無能の花嫁は薔薇の香りを纏う

百道みずほ

第1話

プロローグ

 月明かりがそっと差し込んできた。

 開けた窓から涼しい風が入ってくる。


 あなたが『運命の人』。

 彩香はまっすぐ康永の瞳を見た。

「好きだ」

康永は彩香にそっと手を伸ばす。

 触れた指先が熱い。甘く切ない緊張感が走った。

 彩香は康永から目を離せずにいる。


「わたしもあなたとずっと一緒にいたいです」

「彩香……」

 康永が彩香の頬に触れた。

 夜空の星が恋人たちを静かに照らしていた。


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