第2話 ギルド登録
移動馬車に乗って門にくると、都市を出るのにかなりの時間を要した。
不思議に思っていると珍しく領主の伯爵が帰ってきているらしく、出る時にも一人一人検査をしていた。
タイミングが悪い、もし2人揃って領地を出るとなると止められる可能性がある。
そう思いドキドキとしながらも、検査が終わるの待つしかなく2人で緊張していた。
「おい、交代だ」
「は、では兵団長お願いします」
兵団長? 不味い。真剣にそう思った。
領地内の軍トップの兵団長は5人いて、その内の1人は特にダリアに対し特に執着している。
もし、そいつだったらどうしよう。ダリアと2人顔を合わせ緊張感に包まれていた。
「よし、この馬車だ。中に入る。皆身分証を出すように」
そう言って入って来たのが俺が子供の時からお世話になっていた兵団長だった。
「お前らで最後だ。身分証」
兵団長がぶっきらぼうに言って来ては、乱暴に俺達の身分証を取る。
「何処にいくら予定だ?」
「はい、2人でルルンダル ダンジョン都市にいく予定です」
「ふん、なら許可する。間違っても王都には行くなよ、恐らく他の連中は王都にまで手を伸ばすぞ。
それとこれは餞別だ。
マジックバックだ、ルルンダルまで行ってから中を確認しろよ」
兵団長の顔が優しい、父親の顔になっていた。
「兵団長…」思わず声が詰まる。
「お疲れさん」
そう言って俺の頭を兵団長が撫でる。思わず涙が出てしまった、そんな俺をみながら兵団長が馬車を降りる。
「よし!! これで全部だ。皆出てよし」
そして俺達が門を出ると門が閉じられた。門を出てすぐにダリアのフードを外す。
「お兄ちゃん、ごめんね。私のせいで」
謝るダリアの頭を撫でる。
「ダリアは俺の宝物だ。俺はダリアと知り合えて、ダリアと一緒にいる事が幸せなんだよ。
ダリアのおかげで今まで生きてこれたんだから」
ダリアのお陰で俺は頑張れた。それは事実だ。
ダリアだけでなく俺も親が軍の幹部ではない、その事をいいことに本当に嫌な目にあってきた。ダリアがいなかったらここまで頑張れなかっただろう。
そのダリアが俺の足に頭を越せて休んでいた。ダリアと一緒に生活を始めたばかりの時、ダリアは1人で部屋にいる事すら出来ない位に気持ちが衰弱しきっていた。
夜も1人で寝る事も出来ずに良く添い寝をしていた。ダリアが回復して1人で仕事できる位になっても、1人で寝る事が出来ずにダリアが13歳頃まで一緒に寝ていた。
ふと、ダリアの頭を撫でながらそんな事を思い出してしまう。
◇◇◇◇◇
一週間程の馬車旅が終わりを告げる。ルルンダル ダンジョン都市の門が見えてきたのだ。
都市の回りを巨大で堅牢な石塀で囲まれた大きな都市だ。
ここの管理をおこなうのは国王だ。 この国の中でダンジョンは貴重な資源ともなっている、モンスターの魔石やダンジョン遺産と言われる凄く貴重な品。それらを取る為に人があつまる。
そして国王の鶴の一声でできたのがこのルルンダル ダンジョン都市だ。ダンジョンは初級、中級、上級と3タイプあるのも特徴だ。
俺とダリアも都市に入ると真っ直ぐにギルドに向かう。
「ダリア、ギルドに行こうか?」
「え、これから? 先にご飯食べようよ」
「先ずは登録して、宿を見つける必要が有るでしょ。朝御飯はその後だよ」
ダリアがふてくされる。
「ダリア、付き合ってくれたら。パンケーキのお店に行こう」
「いいの? やったー♡」
パンケーキは最近出来た新しいお店の人気商品らしく、兎に角大人気らしい。そしてこのルルンダル ダンジョン都市の名物になっている。
ルルンダル ダンジョン都市に来る前からダリアが一度食べてみたい。そう、いい続けていたのだ。
しかし、またダリアを餌で釣ってしまった。いつか限界が来るよな。
俺の思いをよそにご機嫌に歩くダリアを見て、仕方ない。そう思いながらギルドに行く。
ギルドは都市の中心にあり以外に分かりやすかった。建物は中世のお城のような建物で中に入ると沢山の人がいた。
受付カウンターに来る。
「冒険者の登録がしたい」
「はい。では必要な項目に記入をお願いします。もし代筆が必要ならおっしゃって下さい」
手続き用紙を渡され必要な項目を書く。
だが、そこに違和感を覚える。
なんだこの、"売り上げの2割をギルドに寄付します" と書かれた項目は? それも完全な手書きだぞ。
ダリアをみるとダリアも同じ所で固まっていた。
「ダリア、そこは外していい。俺が出す時に聞くよ」
「うん」
用紙を書き終えて受付に渡す。
「この、"売り上げの2割をギルドに寄付します"の項目については我々2人は拒否します。
問題ありませんね?」
受付のお姉さんの顔が引きつる。
「良くこの文字が読めましたね」
にこやかに笑顔を崩す事なく言うが明らかにイラついた顔をしていた。
「ではこれから登録試験を行います」
項目に書かれていない事を言い出す受付のお姉さんに対しダリアが文句を言う。
「あら、この用紙には試験は無し。受付後に魔力検査と身分証の確認だけと書いてあったけど? まして身分証無くても問題無しってかいてあるわよ。
私達が字が読めないと思って馬鹿にし過ぎじゃない、おばさん」
ダリアちゃん!! おばさんは駄目でしょ。せめてお姉さんって言いなさい。
そう、目で訴えるが聞く耳を持たない。
おばさん呼ばわりされた受付の女性が大きな声でダリアに文句を言い始めた。
カウンターでもめていると別の受付の人が走ってきた。
「どうしたのです?」
「いえ、何でも」
受付の女性が急に大人しくなり、罰の悪そうな顔をしている。
やって来た受付の人にダリアが問題を提示して、文句をハッキリと言い放つ。
「このおばさんが項目に関係無い登録試験をやるとか、この、"売り上げの2割をギルドに寄付します"って明らかに書き足したような事を強要してくるから文句を言ってたの」
「警備兵、来なさい」
駆けつけた人が警備兵を呼ぶ。多分、俺とダリアの2人なら余裕だ。
そう思い身構えると受付のお姉さんを捕まえて連れて行った。
「大変失礼しました。私はギルドの受付責任者のマーチと言います。
今後私がお二人の専属とならせて頂きます」
まだ疑っているダリアを押さえて挨拶をする。
「丁寧に有り難うございます。私達はこれで冒険者登録をしたと言う事でよろしいですか?」
「はい、問題ありません」
「宿を紹介してもらいたいのですが出来ますか?」
「はい」
マーチさんが渾身の笑顔で宿を紹介してくれる。その後、ダリアが真剣な顔でマーチさんに言う。
「この街で一番美味しいパンケーキの店は何処ですか?」
マーチさんが少し困惑してはいたが快く教えてくれた。
ちなみに俺達のギルドカードだ。
タツキ ムルシア
18歳
男
ギルドランク G
レベル 9
最大HP760
最大MP850
スキル 剛腕 瞬足 剣術 格闘術 裁縫 暗視 弓術
取得魔法 索敵 身体強化 生活魔法
ダリア ビンセント
15歳
女
ギルドランク G
レベル6
最大HP460
最大MP500
スキル 剣術 弓術 格闘術 治療術
取得魔法 身体強化 魔法強化 魔力調性 生活魔法 氷魔法 回復魔法
これが俺達の能力だ。兵役で随分と鍛えられた結果だろう。
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