第15話 成人式と地元と幼馴染とチョロゲと俺の気持ちと、後なんだ?

「マジで?成人式行くの?じゃあ俺も行こうかな」


 高校時代の地元に残った友人と電話…まるで俺はお前が行くからみたいなニュアンスで話す。

 


「成人式に帰るよ、と言っても昼に寄るだけね」


 そして実家に電話、家族は好きにしろと言わんばかりの態度。

 スーツあるの?とか言われたが就活を舐めるなよ?

 変な病院を巡る営業になってしまったが(笑)




 成人式の日、ローンで買った車で実家に寄り、一息着いてから成人式に行った。

 実家の母と弟は東京の家に、弟の義久の学校の下見ついでに良く来ていたので、会っていた。

 義久が小学校出たら引っ越すつもりらしい。

 そして実家の部屋の感じが何故か変わっていたりした。

 ウ~ン、義久か?義久は俺の性癖を垣間見た様だ。何故なら押し入れに隠していた俺の性癖群の封が開いていた。

 ようこそ、深淵へ…じゃない、真似されたらたまらなンな。




「オーう!久しぶり〜元気してた〜?」


 すっかり東京に染まった俺を地元の友人に見せつける。ストリート系の俺をとくと見ろ!

 音ゲーマニアの陰キャだがな!

 しかし友人は歌舞伎町のホストになっており、俺の変化は霞んだ。


『うぇーい!ヒサ、久しぶり!お前は変わらねぇな、いや、変わらない友人がいて良かったよ…』


 上から目線でこの野郎…と思ったが、ファーの付いたコートに変なブランドのスーツを着た高校時代の友人に引いた。


「まぁそれなりの学校行ったけど俺達成績ゴミだったからな(笑)お前見てると俺達って末路って感じ(笑)」

『うるせぇな(笑)まぁカブキ来たときは声かけてよ』

「かけるかよ、そんなこえぇ所行かねぇよ馬鹿が(笑)」

『まだ、あの件引きずってんの?卒業式良い顔してたもんな(笑)』


 思い出させるなよ、パンチの威力を(泣)



 そんな遠慮の無い、懐かしくもアホみたいな会話を楽しみ、解散。

 友人は『じゃあ向こうで今度飲もうな』と、その足でさっさと歌舞伎町へ帰っていく。


 どうしようかなと思った所で声をかけられた。


――好きな人が出来たの、だからさ、別れたい――


『ねぇ!永久!?永久でしょ!?待って!!』




 俺はその時まで忘れていた、幼馴染の声。

 待つからデカい声出すなよ…


『ねぇねぇ!久しぶり!友達からでしょ?友達でしょ?じゃあ一緒に飲もうよ!二十歳なったお祝いで!』


 ちゃんと振り袖着て成人式に来てたのね……


「え!?あぁ…お…おう。」


 理由なんか何でも良かったんだろうな……


『ねぇねぇ?何飲む?強いのいっちゃおうよ!』


 だってさ。酔ったら距離近いんだもん…何でだろうな。

 分かるのはさ、俺は、そこまで幼馴染という言葉に執着してなかったんだなぁ


『今は女子大行っててさ〜色々あったの』


 色々有りそうですね、親から何かメンヘラみたいになってたって聞いたから。しかも1年浪人してんだろ。


「ちょっと近いわ!何でそんな……好きな人はどうしたんよ!?」


 そしてコイツは…多分…最後の手段というか、未だに幼馴染に帰結すると思っているんだな。

 属に言うWWS?いや違うな。


『彼とはすぐ別れたよ…あの後、すぐ。気を使う関係が私には難しかった…永久と付き合っていたから余計にね。永久もマコちゃんだっけ?もう一緒じゃないんでしょ?』


 何でチョロゲ…と思ったら思い出すなぁ…卒業前にチョロゲとの浮気疑惑…あ〜あ、あったなぁそういうの。


「だってチョロゲ彼氏いるじゃん。」


 そうなると?親しき仲にも礼儀あり、だよね?

 俺が何も関わってきなゃ良いよ?でもさ?

 ねぇ君、あれはぁ?あの件については?


『私さ、やっぱり永久が良い…ねぇ…より戻さない?駄目…かな?お互いフリーだしさ…』


 しなる様に身体を寄せてくる幼馴染、ただし、数年前に寝取られた幼馴染。

 何に酔ってんの君?酒?自分?…俺またミスりそう。もう駄目だわ…我慢できる大人は凄いね。

 俺、一滴も飲んで無いけど無理だわ。


「じゃあさ…それ言う前に、何か言うこと無い?俺に」


『エ?いや、格好良くなった…かな?』


「ありがとう!で?赤ちゃんはどこに行った!?その親は!?ふざけんなテメェこの野郎!!」


『え?な、なに?』


「浮気した事先に言えっつーんだよ!テメェの親来るわ!学校で噂されるわ!ついでに殴られるわ!たまったもんじゃねーよバーカッ!誰が嘘つきと付き合うかよ!アホがッ!」


 バンッ!と金を置いて去る。うお、これ駄目だ。

 実家近所だから良好な関係と思ったけど無理だ。

 俺は我慢出来ない、話を聞く事も出来ない。

 寛容にはなれない。少しは頭を働かせればわかる筈、全部俺に話が来ている事ぐらい。

 

 例えば…チョロゲやサツマイモ姫だったら隠し事してても別に良い、いや、良くはないけど。

 知らない事だし知ろうしない俺が悪い。

 でもコイツの件は、その話を、距離を近付けようとするなら、全部俺に吐くべきだ。


 てゆーか、思ったより潔癖症だな、俺。

 


『待って!違うの!!』

「ちがくねぇ、じゃあの!」


 俺は勢いのまま、居酒屋を出てクラブに行く。

 駄目だ、超気分悪い、俺に優しさは無い。

 何か狂ってるらしいが助けてやる義理は無い。


 やっぱり地元は駄目だ。


 先輩に挨拶だけして帰ろ。

 東京に戻ろう。俺は東京の街こそ俺のホームであり庭だ。

 そう、俺はシティボーイになったのだ!

 だから地元はコートの襟を立てて歩く!犯罪者の様に!


 とりあえず先輩が今日、クラブで回してるのは聞いてるからな。流石に挨拶はしないとね。


 懐かしいな、クラブ【カルマ】

 入り口と天井に変な猫人間と阿修羅像みたいな女の絵、それと弁天。

 クラブに入ると好きな音楽、先輩の音楽だ。

 アレ、入り口付近に強そうな怖そうな…


『よーう!久しぶりだなクソ坊主?元気にしてたか?』


 うぁ…チーコさんだ…東京でこの感じの人…知り合いはいないからな、メッチャ怖い!

 てゆーか地元怖い!

 これ、ほっといたらケンが殴りに来るパターンじゃね?


「お久しぶりッス、元気ッス!相変わらず恐ろしい美貌ですね、怖くて漏らしそうなので失礼します」


 俺は素早く挨拶をこなしヨイショして離れる算段を取る。


『挨拶が早いし雑だよ!先輩を敬うと言う事を…まぁ良いや、お前を待ってる姫様がいらっしゃるぞ(笑)そっちにもちゃんと挨拶しろよ〜』


 何言ってんのか分からない、サツマイモ姫?

 チーコさんは姫感全然無いが?チーターみたいな恐怖感しか無いが?…とにかく怖い。

 さっさとDJブースに顔だけ出そうと近寄ると…


 いきなり黒い影が飛び出して来た!?

 何だよ!地元はモンスターハウスか!? 


『先輩!肉棒先輩!待って下さい!逃げないで!』


 ガシィッと黒い影に掴まれ抱きつかれた。

 黒い影からは、何故か俺は逃げるキャラになっていた。


 そして掴んできたのは…テンメイ…いやぁチョロゲ…この二年で成長したなぁ…チンチクリン感が無くなっちゃって…じゃねぇ…


 俺は素早く周りを警戒しながら2発食らわない様に逃げの構えをとる。

 

「チョロゲ、お前のオラついてるオラオラ(二発)するスタンドは近くにいませんか?一般人の歯は命なんです…」


 トラウマが…トラウマがやってくるうぅ!


『別れたッス!もういないっスから!ここにも近くにも居ないッス!だから待ってっ!』


 まぁ…仁先輩からそれとなくは聞いていた。

 何か仁先輩と一緒に曲出した時には別れていたらしいと。

 でも暴力装置がストーカーになってるって聞いたのが最後だから、何処かにいるのでないかと不安に…


「分かった分かった、逃げないよ。んでどうした?元気そう…だな?いやぁ良かった良かった」




 チョロゲは昔のギャル風では無く、そしてテンメイの時はオサレな大人エロチックだったが……今はボンテージ系ゴスロリチックなトーヨコスタイルになっていた。

 身長も胸もデカくなってるから、ミニスカドレスだけどコルセットみたいなの付けてるせいで、やたらスタイルが良く胸がデカく見える。


 メイクは一緒にいた時はギャルメイクで、テンメイの時はバンギャっぽい感じだったが、ナチュラルメイク…と言うかしてない。

 ゴスメイクかと思ったら目にクマが出来てるだけだ。


 セミロングで後ろを結んだ髪は金髪のプリン、前髪は自分で切ったのか目は出てるけど…何でそんな捨てられた犬みたいな顔を?


 しかし…視界の端にあるのはチョロゲが飲んでた思われるストローの刺さったエナドリ…やだぁ…この人疲れてるの?


『元気ッス!肉棒先輩の顔見たら!色々あって…色々あったのは良いんすよっ!それより約束ですよ!肉棒先輩は約束守るんっすよね!?』


 ていうか、声がメッチャかすれてるな。

 ハスキーボイスって言うのか?なんか聞いた事ある声と言うか、夏頃に……あれぇ?

 まさかメイさんって………いやまさかな。


「ええ?なんすか?エナドリストロー人間と約束した覚えはあーりませんが?見える地雷は踏まないのが俺の…」


 それに何だ?胸をグイグイ当てて、身体を巻き付けてくる。

 どういう事だ?この見えるハニートラップみたいなのは…


『セフレッスよ!肉棒先輩のセフレにしてくれるって言ったじゃないッスか!?ストロー刺さない!エナドリやめるっス!変えるっス!先輩の好みに変えますから!


「いや、そういうのは別に?何か危険を感じるから離れ……」


『だがら!どごにもい゙がな゙い゙でっでいっでるの!!に゙げない゙でっ!!!』


 何で涙ぐんで身体を押し込んでくるのか?


 それに人を竿師やホストみたいに言うなよ…見てるじゃないか…周りが…困惑していると先輩がブースから出て来た。


『久宝、久しぶり!変わんねぇなお前…マコはずっとお前の事待ってたんだからよ?良いじゃねぇか、持ち帰りしろよ。どうせコイツ帰る家ねえし、行く所もねえからクラブに入り浸り、だから引き取ってくれ。どっちせよお前の実家にも入浸っ……』


『ちょっとスライム先輩!やめるッス!ネタバレ禁止!』


「何?仁先輩、今何か洒落にならない重要な事………」


『と、とにかく!!じゃあレッツゴーッスね!肉棒先輩♥!外でましょう!荷物はそこにあるっス!』

 

 ガラガラガラと小さめのトランクを……

 いや、ハートじゃなくて…まぁ良いや…


「じゃあ…俺はもう地元怖いから車で東京の家帰るけど、それで良いか?とりあえず話す事もあんだろ」


『あ………はい…いっぱい…あるッス……』


「じゃあ行こうか?」


 先に運転席に座ると置いてかないでと騒ぐ。

 車の助手席に乗せてシートベルト締めるやると『これ本当に先輩の車ッスか!?置いてくつもりッスか!?』と疑う。

 運転しながら聞く、だってさぁ……

 

「何で俺、そんなに逃げるキャラになってんの?いや、ケンからは逃げたけどさ?お前とはせいぜいゲーセンのサツマイモ姫の時、確かに…うぉ!?」


 チョロゲの顔が…まるで正妻が浮気を見つけた時、私はみた!みたいな苦々しい顔だ…何故に!?


『なっ…なんスか!?分かってまスよ!?セフレですからね!こんな顔しちゃいけないのは!ですがね!2回も逃げるのはどうかと思うッスよ!?』


「分かった分かった、怒るなよ。チョロゲは相変わらず可愛いなぁ」


 頭を撫でてやる。チョロゲにはこういう事、スッと出来るんだよなぁ…


『んぐぅ!?♥そうやって!!卑怯ッス!!』


 いや、何がよ?

 

「そもそもセフレってのがおかしな気がするけど?別にチョロゲ…じゃないけどまぁ良いや、とにかく落ち着くまでウチにいて良いし、あんまり深く考えるなよ」


『家に…………良いんッスか?座敷わらしみたいになるッスよ?』


「あー、そう………うん。それは良いけど……えーっと………」


 車を運転しながら思う。

 言わなきゃ駄目だよな。

 だってこれ、チョロゲの告白みたいなもんだよな。

 ちょっとメンヘラみたいになってるけど、チョロゲは変わってないな。

 コイツが何があったか聞く前に…俺に選択肢なんて必要無い。

 今東京住んでるし、一人だし、チョロゲも別れた言うし………だったら……


 車を家の駐車場に止めて、玄関まで来た所で覚悟を決める。

 

『へぇ~…大きい家っスね?先輩の住む一軒家って凄いッ…え!?』


 俺はチョロゲの両肩を持って向き合う。

 殴られるよりかは簡単な筈だ。


「チョロ…いや、マコ…ずっと好きだった。一緒に住んでほしい…良い……………か?」


 おや?両手で顔を押さえて片目だけでこちらを見ている…まさか嫌…だったのか?住居だけ欲しかったのか!?

 いや、まぁ友達でもあるから、別にフラレたらそれでしょうがないと思うし別に家見つかるまでウチにいて良いけど。

 高校の時付き合わないで身体だけの関係だったしな…印象は良くないかも…


『ヒュッ…ハァアア…ハァハァ…んあア゙ア゙!!』


 スゲェ呼吸が荒い…ブルブルしているし…奇声をあげた…メンヘラっぽく…なってる?


「いや、あの…やっぱり友達からどうですか?家には落ち着くまで住んでいいですよ?」


 俺は凄い汗を出し震えながら真っ赤にしながら片目だけで凄い眼力でチョロゲに見られて……日和った…というかビビった。


 ガシィッ!!!!


『それはィ゙ヤ゙ヤア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッ!!!』

 

 ヒィッ!?全力で抱き着かれた…爪が……


 その後、今に移りチョロゲの今までの事を聞く事になった……

 何でチョロゲのメンタルがこんな事になったのか。

 俺は結構凄い奴と知り合いだったんだぁ…とか、そんなふうに思われてたんだなぁ…とか、コイツ俺いない間に俺の実家に侵食してんだぁ、何で義母さんも義久も言わねぇんだよ…とか、色々と感心しながら、余りに途中でポエムが入る重い話なので、チョロゲが話している途中でテレビをつけ、動画サイトでゲームの攻略を流し始めたら怒られた。


『何やってんッスか!?人が話している時に!?攻略!?ゲームの攻略!?今、私が攻略してるんッス!攻略されてるんッスよ!?ん゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッッ!!でもぉ!でもおおお!!こんな所も好きだから私いぃ!!ンフーッ♥♥♥』


 だって芸能人に薬盛られて襲われそうになるってどんな状況?


「分かった!悪かった、確かに俺が悪い!落ち着け!」


 幼馴染が襲われてる所に助けにきて触られたら死ぬって思うってどんな気持ち? 


 正直、想像がつかない、俺とは関係ない世界過ぎて聞き流しそうになったがそうはいかないらしい。


『それで…私はケンに触られるのに嫌悪感を……アヒッ!?♥先輩ッ!話してる時にコルセットの紐の繋ぎ目から指入れるなッス!♥先輩に触られると…その……』


 いや気になって……大変だったのは分かるけど…


『私は手首に……刃物を当てて言ったんス……ンヒィッ!?♥ホホホぅぅッ!!♥♥肉棒ッ!だからスカートの中に手を入れるなっスッ!!』


 手首を切るほど辛かったのは分かるけど俺には理解出来ないからな。


「いや、大丈夫。話は聞いてるよ?手首切ろうがチョロゲはチョロゲだ。ちょっとタッチしてるだけだから…ほら、続けて下さい。吐き出せるものは全て吐き出してくれ」


『ちょっとタッチ!?ぐぅ…くううう……でもこんな先輩だから…こんなにドキドキするんっスよ!?ほら!!こんなに心臓がドキドキしていオホォッ!?♥♥この肉棒!だから揉むなッス!!♥』


 何となく聞いた感じでは男性を嫌悪していると、ドキドキしているという胸に手を掴まれた胸に手を当てられたので俺はまあるいモノを掴んだ。

 でも、俺はセーフだと。


「良いから、話を続けて、教えて?頑張れ、頑張れ」


 俺はチョロゲを抱きしめて耳元で囁き続けながら、たまにセク◯ラをする。

 あぁ〜チョロゲ…やっぱり俺はチョロゲが…


『ふぅ!?♥耳元で囁くなっん゙ォ゙ッ!腰撫でるなッス!!あぉもう!こんなんだから私は先輩に狂っちゃうんスよ!♥馬鹿っ!馬鹿ぁぁぁっ!!♥ンハァレロレロレロレロ♥』


 首筋をベロベロベロっと舐めてくるテンメイ……


 ペロビ◯チ・テンメイか…大きい犬に見えなくもないな。


 とにかく………


 誰に言ってるか自分でも分からないけど、とりあえず皆さんでチョロゲの話を聞いてみましょうか?



※何か色々中途半端ですが再開しましょうか?

次回からチョロゲポエム!

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