一人暮らし

記者会見が終わった、二重の意味で。

まあ、詳しいことはネットに転がってる動画を見て確認してもろ手というわけで……


あの糞冷え切った記者会見は途中で乱入してきた小早川さんが俺を公開説教ののち何事もなかったかのように普通の記者会見が始まった。

で、何事もなかったかのように終わった。


記者会見では研究所ではどんなことをしていたのかだったり、地上に出た時の感想だったりを聞かれた。


「で、あれは何ですか?」


「人類に友好だと示そうと………」


「確かに世論の反応はまちまちですけれども、あれはないです」


「………………………」


「やるとしても普通の記者会見の間にちょっとしたジョークを話すとかそういうのでしょ」


「ジョークって?」


「例えば、人類を滅ぼしに来ましたとか」


「大臣、そのジョークは普通にダメです。今日の記者会見よりもひどいです」


「え?」


そうこうしているうちに、記者会見を後にした俺たちは車で移動中している。もう保護しなくても大丈夫だろって話になったらしく都会のマンションの一室で済めるようになった。国が所有している都会の一等地らしい。いわゆるタワマンってやつ。


「ここですよ」


「すげぇ~」


実際に生で見て見るとそのすごさが際立つ。都会に姿を一望できる部屋にはダイニングキッチンだったりと絶対要らないだろってものがたくさんある。俺なんて毎日インスタント食品で十分なのにさ。


「それでは私たちは一旦ここで」


「え?もう?」


「一通りの生活必需品は揃っていますので、何か疑問でも?」


「無いけどさぁ」


「私たちも忙しいんですよ。誰かさんがいきなり地上に来たせいで」


「すんません」


「その他のことはテーブルの上の書類に書かれているので確認して下さい」


そう言うと小早川さんたちは去っていった。無駄に大きい部屋に残された俺一人は特にすることもなく、とりあえずは書類を読もうってことでテーブルの上の紙に目を通す。


「銀行口座に100万………、100万!?」


書類の上にある封筒の中には銀行のカードと明細表が入ってあった。100万円………………100万…………、これってもらっちゃってい大丈夫なんかな?


そのほかにも書類にはスマホのことだったりといろんな事が書かれてあった。スマホが契約されている状態であるのは普通に助かる。


………………………………



「ひとまずはスマホの設定を済ませるか」


そういうわけで書類に目を通した俺はひとまずスマホの電源を起動、初期設定のあれこれを済ませたのちにSNSだったりをインストールした。


「X………じゃない、ツウィッターに戻ってるんか」


久々のスマートフォンにどことなく安心感を感じながらSNSのアカウントを作っていく。


「アカウント名は………エロボスでいいか」


SNSアカウントと次々に作る。作っていくうちにとある考えが浮かんでくる。


今は100万円があるとはいえ、生活していくうちに亡くなってしまうだろう。なら今のホットな状態の内にネットで活動してお金を稼いじゃえばよくね?


「ネットで活動といえば配信だよな」


そんなわけで早速100万円からパソコンだったりその他器材をポチポチ注文していく。あっという間に40万ほど使ってしまったがまあ、問題ないだろう。


ひとまずはスマホで配信用アカウントを作成しておこう。鉄は熱いうちに打てとよく言うしね。


「エロボスchでいいか」


配信アカウントを作成してそのままアイコンだったりをポチポチしていく。ポチポチしたら次にSNSで告知をしていく。


「うわっ、偽垢多すぎでしょ。これ告知してもデマ情報で片付けられたりしないよね」


一旦、ツイートしといた。やらないよりもやった方がいいからね。後は配信だけれど………


「翌日配達?パソコンが?すげえな」


どうやら心配はいないらしい。というかパソコンとかが注文した翌日に届くってすげぇな。俺が人間だったころとかは一週間はかかったのに。やっぱ魔法って偉大なんだなとおもいつつ配信でやることをメモし始める。


さっきの記者会見で俺は気づいた。俺はアドリブでなんかやるのは苦手だ。というわけで予め配信で話すことをメモしておこう。


「自己紹介は必須だよね。あとは何やればいいんだろ。安易に質問コーナーとか?」


そんなことをスマホにまとめながら過ごしているうちに日も暮れて、窓の外は夜景が輝いている。ひとまず夜ご飯を食べよう。流石にインスタントラーメンの一つや二つはあるだろう………………あるよね?



「嘘でしょ。マジで無い?」



普通になかった。

現在家にあるのは無洗米、冷蔵庫に肉、魚、野菜、その他諸々、あとは調味料。


「自炊しろと?」


まさかの自炊、ダンジョン這い出て世間について何にも知らない俺に対してこの仕打ちかよ。厳しいね。世知辛い。



「………………飯は作んなくていっか」


最悪、ご飯がなくても生きていける。現にダンジョンにいたころは全く飯を食べなかったし飲まなかった。おそらく自分の体はご飯を食べなくてもいい体なのだろう。


それでもご飯は食べたい。味覚は生きているし、ご飯を食べると幸せになれる。


その幸せを享受できぬまま、今日は寝ることにした。

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