられるものがあった。

「確かに、立派に成り立ってる職業だもんね」

「そうだよ。きもいおっさんの相手して聞きたくもない自慢話聞かされて、たまにセクハラされつつも、どうやったら指名してもらえるかとか考えてやってんだからさ。何なら普通のバイトより賢くないと出来ないよねあれは」

 自分の言葉に、うんうんと頷きそうな勢いで力説しているその姿が可笑しくて、優華は吹き出してしまう。すると実涼はこちらの顔を覗き込みゆっくりと口を開いた。

「ま、〝これ〟はかなり良いけどね」

 右手でお金のポーズを作りながら、にんまりと意地悪そうな笑顔で言う。

「ちょっと何言ってんの」

 夜道を歩きながら、今度はふたりでけらけらと笑う。

 時間が遅いせいか、車や人の通りもあまりなく静かな空間が流れていた。静かな空間に、二人の笑い声だけが遠くまで響いていた。スマホをポケットから取り出し、時刻を見た。九時半を回ろうとしていた。


21:02 不在着信

21:05 不在着信

21:09 不在着信


21:12 LINEメッセージ

〝何で電話に出ないの? 何してるの? まさかこんな時間まで遊んでるんじゃないでしょうね〟


21:18 不在着信


21:20 LINEメッセージ

〝まさかあの男と一緒にいるの? お母さん許さないから〟


21:26 不在着信


 画面に映し出された複数の通知は全て母からのものであった。突然歩みを止め、笑顔が徐々に消えていく優華を不思議に思った実涼は、優華の隣に来るとスマホを覗いた。実涼は、一瞬だけ動揺したような表情を浮かべたがすぐに笑顔に戻り、優華のお母さんって心配性だよね、とぽつりと呟いた。

「ほんとうちのお母さんって心配性だよねー。困っちゃうよ」

 若干淀んでしまった空気を誤魔化すように、ヘラヘラと笑って言った。

実涼は優華より少し先を歩いている。背中しか見えず、今彼女がどんな表情をしているかはわからない。優華はどのような反応をされているのか怖かった。

すると実涼は突然立ち止まり、くるりとこちらへ振り返った。優華の肩を両手でがっしりと掴み、真剣な口調で言った。

「優華、やっぱり一緒にバイトしよう。ラウンジで」

「え? いやでも」

「お母さんに言えない? なら言わなくていいじゃん。私だって親に言ってないし」

「え、親に黙ってやってるの?」

 親の許可なくラウンジでのバイトを始めたという事実に驚きを隠せない優華であったが、実涼は肩を掴む手に力を込めながら訴えかけるように言葉を続けた。

「てかさ、やましいとかやましくないとか関係なく、一から十まで報告する必要ない。別に言い訳とかじゃなくて、言っても意味がない」

「そんなのだめだよ。ちゃんとやっていいか聞かないと」

「全部許可がいるの? 全部報告するの? じゃあ優華は、彼氏とどこまでしたとかそんなことも報告するの?」

 実涼の問いかけに思わず言葉が詰まり、それ以上何も言えなくなった。優華をじっと見つめるその目に吸い込まれていきそうな気さえしていた。実涼は軽いため息をつくと、優華の肩から手を離した。

「うちらはもう二十一なの。まあまだ私なってないけど」

 あまりにひどい静寂が二人を包んでいた。この空間だけが切り取られているかのように、一切の雑音が取り除かれている。

「本チャン入店の前に体験入店が三回あるの。職種が職種だから、とりあえずそれに出てみて本当に無理だなって思ったら体入終了後にお店に言って辞めればいいから。入店した後でもいつでも辞めれるから」

 ね?と、こちらを心配そうに伺う。

「とりあえず、ちょっと考えさせて。決めたらちゃんと返事するから」

 優華のその返答に、実涼は安心したように微笑んだ。



 家に帰ると、ふらふらとベッドまで歩きそのままだらしなくダイブした。息が苦しくなり仰向けになると、今日のことが次々に思い出されてきた。

 暫くして優華はベッドから上体を起こし、机を見た。置かれている淡いピンク色のビニール袋を手に取り、そっと中身を取り出す。今日あの店で買ったものである。レースの装飾がふんだんに使われたミントグリーンのその下着は、真ん中にリボンと小さなチャームが付いていた。ゆうかの手が微かに動くたびに、それに合わせてチャームもゆらゆら揺れる。

そうだ、昔から優華はレースやリボンが好きだった。ピンクや水色、ミントグリーンなど淡くて可愛らしい色が好きだった。

いつの間にか忘れていた。いつの間にか、自分の好みさえ分からなくなっていた。あの店の前に立った時、忘れていたはずの感情を思い出し、暫く釘付けになった。

なぜ忘れていたのだろうか。あんなにも好きだったのに。

一つひとつはたとえ小さな〝選択〟であったとしても、積み重なれば徐々に自分の意思や好み自体が消えていく。いつしか選んだものが母のための選択なのか、自分の本当の選択なのかの判別も、もうつかなくなっていた。

その瞬間、腹の底に熱を帯びていくのを感じた。ギュルギュルと優華にしか聞こえない音が渦を巻いているのがわかる。

──リボンにレース…。あんたがかわいいと思うものってほんとわかりやすいものよね

——どうしていつもそんな変なのを選ぶの? そんなわかりやすくてださいもの選ばないでよ


 肺に十分に空気を満たすことができない。吐く音だけが大袈裟に音を立てて呼吸を成り立たせようとする。奥底から何かが手を伸ばす様に這い出てこようとしている感覚に襲われ、手元にあった布団を力を込めて思い切り握った。

優華は立ち上がり、冷蔵庫の扉を開ける。中を見渡すと、がらんとした空間の中に唯一ぽつんと梅酒の瓶が入れられているのを確認した。少し大き目のその瓶を取り出し、蓋を取ると一気に体内へ注いだ。勢い余った蓋が床に転がる。口の端から酒が筋になって垂れた。

アルコールの熱さが喉元を這うように注がれ、こみ上げてきた毒素を覆うように被さり下へと流れていった。

徐々に荒かった呼吸が落ち着いていく。

優華はもう一度買ったブラジャーを見た。

「かわいい」

 優華の耳にさえ届くか定かでないような消え入りそうな声で呟く。

畳んでしまっておこうとクローゼットを開けると、母が買ったあの下着が並んでいた。一瞬だけ気持ちが怯みそうになったことに気が付かないふりをして、しかしやはり手前に置かれているそれらの陰に隠れるようにしてクローゼット奥に買ったものをしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る