錬金術はえっちじゃありませんっ!

天上サ百合

第一幕 海賊船と肉塊の月

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第一幕 海賊船と肉塊の月


 リリーの吐息が耳朶を掠める。


 喉の奥から洩れ出すような声が混じり、体温の籠もったそれは酷く熱い。この幼い躰のどこにそんな熱量が込められているのだろうと思うほどに熱く、艶めかしい緩急が付けられている。


 メアリーは堪らず躰をよじった。


 リリーの指が追い掛けるように触れる。


 少女のうぶ毛は髪と同じ黄金色をしていた。それは溢れ出した彼女の体液で水浸しになり、幾つもの束になって下へ流れている。


 風通しの悪い船室に嬌声が響く。


 そこは潮の薫りに満ちていた。


「三人でするなんて、本当にいいの……?」


 メアリーが不安そうに眉を寄せる。その躰は先ほどから一心不乱にリリーの胸を吸っているアンに瓜二つで、未成熟な躰は薄く、船窓から差す夕焼けのオレンジにいかがわしく照らされていた。


「これは錬金術だから、大丈夫」


 リリーの掌はアンの後頭部に当てられている。彼女の顔はリリーの胸の形が変わるほどに押し付けられ、船の揺れに合わせて揺れていた。


 アンの頬は紅葉を散らしたように紅くなっている。


 リリーの指先が背骨を撫で、次いで浮き上がった肋へと移った。それは姉であるメアリー以外誰も触れたことのない凹凸で、リリーはその段差を一つ々々数えるようになぞり、最後に柔らかいそれに触れる。


 アンはリリーのことだけを見ていた。


 彼女の頭の中はもう、リリーの指先が齎す快楽のことでいっぱいになっている。姉のことも、ロザンナのことも、自分の痴態を恥ずかしいと思う外聞も、そこには残っていない。


 リリーにお礼をしようと提案したのは双子の方だった。


 欠損した中指と薬指を治してくれたお礼として、それをしてあげるのは当然のことのように思えた。リリーは錬金術の行使で疲れ果てていたし、自分達はそれを知った頃から〝ごっこ遊び〟を沢山していたから、例え経験は無くても、彼女を楽しませてあげられる筈だった。


 しかし――。


「ほら、メアリーも。空いてるよ」


 リリーが右手を伸ばし、まだ口をつけられていない乳嘴をメアリーに差し出す。


 メアリーの視線は胸よりも、彼女のその指先に向けられていた。短く切り揃えられ、丁寧にやすりの掛けられた丸い指先が、白磁のように白い皮膚が、指の骨の作り出す凹凸が、狂おしいほど欲しい。


 だからメアリーは腰を軽く持ち上げ、彼女にそれを見せ付ける。


 しかし、リリーは何もしてくれない。


 ただメアリーの前に乳嘴を差し出し、彼女が口をつけるのを待っている。


 メアリーはその胸に吸い付いている妹の躰に目を遣った。


 その躰は黄金色のうぶ毛の生えたそれを中心にして、三人の綯い交ぜになった体液で穢されてしまっている。船上で暮らす海賊とは思えないほど白い肌が、それの紅潮を際立てていた。


「わかったよ……」


 メアリーは膨らみの先端に口をつけた。拙い舌先で妹のアンの真似をし、リリーの乳嘴をなぞる。


 リリーは満足したように、自分の子供を見るような目でそれを見ていた。


 メアリーはもう幾度もアンと航海をし、数え切れないほどそれをしたが、三人でこんなことをするのは初めてだった。


 普段二人で眠っているベッドの上で三人の躰が重なり、船窓から射し込むオレンジ色の光がそれを照らしている。大人の躰をしている人はどこにも居なくて、少女らしい躰に不相応な胸をしているリリーを除けば、双子は歳相応の華奢な躰だった。


 理由の分からない背徳感から、メアリーは目を逸らす。


 小さな船窓からは遠く、空を駆けるドラグーンが見えた。


 紅い流星のようなそれはヒトの臓器を押し固めたような肉塊の月の周囲を旋回し、付かず離れずのまま牽制をしている。


 まだ大丈夫だろう、とメアリーは思った。


 紅い流星――クロノスには、私達の船長が乗っているのだから……。


「ほら、笑って?」


 リリーが掌と同じ大きさの端末を掲げ、内側のレンズを三人に向けている。


 その画面には三人の痴態が映り込んでいた。


「リリー……?」


 それは以前、錬金術士の工房だったという遺跡で見つけた前世界の端末だ。遺物としては極々ありふれた物で、エメラルドタブレットと呼ばれて流通もしている。


 ドラグーンを介してしかエネルギーの充填が出来ない上に、出来ることと言えば動画や写真を撮ることくらいで、双子もそれを見つけた後、部屋の飾りとして放置していた。


 しかし、もう動かない筈のその端末にはどうしてか、リリーの胸に口をつける自分の姿と、一心不乱にそれに吸い付いている妹の姿が映り込んでいる。


「ダメだよ、リリー、撮らないで」


 メアリーは自分の目元を咄嗟に隠した。


「やっぱり、本物の錬金術士ならドラグーン無しで充電が出来るんだね。私の仮説は当たってた。必要なのはドラグーンじゃなく、それを動かしている錬金術の方。お礼にいっぱい撮っていいよ」


 アンは得意そうに笑い、裸のまま両手を蟹のように掲げている。


「アン!」


 メアリーはタブレットが置かれていた筈の棚を一瞥すると、片手で自分の目元を隠したまま妹を叱った。それを渡し、充電させたのは彼女だったのだろう。


「怒らないでください。ほら、あーん」


 リリーがメアリーの顔を抱き寄せ、その膨らみの先端に口元を押し付ける。


 二人に吸い付かれていた乳嘴は紅く充血し、唾液で濡れていた。


「メアリー、これも大事な思い出だよ」


「だって……」


 恥ずかしがるメアリーの耳元に唇を寄せ、リリーが囁く。


「撮らせてくれたら、もっと凄いことしてあげるから……」


 その言葉を聞いて、頬に火が入る。


 メアリーは堪らず瞼を下ろし、顔を掌で覆った。


 目を綴じた暗闇の中、リリーの柔らかい太腿に触れている下腹部や、内股に彼女を強く感じる。


 先ほどまで入っていた二本の指が、まだそこで動いているように思えた。


 メアリーは掌の隙間からリリーを覗き、その躰に目線を移す。


 何も言わず、妹と同じようにリリーの乳嘴に唇をつけ、そのまま横目で端末のレンズを見つめた。


 自分の恥ずかしい姿がその画面に映っている。


 頬が燃えているように熱かった。


 何度も、何度も写真を撮られ、動画を回され、時にはそれを見せ付けられながら、妹とリリーの二人に躰を玩ばれる。


 どうして、こんなことになってしまったのだろう? 


 リリーに押し倒され、妹にも跨がられたメアリーは、自分の躰の上で揺れる二人の肢体をぼんやりと眺めながら、リリーと初めて会った時のことを思い返した……。

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