第十四話
門の前に集まり一同、シャーロット公らを迎えた。形式的な挨拶を済ませた俺たちは、あの無駄に広い食堂で食事をしている。両家向かい合うようにして座ると、我々自慢のシェフらの作った料理が並べられた。俺の対面にはシャーロット家の令嬢、エリナ様が座っている。顔を見つめていると、ニコッと微笑んでくれた。
剣が二本交差している家紋はヘイデン領の領主たる象徴、俺たちクロズリー家より歴史が古く、代々優秀な兵士を輩出している戦闘貴族だ。領主のシルヴァ様はすらっとした長身に肩まで銀髪が伸びている、中性的な顔立ちのお方。笑顔も爽やかで、初対面の俺に対しても優しく接してくれるので人格のある人なんだなと感じた。対して、ご令嬢のエリナ様は俺と同い年でありながら、年に似合わず物静か。人見知りな性格なのだろう。そしてやはり親子、顔が良い。幼いながらも立ち振る舞いや作法から品がある。ドレスも貴族の令嬢らしく柔らかい印象を持つフリルがスカートにたくさん装飾されている。自分で言うのもなんだが、前世の記憶がなければ今頃惚れていたはずだ。ただ、今の年齢と地球での年齢を考えれば二十歳を普通に超えている。もし好きになってたらそれこそロリコンと言われてしまうだろう。
「確かアルヴァ、と言ったかな。僕のこと、覚えているかい?」
「ええと、その、申し訳ございません、お会いした記憶がないのですが」
「はは、そうだよね。だって最後に会ったのは君が一歳ぐらいの時だもん。僕だってその時の記憶あるかいって言われたら答えられないしね、ごめんね、意地悪しちゃった」
「は、はあ」
「それはさておき、君はエリナと同じ十歳だったね。どうだい、うちの娘は」
と、とても返答に困る質問をされた。この時、どのように返せば良いのか……。
「そうですね……笑顔が素敵で品のある、しっかりとした方だと思います」
当たり障りのないように答えてみる。
「そうかい、君にそう言ってもらえて僕も嬉しいよ。でも、そんなに畏まらなくていいよ。そのためにこの場があるんじゃないか」
「ですが……」
「大丈夫。君はもう家族みたいなものなんだから」
「家族……ですか?」
シルヴァ様が何をおっしゃってるのか分からず困惑している中、父上が静かに食器を置く。
「いきなり何言ってる。飛躍しすぎだバカ」
「そう?」
「当たり前だ。少しは節度をだな……」
「いいじゃない。僕たちの中だろ?」
「そうかもしれんが、アルヴァ達には通用しないぞ」
「別にそこまで固くならなくて良いのに。気持ちはわかるけどさ」
「わかるなら初めからそうしてくれ」
ため息混じりに父上は言い合いを続ける。先日、訓練生時代の友人だと聞いたのでこんなことができるのだろう。そうでなければ、立場の違いからここまで発言などできやしない。
その後も父上とシルヴァ様の会話は続く。残された我々は彼らの話に耳を傾け、相槌を打つほかなかった。気づけば食事も終わってしまった。エリナ様へおもてなしが始まるまで後少し……。
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