アラミリア(3)


「あのー? 神様ー?」


「何かね? 何かトラブルでもあったかね? それとも」


「あの! 色々ありがとうございました!」


 神様には感謝しかない。

 僕を拾ってくれて。

 女の子として生きるチャンスをくれた。


「ふむ」


「僕、転生します!」


 うん、僕は転生する。

 それで、女の子として生きるんだ。


「そうかね」


 あれ? 反応薄くない?


「ああ、いや、なに、今まで何人もの転生者を送り出したが、君のような者は初めてでね。まさか礼を言われるとは思わなかったのだよ」


「ええ!?」


 僕にとっては感謝しかないんだけどなー。

 他の人はそうでもなかったのかな?


「君は私にとって、異例な人間となったようだ」


 うーん、喜んでいいのか分からないなー。

 でも、嫌がられてるとかじゃないなら良いのかな?


「しかし、随分と自身に投資したようだ。ろくな装備を持っていないようだが」


「う、ぅぇへへへ」


 あ、変な笑いが出ちゃった。


「それでは、危険から身を守るのは難しいだろう。おや? ポイントも余らせているようだが…」


 ええ!? ポイント!? そういえばちょっといろいろ焦って忘れてたかも?


「ふむ、そういえば君からは、実に興味深い話を聴いたのだった」


「あ、そういえば。恥ずかしいな」


 相談に乗ってもらったー、みたいな気持ちだったけど。

 悩みを打ち明けられるのって、いいよね。


「ふむ、私は神の如く振る舞う者だ。故に、礼を言うわけにはいかぬが、褒美は取らせねばなるまい。君が気に入ったものとは少し違うが、これならいいのではないかね?」


 目の前に、僕が気に入ってたのと似てる白い衣装が浮かんだ。


「え? あの、僕、お礼なんて、その、それは確かに僕が気に入ったやつみたいなのですけど…。こんなに良くしてもらったのに…こっちがすごく感謝してるから…」


「受け取り給え、そうでなければ我が威信に関わるというもの。ほら、着てみたまえ」


 目の前の衣装はいつの間にか消えて、鏡が、大きな鏡があった。

 女の子の身体で、あの衣装を、あの装備を着た僕が鏡に映ってる。

 わー、すごいよ! すっごくいいよ!

 あれ? でもなんか…あ! 映像なのかなこれ?


「えーと、その、この衣装、っていうか装備? 有難うございます! とっても嬉しいです! 」


「良いとも、それは君への褒美だ。しかし、美しくなったものだ。これではアテスターの美の女神に嫉妬を受けかねないが…」


「ええ!? そんなの困るなぁ。うーん、ちょっと設定落とそうかな…」


 あれ? 神様、にやにや笑いになってませんか?


「別に良いのではないかな、ああ、心配なのは理解している。ただ女神への謙虚さと感謝を忘れなければ、憎まれることもあるまい。多少のねたみやそねみは受けようが」


「うーん、でも三角関係とかにならないかなぁ。ミスコンみたいなので比べる人が出たりとか」


 神話の神様とかそういうのあるって聞くし。


「何、女神の想い人に言い寄られたなら、女神の方が美しいと言えば良い。誰かが女神よりも美しいと言えば、同じく女神の方が、と言えば良い」


 うう、心配だなぁ。


「そうだ、君はまだ名前を付けていないようだが。何故かね?」


「あ、忘れてましたー!? 名前かー、名前かー。いつも迷うんですよねー。ゲームの時とか…」


「そうか、ならば私が名前を与えよう」


「ええ!? いいんですかそれ?」


 ネーミングセンスはどうなのかなぁ? でも、もう時間ないし。

 あ、すごく失礼なこと考えちゃった。


「私の与えた名前があれば、アテスターの神々も、下手に手を出せまいよ」


 あ、それはすごくいいかも?


「そうだな、我が名アラムから取って、アラミリアと名付けよう」


「わー、ありがとうございます! アラミリア、なんかいいかも!」


 あれ? また失礼なこと言った? なんかいいかもって、失礼じゃないかな?


「ふむ、しかし我が娘であれば、それなりの物を持たねばならぬな」


 あれ? 神様、気にしてないのかな?

 なんかにやにやって笑うの強化されてないかな?

 それに、それなりの物って宝石とか、時計とか?


「ふぇ? でももうお金も無くてですねー?」


「金で買えるようなものを与えてどうするのかね? 我が娘となったからには、我が娘としての権能を持たねばならない」


「んん? どういうことかな? 権能ってなに?」


 スマホがあったら調べられるんだけどなー。


「では君には、アテスターでの生命と再生の権能を与えよう、とは言え今の君は余りにも弱い、その魂に権能を与えることはできない。代わりにこの杖と、この鏡にその権能を分け与えておくゆえ、必要な時はこれらを使うのが良いだろう」


 なんか僕のイメージに杖と鏡が追加? 装備? されたよ?


「それらは君に貸し与えよう。好きに使って良いが決して乱用してはならないよ? それらの力は神々の力に匹敵するのだから」


「え!? なんか凄くないですか!? 良いんですか?」


 どういうことなの…。

 なんか凄いのを貸してもらった気がするー!?


「良き行いをし、良き人生を送るが良い。そして、君が本当に神々の列に加わるのであれば、格を上げることだ。その近道は在るが、あまりにも残酷だ。地道に努力したまえ」


「なんかこんな凄いのとか色々貰ったりして、有難うございます! 僕、頑張って、女の子して、一生懸命頑張ります!」


「そうしたまえ。ああ、まだ少し時間がある。人生ポイントでスキルを取るもよし、金貨にでも変えて、ショッピングでもよかろう」


 そう言って神様は消えちゃった。

 また助けられちゃったなー。

 もっと一杯感謝しないと。

 あ、神様の名前なんだったっけ?

 僕の名前は神様の名前から…アラミリア…あ、アラムだ! アラム神さまだ。

 うん、向こうに行ったらお祈りとかしよう。

 毎日、は無理かもしれないけど忘れないようにしよーっと。


 じゃあ、スキル取ってー、お買い物とかしてー、魔法とか増やそう。

 下着も良いのは高かったから、そっちも買えるかもだし。

 あ、アメニティグッズもあったからそれもー。


 もう流石に忘れ物無いよね? アラム神さまがチェックしてくれてたし!

 僕もチェックしたし!


 あ、もう僕って言うのもあれだよね?

 これからは私って言わないとかな?

 わたし、あーし、私、僕、我、他に一人称って何かあったかな?

 わっちとか……は無いなー。

 あてくしとか、あっち、う~ん……、神様の娘だから神様に恥をかかせないようにしないとかなー。

 無難に私、で良いかな~。

 うん、すぐには馴染まないかもだけど私でいこう。


 よし! 転生しようっと。

 転生したら何しようかなー?

 恋とかもしたいなー。

 炎みたいに燃えるようなのでなくてもいいから。

 きっと、男の人を好きになっても許されるから。


 まー、好きになられるほうが早いような気がするけどね!

 この美貌だからね!

 あの装備、着られるの楽しみだなー。



 なんか転生選んだら、色々難しいこと言われたー。

 全然、理解できなかったよー。

 まぁいいかな? 多分大したことは言ってない。と、思う。

 男の子とかは、ああいうの好きそうだなー。



 とうちゃーく!

 やってきたきたアテスター!

 うわー、お城みたいな壁ー。

 緑のそうげーん。

 所々に花が咲いてる。


 お!? 第一異世界人発見!?

 ちょっと話し掛けてみよっかなー。

 あ、その前に買っといた魔法覚えなきゃね。

 んーと、どうするんだろこれ?

 使う時に、いちいち手に持って使うとか?

 とりあえず頭の上に乗せてみた。


 うおー!? 《白へのいざない》着てるー!

 ブーツもついてた。

 これは絶対領域とか言うやつだね?

 綺麗な太ももが眩しい。


 軽く飛び跳ねたりジャンプしてみたり。

 おっぱい揺れるるるる!

 両手で寄せてみる。

 凄い胸の谷間だー。

 おっぱい大きいなー。えろーい。

 これは男の子たちの視線をくぎ付けですよ奥さん!

 感動しちゃうな。

 全然嫌な気分にならない。嬉しい。


 あ、魔法、色々やったら覚えられた。

〈鉄の投槍  アイアンジャベリン〉〈治癒キュア〉〈疾病治癒ディジースキュア〉《危害検出ハームディテクション》。


 よし、先ずはあの人に声をかけてみよー。

 あれ? 森のほうに歩いてるのかな?

 追いかけてみよーっと。

 女の子らしい歩き方とか練習しながらね!

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