第3話
あの頃はいつも通りにまたすぐダメになる。
そう思っていたんだ。
悟はそれでも諦めずに毎日連絡くれて
距離を近づけていった。
そうしてるうちに少しずつ
悟の事がわかるようになってきた。
いつでも優しくて、
優柔不断な私を色んな所へ
連れて行ってくれる。
私の気持ちは変わらないのに。
「大丈夫、ゆっくりいこう」
そう言ってにっこり笑ってくれる
そんな悟に少しずつ、心が開いていく。
好きだとか、愛だとか、
私にはわからなかったけど
悟といると、少しずつ
あーこれが恋なのかなーって。
気づいた時には悟を待ってる自分がいて。
初めてしたキスは
無理にじゃなく、ゆっくり、
私に大丈夫?って言わんばかりの
優しいキス。
あ、わたしファーストキスしちゃったよ。
今まですぐ別れたからキスもした事なかった。
そんな事聞かれた事もなかったから
少し恥ずかしくて言えなくて。
でも、胸が高まってドキドキした。
次第に私の中の気持ちがどんどん膨らんでいって
「本当にいいの?」
『うん、、、。』
初めて大人になった日、
痛さとかより、この気持ちに気付けて
愛おしくて。勝手に涙がでちゃったな。
気付けばあの秋からもう半年も経っていた。
「今日どっかいかない?あ、悟?」
チャイムと共に遥が顔を覗く。
『ごめん!そう!』
「ラブラブですねー。半年前のあんたに
伝えてあげたい」
『ごめんって!笑」
横目で見る遥にごめんのポーズをとる私。
『また埋め合わせする!』
「はいはい」
遥かにバイバイして悟にlime(メッセージアプリ)
私 『悟いまどこ?』
悟 「ごめん、ちょっと剛(つよし)に呼ばれて今日無理っぽい」
私 『そっか!わかった!』
最近悟が全然会ってくれなくて。
今日は会おうねっていったのに。
だったら遥と行けばよかった。
いつのまにか私の優先順位は
悟になっていた。
悟といるだけで、心地よくて
胸がきゅってなる。
何度か愛を重ねるうちに好きが溢れていって。
私の中はもう悟しかなくて。
体を重ねるたび
気持ちだけが先走っちゃって。
悟に嫌われたらどうしよ
そんな事ばっかり考えるようになった。
『今日も会えないの、さみしいなー』
私はそんな事考えながら
学校から家へ帰宅する。
『ただいま。』
「おかえりー」
母がエプロンをつけてバタバタと玄関まで
来てくれた。
「今日もどこにもいかないの?」
『うん、悟用事できちゃって』
「そうなんだ」
母には一度だけ悟を会わした事があって
とってもいい子だねって言ってくれた。
悟は誰にでも笑顔で愛想がいい。
自分の部屋でコロンと
寝転んで天井を見つめた。
『あいたいなー』
そんな事思うなんて、本当に
半年前の自分にいってあげたい。
lime
私『明日は会える?』
既読にならないままその日は過ぎていった。
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