第11話盗賊襲撃後編

3日前


「どうすんのよ余計に火を大きくしたじゃない!」


あの後、フラが苦言を呈した


「そうだ、お前が余計なことをしたいでここは終わるのだぞ!」


フラに同調するようにいや、拡大解釈したように非難する


「だからっていずれは正面衝突は避けられない。しかも、ここは他の辺境の土地と違って流刑地でもある、人がいなくなることはないし、奴らも使えそうな住民がいるなら容赦なく売り飛ばす。避けられない問題だ」


納得し何も言えないフラとは対照的に、住民たちは


「勝手にしろっ!」


「俺らは一切手を貸さねえから」


「せいぜい、マシな結果になるようにな」


「・・・」


次々と立ち去っていく、ただ一人の獣人は少し躊躇いながら去り、僕とフラ、ノマンだけになった


「シキよ、お主の言うことも皆、薄々分かっておる。じゃが、時には引くことも重要じゃぞ」


そして、ノマンも立ち去っていく


「フラは行かないの?」


「別に、避けられないのは事実だし、それに・・・」

フラが続けざまにこう言う

「あんたがいなくなったら誰が私の周りを直すのよ」


「じゃあ、尚更負けられないね」


そして現在

結局、前線に立つのは僕とフラの二


奴らが間合いに入ってきたタイミングであらかじめ設置していた罠を発動させた


【修理】


突如として彼らの足元から木の柵が出てきた。それにより、盗賊たちの馬が転び態勢が崩れた


本来、触れなければ発動しないスキルだがそれを拡大解釈し、体の一部さえ残っていれば発動可能なんじゃないかと考え自分の血を劣化で壊した木の柵にかけた。範囲が範囲だからか途中貧血になりかけたが


「小癪な!___「そこ、危険だよ?」」


フラの忠告も虚しく第二陣の罠にはまった。罠も一つじゃない、最初は進行を阻むよう縦に出現するタイプだったが次は相手を突き刺すように斜めに生えてくる木の杭だ


これにより、前方の5名は致命傷を避けるも足や腕に大けがを負った


「てめえ、この間はよくも俺の剣をバラバラにしたな!」

その柵を叩き切り、現れたのはこの間の棟梁らしきスキンヘッドの盗賊だった。


「お前らぁ!あの呪い子の女は後回しだ。先にあのガキぶっ潰すぞ!」

殺意の籠った黄の瞳がギラリと光る。熟練度持ちのやつか・・・

スキルは・・・

「オラッよ!!」

「うおっ!?」

銀の一閃が即座に下ろされる

「っち、運のいい奴めが」

直撃は避けるもわずかに頬をかすめた

ヤミカの剣とは全く違う?!さらに鋭い!

エネルギーが違うだけでこんなに違うのか?!

「隙ありだぜ!」

回避している間にも他の奴らの棍棒が飛んでくる

【分解】

「へっ、何かしたか?効かねえぞ」

まずい、棍棒は一つの構成で出来たのか?!

【顕現:金槌】

一先ず振り回せるぎりぎり大きめの金槌に形を変えた

両手で振り回すには大きすぎる金槌を、必死に扱う。

棍棒とぶつかり合い、衝撃が腕に走る。


「っ……!」

重い。慣れていない。相手の数も多い。


「シキッ!」

弓矢によるフラの援護射撃により相手の腕に矢が刺さり少し力が緩む。それと同時に棍棒が劣化して脆くなった。

そこにハンマーを叩き入れ、武器を壊す。けれど、

「よそ見してんじゃねえ!」

さっきの棟梁盗賊が剣を振るう。とっさに金槌を間に入れたことで攻撃は届かなかったが工具を顕現している間は【修理】も【分解】も使えない。

フラの劣化も初手で警戒されているからか全く入らない


・・・でも、せめて!

「お前たちの家だろ!守りたいんじゃないのか!このまま奪われ続けてもいいのか!」

後方にとっさに避け、さらに続ける


「直すだけじゃ意味がない。今戦わなければ、何度でも壊されるんだ!」


棟梁盗賊が剣を振り上げたその時

【生成】

「え?」

突如として水晶が割って入った。振り返るとそこには薄鈍色の獣人がいた

「うるせえよ。だが、おかげで目が覚めたぜ」


「今更、増えたところで戦況は変わらな・・・」

後方で橙眼が強く光り、次の瞬間

【鬼脈の目覚め】

強い衝撃波が盗賊たちを襲った

「老いた体ではこれが限界かのぉ」

声の正体はノマンだった

「若いもんにこれだけ勇気見せられては儂も引いてはおられん。」


「っち、てめえらここは引くぞ!」

盗賊たちが引こうとしたそのとき

「火が着いた儂らを前に半数が負傷したお前さんらに逃げ切れるかのお。シキの言う通りここで終わらせる」

その言葉通り、町にいた全員が立ち上がり、誰一人逃さない勢いで戦場に現れた

農具を振りかざす農夫、火掻き棒を構える女たち、石を握りしめる子どもまで――

みんなが、恐怖を押し殺して一歩を踏み出す。


「お、俺たちだって……! これ以上好き勝手されてたまるか!」

「自分の家くらい、自分で守る!」


棟梁盗賊の顔が青ざめる。

「バ、馬鹿な……ただの流刑地のゴロツキ共が、俺たちに歯向かうだと!?」


【劣化】

フラの呪いが盗賊の鎧を脆くし、シキの金槌が武器を打ち砕く。


「オラァッ!!」

ドワーフの大槌が盗賊を叩き飛ばし、


ノマンは背筋を伸ばし、深く息を吸い込む。

「まだまだ終わらんぞ……【鬼衝波】!」

全身から気力を解き放ち、広範囲を薙ぎ払う衝撃波を放った。

盗賊たちが次々と地面に叩きつけられる。


住民たちの叫びと共に石が、矢が、火の粉が飛ぶ。

退路を断たれた盗賊団は、ついに壊滅した。


「俺らの完全勝利だ!」

住民たちは湧きあがり、辺りは歓声に包まれた

その後、売り飛ばされる寸前だった人たちを開放し、それぞれ家族の下に帰った。盗賊たちはその他の村にも略奪行為をしていたため、憲兵に渡し、多額の懸賞金を受け取り、その金で祝勝会を挙げた


そこではフラが住民たちに囲まれあたふたしながらも楽しそうにし、もう誰も彼女を呪い子として扱う人もいなく、初めてここに来た時よりも活気があふれていた。


そして、次の日二日酔いで住民が大変なことになったのはまた別の話

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