第4話 駆けつける男
ぼくが到着したときには、赤髪の女子生徒は校舎を背に、座り込んでいました。
殴られたのか頬は腫れ、鼻や口の端からは血液が流れています。
地面に転がっている白いものは、彼女の歯でしょうか。
薄い笑みを浮かべながらも荒い呼吸を繰り返す彼女を、数人の女子生徒が囲んでいます。
おそらく、首領である金髪の女子生徒の手下なのでしょう。
自分たちが優位な状況であるにも関わらずその表情が硬いのは、首領の暴力行為がどれほど恐ろしいものなのかを知っているからだということが考えられます。
当の首領は、眉間に皺を寄せながら、野球で使う棒を担いでいました。
首領は険しい表情のまま、眼前の女子生徒に向かって口を開きました。
「もう一度訊くぞ。あたしという恋人が存在していることを知りながら、何故あたしの男に手を出したんだ。答えの内容によっては、どれほど痛めつけるかを考えるが、また変な答えを口にすれば、二度と喋ることができないようにすることは確実だ。分かったか」
その言葉が虚言ではないことを理解しているのか、手下の女子生徒たちはその身を震わせました。
ですが、赤髪の女子生徒は笑みを消すことなく、口内に溜まっていた血液を地面に向かって吐くと、
「あんたみたいに、誰もがひれ伏すような人間が困るところを見たかっただけよ。あんたの恋人じゃなかったら、あんな男となんか関係を持つことはなかったけど、だからこそ、あんな面白い話を聞くことができたのよね」
首領の顔に疑問の色が混ざると、赤髪の女子生徒は心底おかしそうな表情を浮かべました。
「あの男が言っていたわよ。あんた、普段は向かうところ敵無しみたいな感じだけど、あっちの方は、雑魚そのものらしいじゃない。男の方が快楽を覚える前にいつも気絶しているから、気を失ったあんたの横で、あの男は仕方なく自分の右手で処理しているらしいわよ。情けないのは誰でしょうね」
この状況でそのような言葉を吐くことができる彼女の神経は、どうなっているのでしょうか。
火に油を注いでいることは間違いなく、首領の身体が震え始め、その様子を見た手下の女子生徒たちはその場から離れようとしています。
首領はしばらくの間、その身を震わせていましたが、やがて大きく息を吐くと、手にしていた棒の先端を赤髪の女子生徒に向けました。
「聞いた話によると、てめえはあたしの男だけじゃなく、のべつ幕無しに色んな相手と関係を持っているらしいじゃねえか。それなら、あたしがてめえに実行することは、これだな」
首領は棒の先端を、赤髪の女子生徒の下腹部に押しつけながら、
「そんなに棒を咥えることが好きなら――この棒もぶちこんでやるよ」
その言葉で、これから自分がどのような目に遭うのかを想像したのでしょう、それまで笑みを浮かべていた赤髪の女子生徒の表情が、固まりました。
これまで纏っていた余裕が消えると、彼女は手の平を合わせながら、首領に頭を下げました。
「それは、やりすぎだと思うわ。許せとまでは言わないけれど、同じ女として、自分が同じことをされた場合を考えてほしいのよ。どう、少しは抵抗感のようなものが生まれてきたと思うけど」
「いや、全く」
即答でした。
首領が無言で目を向けると、手下の女子生徒たちが動き始めます。
それぞれが赤髪の女子生徒の腕と脚を掴み、身動きが不可能である状態を作り出しました。
それでも、彼女は拘束から逃れようとしていましたが、どれほどもがいたとしても、無意味な行動でした。
やがて、首領が制服を捲り、自分の下着に手を伸ばし始めたために、逃れることは不可能だと覚悟したのか、赤髪の女子生徒は双眸を強く閉じました。
むごたらしい行為が始まる前に、女子生徒たちに向かって、ぼくは告げました。
「同意の無い行為は、問題ですよ」
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