転生したらラヴニカだった件 その⑦
「ドムリくんヤバイよ! 巨人どもが来やがった!」
「慌てんなよバーカ、こういう時のための武器だろ」
第10管区、新々プラーフ、管区庁舎。地球においては東京都庁と呼ばれていた建物に、ドムリ=ラーデに率いられたグルールの戦士たちがいた。改造バギーのタイヤ痕も鮮やかにエントランスに突貫した彼らは、手にした破壊兵器をそこかしこに撃ちまくる。
バギーに無理やり搭載された分隊支援火器がアゾリウスの権威を称えるルーンの刻まれたエントランスの大理石を削り、もうもうと立ちこめる白煙を吹き飛ばすかのように手榴弾がそこかしこで爆発する。その爆発に吹き飛ばされたエントランスの椅子やテーブルがまだ宙を舞っている内、炎樹族の若者が広範囲の炎魔法で周囲を薙ぐ。ポンッ、ポンッ、と場にそぐわない音を立てLEDライトが破裂し辺りに破片を降り注がせる。轟音に次ぐ轟音、爆炎に次ぐ爆炎。法の執行部隊を抱えるアゾリウスであるが、初動は遅れていた。いかにグルールが文明の打倒を叫ぶ危険なギルドであったとしても、こうまで直接的な破壊行為――ラヴニカの法を司るアゾリウスの本拠地でテロをおこすとは、誰も想像だにしていなかった。
だが、新々プラーフの近辺に位置する、ボロス中央屯所は即応。
虎の子の特殊武装巨人部隊――GAT三小隊を即座に派遣。ドスンドスンと足音を轟かせ数百歩で現着。特殊部隊装備に身を包んだ、身長3mを超える巨人たちが、管区庁舎前の広場に並ぶ様は壮観だった。グルールの中にはその姿を認めた瞬間、がちゃり、手にした銃を取り落とす者さえいた。だが、ドムリは怯え一つ見せなかった。
「ぶっ放し部隊集合ッ!」
ひらり、身を翻してバギーの上に飛び乗ったドムリが数百人のグルールに号令を飛ばす。すると手に手に対戦車砲を持ったゴブリンが数十名、わらわらと彼の周囲に集まり、小柄な身体に似合わない砲を構える。
――まったく、文明ってやつは、どうしようもねえ――
ドムリは心のなかで笑う。
――自分をぶっ壊すモンを、自分で作りやがるんだからな――
爆発魔法をかけて特攻させるぐらいしか使い道のなかったゴブリンたちがにやにや笑い、巨人たちに武器を据える。未開人、グルールの荒くれ者たちからそんな兵器が出てくるとは全くの未想定外だったGATの指揮官は息を呑む。都市部での
「ぶっ放せッッッ!!!」
「退避ィィィィィィィッ!!」
白昼のオフィス街に轟いた爆音の後。
「…………ったく、スパイク様々だぜ! 野郎ども! ここを丁寧にぶっ壊したら、お次はイゼットだ!」
「イゼット? ドムリくん、あんなとこに何かあんの?」
「言ったろうが、爆弾だよ! この第10管区、まとめて吹き飛ばせるデッカイ爆弾だ!」
「すっげえやさすがドムリくん! マジあったまいー!」
「腹音ならしなんざ目じゃねえや! これからはドムリくんの時代だ!」
「イルハグ様! アンズラグ様! もうすぐですぞ!」
思い思いに勝ち鬨の声を上げるグルールたちに、ドムリはバギーの上から叫ぶ。
「騒げ、暴れろ、野郎ども! 今日が文明の終わる日だ! 今日は文明が瓦礫に変わる日だ! 今日は俺たちグルールが、その瓦礫の上に立ち上がる日だ!」
爆煙と白塵の中、獰猛な歓声が上がる。法機関とその執行部隊に大打撃を与えたグルールたちは、さながら何もかもを食い尽くす蝗害のように、次なる目的地、ニヴィックスへと向かっていった。ドムリはその先頭に立ち、人知れずニヤリ笑う。
――まったく、スパイク様々だ。あのラヴニカを、こんなぶっ壊しやすくしてくれたんだからな――
密かにスパイクと手を結んだドムリは、ただひたすら突き進んでいく。破壊と革命の大渦に、ラヴニカすべてを巻き込みながら。
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