第10話 大乱闘!魔法物品大会 後編

「ああっ、きたマァレェ!!!」

「やっと来たあ,,,,。よかったみゅんっ。」

リールとサリーが騒ぎ立てる。マーレは若干うれしそうになりながら優しく払いのけると紙袋をサヒトに渡す。

「お、サンキュ。で、今日は何する?」

「ええっと、今日難しいのやるよ。布に、この魔法のインクを全体に塗る簡単に見えるかもしれないけれど、重なるとただのTシャツになるから気を付けて。」

「うひゃあああああっ!?!?!?!?!?」

リールが大げさな声を出す。焦りまくってまさに冷汗三斗。サヒトがクククッと笑う。

「大げさだな、リール。落ち着けよ、重なんなきゃいいんだろ。」

「しかも、インクは光るから大丈夫よ。」

「心配しすぎ、そして迷惑みゅん。」

皆が一気に皮肉。(みんな厳しいなあ。)リールがむっとする。

「ちょっと、そんなに私ダメダメ人間に見えるわけ!?あんた達、私を何だと思ってるのよ。あなた達こそ人を悪く言うダメダメ人間だね~~!」

「はあ!?」

マーレは机に布を広げ、インクを置く。次に絵具セットから筆を取ると、インク瓶に筆を入れてカチャカチャとかき混ぜる。ワイワイ騒ぐ3人をほおって作業する姿はやはり冷静な頭脳担当だと思わされる。

「はい、うるさいわよ3人とも。」

そう冷たい一言を放つと、みんな黙り込む。

「ハア。作業、手伝ってくれるかしら?」

「「「はーい。」」」

おとなしく黙って、席に着く。筆を持って、布に筆を付ける。

「あんま長くやりすぎないようにしてよ。濃くなったら二重になったのと同じだからね?」

「げっ。」

皆が焦って慎重に作業し始める。

「フへえ、疲れた。サリー、筆にインクつける係変わってくんない?」

「いいみゅんよ!」

サリーが席を立った時、リールは筆をおく。だが,,,,。

置いた場所は机ではなく、だった。

そう、二重になってしまったのだ。筆からはインクが垂れていく。

「ひゃあっっ!?!?!?!?」

リールの顔は真っ青。真っ青じゃないくらい真っ青になって目を見開き、黒目がめっちゃ小さくなって。口を大きく開ける。

「うるさいわね、どうしたの。」

「ついちゃった,,,,,,。」

「「「はあっっっっ!?!?!?!?!?!?」」」

サヒトが席を立つ。そして紙袋を捜す。

マーレの席に会ったそれをのぞき込む。

――おまけって何だったんだろ?役に立つやつだったらいいんだけどよ。

サヒトは紙袋にあったもう一つのインクを取り出す。

「『魔法のインク〈取り消し版〉重なりを取り消しできる!』だと!?」

「「「え!?!?」」」

リールがすぐさまこっちに来て、インクの文字を見る。

「ほんとだ!!えっと、『重なったところにこのインクを塗れば位置中に戻ります』だってさっ!」

「はあ,,,,。ありがとう、サヒト。九死に一生を得たわね。リール。」

サヒトは少し赤くなる。レーナに似ているからか。さすが妹。

「それほどでもねーよ。」

と言ってるが、うれしそうなのである。

リールは「九死に一生を得るってなんだっけ?」とでも言いたそうな顔をしている。マーレは無視。リールが口を開く。

「ねえ、マーレ,,,,」

「まさか九死に一生を得るってなんだっけ?とか言わないわよね?」

冷たい言葉でぴしゃりと言い放つ。言いにくくなってしまったリールは無言で辞書へ向かう。

「やれやれ,,,,。作業を再開するわよ。」

そういってマーレは作業を始める。いつの間にか、リールが戻ってくる頃には作業が終わっていた。

「えー、私の仕事全然なかった,,,,。」

「はいはい、厄介者は休んでなさい。」

イラっときたリールだが、何も言い返せない。その通りだから。

「んーーーっっ,,,,!!」と踏ん張ると、呼吸を整える。

そしてふうと息を吐き、マーレに近寄る。

「次は何?」

「あとは縫ったりするだけ、簡単よ。」

ほっとするリール。

「私、縫う。」

「俺、切るよ。」

「それじゃあ、私はぬうみゅん!」

「それじゃ、私は切るわね。」

マーレと同じになると知って顔を赤らめるサヒト。

作業をしながら、マーレがぽそっとつぶやく。

「そういえば、レーナ姉ちゃん今日初デートか,,,,。大丈夫かな。」

「えええええええええ!?!?!?」

サヒトは小声で、でも大きく驚く。

「かっ、彼氏,,,,?」

「へ?うん、両想い」

サヒトは真上を向いて沈黙。

――終わったーー、俺の初恋ーーー。

そう嘆いているのを不思議そうに見つめるマーレ。

「どうしたの?にしてもほんとお似合いだよね、滝本先輩とレーナ姉ちゃんなんてさ。」

――学校一のモテ男じゃんーー、絶対無理ーーー。

サヒトが絶望。そして新たな希望であるマーレに目を向ける。

「大丈夫?サヒト。」

――うん、俺レーナさんはあきらめる。マーレに行く。レーナさんが幸せなら、それでいい。俺は幸せになってほしいんだ。

軽いというか、人思いというか,,,,。とにかく自分も告ってレーナを困らせたくないらしい。そしてマーレを幸せにさせると,,,,。やれやれだ。

でもこんなに早く乗り換えられるということは、マーレを思う気持ちもあったのだろうか。ならばやはり、これでよかったのだろう。

「大丈夫、続けよ。」

そうしてチョキチョキと切っていく。

切って、縫って、切って、縫って。

そしてラスト1日。

「「「「完成~~~~~!!!!!!」」」」

サリーが服を持ち上げる。

「はわわわわ、私が考えたものが現実化するとやっぱりうれしい~~!」

みゅん言葉を使わない、満面の笑みの、目をキラキラと光らせているサリーは、何よりもかわいかった。

そして発表会当日。

マーレは焦った。

「発表内容!!どうしましょ!」

「大ジョーブ。安心してマーレ。」

優しく声をかけたのはリール。そしてサヒトが受ける。

「休んでる間、作ってあるさ。」

これのことか!なるほど、マーレは納得する。

「ありがとう!今週は、サヒトに助けてもらってばかりね。」

サヒトはますます顔を赤くする。

「そんなことないよ。さ、発表見に行こうぜ。」

「うん」

体育館で発表会が行われた。みんな学年1位を目指して。

最初は、レーナのクラス。

「私たちが作ったのは魔法BOOKです!」

マーレの案と同じ、さすが姉妹である。そして同じクラスの高橋と仲良くルンルンしているところを見て、サヒトは宙を仰ぎ、マーレを見る。

――俺にはマーレがいるから大丈夫。

「なぜこれを作ったかというと___」

レーナの説明をサヒトは目を閉じて聞いている。さすがレーナがいるだけあって、完璧な発表だ。

次は、スミレのクラス。

「私達はなんでも見える化です!」

不思議な名前にみんなが耳を傾ける。スミレは計算通りと言わんばかりにニコッとする。さすが学年一の天才だ。

「こちらのボタンを押すと、押した人にだけ1分間何でも見ることができるんです!!」

皆がおーーと歓声を上げる。なかなかのアイテム。

「例えば,,,,。」

スミレはぽちっとボタンを押す。

「サヒト君、ポケットに食券入ってる。ハンバーグ定食、だね?」

スミレが見事言い当てる。サヒトがポケットから食券を取り出すと、またもや歓声が起こる。

スミレはニコニコ、まんざらでもない顔。

――優勝危うし!

誰もがそう思って、一瞬冷たい目を向ける。

――よっしゃ、冷たい目を向けられるほどよかったんじゃん?

スミレは明るい調子、これだから学年一なのだろう。さすがである

そしてやってきたサヒトたちの番。

「サヒト」

「マーレ」

「サリー」

「リールのチームは、」

「「「「デザインチェンジを作りました!」」」」

デザインチェンジという名前はマーレが考えた。

皆がざわざわっとする。リールはふふふと笑うと発表を続ける。

「サリーが来ている服が、そう、デザインチェンジです。」

「例えば私が、海と考えたとします。」

そうサリーが言うと、海、海と何回かつぶやく。

すると、服の模様は真っ白から一気に海に!

「海でかき氷を食べたいな~~。」

そうサリーが言うと、服にかき氷が追加された。

「このように、思ったことによって模様が変わるのです。」

マーレにバトンタッチ。

マーレ、サヒトの順番で説明を始める。

「服は身近なので興味を持つ可能性が大きいと思います。」

「そして自分の思い通りに行く魔法によって、創作意志、魔法への興味を高めることができます。」

「そこで、このデザインチェンジを作りました。」

「「「「これで終わります。」」」」






「それでは、優勝発表です。優勝チームは,,,,」

皆がごくりと息をのむ。

「どうせ、スミレだろ。」

と、ボソッとつぶやく。みんなも同感だ。

「なんでも見える化のスミレチーム!!!」

みんな歓声を上げない。そりゃそうだという思いが込められている

スミレは「っし!」とガッツポーズ。

チームメンバーは静かにハイタッチ。

「それでは、リーダーのスミレさん。上がってきてください。」

スミレは別に緊張する様子もなく階段を上がる。

ぺこりと礼をして賞状を受け取る。そして右に並ぶ。

「それでは、各学年MVPの発表です。」

皆が一斉にざわめく。やはり皆、こっちの方が気になるようで。

「三年生は」

皆が一斉に静まり返る。

「スミレ・ローラン。」


「そりゃそうだよ。」

「当り前だって。」

皆が一斉にため息をつく。

スミレはもう一度校長先生の前に立つと、トロフィーを受け取る。

トロフィーは三年生MVPスミレ・ローランと書かれていて、昔のMVPも書かれている。それを見たら、スミレはにやりと笑った。

「二年生はレーナ、一年生はマーレ。」

「おお、姉妹MVPじゃん!」

「すっげ、スミレもレーナと仲いいんだよな!」

「学園三大女子、誕生~~!!」

マーレはがちがちになりながらステージに上がり、トロフィーを受け取る。



「お疲れさまでした。」

サカが言い放つ。

「今回は__」

退屈な話が始まり皆がぼおっとする。

「マーレ、おめでとうございました。来年もあります、皆さん頑張ってください。」

「はいっ!?」

マーレが動揺する。でも、うれしそうだ。

魔法団メンバーは、マーレの素顔、笑顔を見られてよかったと笑う

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る