自己紹介
「一旦、お互いに自己紹介をしようよ」
「………………リーダー、どうする?」
「意思疎通が可能なら自己紹介をする価値はあるだろう。もしかしたら世界初の人類に友好なモンスターになる可能性すらある」
「そうですね。それじゃあ、モンスターさん!あなたの名前を教えてください」
「名前?えーと……………なんだっけ?」
「は?」
冗談抜きで名前が思い出せない。なんだっけこれ、記憶喪失的な名前のやつだ。自分の名前がぽっかり抜けている。というか元々人間だった時の記憶がおぼろげになっている。そういえば俺が人間だったという記憶はあるのにどんな記憶だったのかがわからない。どういうことだ?
「名前がわからないから君たちがかってに名付けてちゃって。ダンジョンの外だと俺はどんな風に呼ばれているん?」
「え?」
「まさか、俺に名前がないの?」
ちょこっといたずらも兼ねて自分の名前を聞いてみる。過去2回の対戦結果から俺が『エロボス』と呼ばれているのは知っている。だけど初対面の人にいきなりエロとかいうのはさすがに気が引けるのだろう。ほら、ちょっとゴモッている。
そうしていたら口が止まったリーダー格の冒険者の後ろにいた魔法使いが助け舟を出した。
「アナタの地上での正式名称は『渋谷ダンジョン ユニーク番号001』ですよ」
「なんか固くない?」
「そうですね……………………一応ネットでは『エロボス』と呼ばれてはいますが……………………」
「そうだよ、それそれ。エロボスって名前よ。ホントに誰が名付けたんだか」
ようやく『エロボス』の名前がでてきた。ったく恥ずかしがり屋さんなんだから。
「じゃあエロボスでいいよ」
「……………………ほんとにいいんですか?」
「だって今さら名前が変わってもみんなエロボスって言い続けるんでしょ?
それに過去2回の戦いで俺がエロボスって呼ばれているのは知っていたし」
「は?」
「ごめんね、からかっちゃった」
これがメスガキプレイである。いや、俺は男だからオスガキか。
「じゃあ自己紹介の続き、名前はエロボス。気が付いたらこのよくわからないダンジョンとかいう洞窟の中にいた。趣味は……………………昼寝かな。よろしく」
「それじゃあ俺たちも自己紹介をするか。渋谷ダンジョンの踏破を目的たとした攻略チームのリーダー、天羽だ。よろしく」
「え?趣味は?」
「しゅ、趣味?」
「だって、俺はちゃんと趣味を言ったのに天羽くんが言わないのは不平等じゃない?」
「たしかに?」
「で、趣味は?」
「趣味は……………………あ~……………………ダンジョン攻略」
「はーつまんな」
「戦うのが楽しいんだからしょうがないでしょ」
「いやいや、趣味がダンジョンとか合コンの時どうするの?」
「うぐっ」
「え?クリティカルヒット?」
「やっぱこのボス殺さね?うざいよ?」
「天羽さん、やめてください」
俺の一撃がクリティカルヒットだったらしく一瞬項垂れた後に俺を倒そうとしてきた。現在進行形でさっき俺が首を絞めていた女性に止められている。おい、笑える。
「で、自己紹介は済んだけどこれからどうする?」
「一旦、ダンジョン踏破を中止にして地上に戻ろうと思っている。君は地上に上がれるのか?」
「わからない。やったためしがないから」
「そうか、一旦上に戻るか」
「わかった。ついていけばいい?」
「あぁ、遅れるなよ」
「はいはーい」
◆
「ほんとにこの道であってるの?」
「ああ、このダンジョンは一本道だからな。というかお前は自分のダンジョンぐらいちゃんと把握しろよ」
「だってこのダンジョンは俺が作ったわけじゃないし」
ダンジョンを最下層から走りながら上に上がる。割と早い巡航速度、だいたい100m14秒ぐらいかな。そのくらいのスピードでモンスターをひき潰しながら地上へ地上へと駆け上がる。やっぱり魔法は偉大だ。
「一つ気になったんだけどさ。オリンピックとかってどうしてるの?」
「オリンピックとかの競技系は魔力を遮断するブレスレットの着用が義務付けられているんです。だからちゃんと素の身体能力で戦ってます」
「魔力遮断のブレスレットを偽造して身体強化をした選手がいそう」
「過去に何人かいましたよ」
「まじかよ」
そんな地上のことを聞いたり質問しながらダンジョンの入り口に移動していること早30分、ようやくダンジョンの入り口に到着した。
「30分……………………思ったよりもダンジョンって小さいんだね」
「いえ、あなたがダンジョンのモンスターを一掃しながら移動してくれたため普段よりも早いです。普段あら1時間、運が悪いときは2時間かかりました」
「あぁ、撤退した時の?」
「はい、あの時は怪我人を見逃していただき感謝します」
「あの時はマジで助かったぜ」
「別に俺も人を殺したいわけじゃないし」
「ええ、ここ30分の会話を聞いて確信しました」
「嘘でしょ?今まで信じてなかったの?」
「私はいt回殺されかけたもんで」
「その節は、ほんとにごめんなさい」
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