第14話 この作業は必要なこと
飛鳥さんの寝室で謎な発言をした俺。
もちろん俺の独り言にツッコミなどの返事もない。
そもそもあったらそれはホラーだ。
この部屋には俺しかいないのだから。
あ、でも、見知らぬ人の身体に入っている俺ってすでにホラーだったりする?まあいいか。
「さて、まずは――服の確認した方が良いよな」
謎な独り言の後。
まだちゃんとは見てなかった飛鳥さんの服が入っている引き出しをとりあえず全部出した。
すべてだ。
ポイポイとベッドの上に出していった。
引き出しはすべて底が見えるようにした。
一応寝室にはハンガーラックがあったが。そこには冬服(すでに着たので俺がかけた)。夏服(もともとかかっており。カバーに入っている)の制服がかかっているので、これに関してはわざわざ出す必要もないのでそのままにした。
余談だが元の俺、薬水柚希はタンスなどの引き出しに服をしまうより。ハンガーラックや壁。カーテン(服かけすぎ注意)に服をかけて置いておく人間だったので、引き出しにしまってある服を出すという行為は実は久しぶりだったりする。
ちなみに、同年代の女性の服を触ること自体なかったので、それに関しては初。
なのでどんな服があるのだろうか?とちょっとワクワクもあったが――。
そこそこ服がありそうに見ていた引き出しの中。
全部出してみたが――ベッドに山が2つ3つ出来たところで打ち止め。
飛鳥さん。私服が少なかった。
なお、服から良い香りはした(この報告はいらないか)。
寮へと持ってきている量が少ないのかもしれないが。俺ですら寮生活なら洗濯のことも考えもう少し持ってくる気がするが――。
また、出てきたのは基本今着ているような服。
つまりパーカー、ジーンズがあと2着ずつと。
夏用と思われる薄手のシャツと短パンも2着ずつ。
あとは冬用と思われるもこもこしているあたたかそうな上着が1着。
以上である。
薬水柚希としてもハンガーラックにかかるくらいしか服を持っていなかったので、少ない方と思っていたが。どうやら俺の方がもう少し服は持っているみたいだ。
あと、再度となるが学園の物を確認すると。
制服が夏服。冬服とハンガーラックにかかっている。
ちなみに今は冬服だ。昨日来たのも冬服である。
夏服と冬服を見比べてみると、デザインはほぼ同じ。少し夏服の方が薄い生地に見える。
あと夏服の方のカッターシャツは半袖で、襟が開いている開襟シャツなので、ネクタイを締めなくて良いらしい。
そういえばネクタイを結ぶ練習だけはした方が良いかもしれない。
衣替えは多分6月頃なのでまだ数週間ネクタイを結ぶ必要があるからだ。
あと、練習で言うと、ちょっと話は逸れるが。飛鳥玲奈という名前ももっとすらすら書けるようにした方が良いかもしれない。
今でも一応はもう書けるが。多分急いで書くと薬水柚希と書いてしまいそうな気もする。
あ、筆跡は――まあいいか。そうだよな。これも何度も言うが俺は記憶喪失設定。そこまで難しく考えなくてもいいだろう。
今までの事はわかりません。
どんな生活していたかもわかりません。これでいく。
これからは薬水柚希による飛鳥玲奈なので、彼女の真似。わざわざ癖とかを知る必要もないだろう。
とか思っていると、突然元の身体に戻ったりして――。
と、話が脱線したが寝室あさりの事に戻る。
あと、今更気が付いたがカッターシャツも学園の指定のものらしく、胸元のポケットのところに校章が入っていた。
それと引き出しの方に体操服は3着あった。出した服の山の1つはこれ。
ちなみに、体操服は上が白色。下か紺色とこれはどこの学校でも同じような感じなのだろう。俺の記憶にあるものとほとんど同じ気がした。
あと、冬用だろう。長袖のジャージも1セットある。
ということで、引き出しあさり。服の確認はあっという間に終わってしまった。
意外と――ワクワクの時間がなかった。
飛鳥さん。私服少なめ。
部屋着も少ない。
学園はまあこれくらいだろう。
「これって――ないなら。それこそ俺が好みの服着せるのもありか。あ、でも今のこの感じも普通に良いよな。動きやすいし。そういえば、昨日制服着た時は初スカートでスースー感じていたが。飛鳥さん私服でスカートは持ってないんだな。別に問題ないが」
余計なことをつぶやきながら、ベッドの上に出した服は俺自身が分かるように引き出しへと戻す。
本当は出しっぱなしにしたようなレベルだったが。一応戻した。何があるかわからないからな。何度も言うが。突然戻る可能性もあるし。
でも、全部出したことで、これでどこに何があるのかは一応覚えた(場所が動いているのは――勘弁してくれだな)。
ちなみにその後、別のところに入っていた下着類も一応確認のためすべて出した。
こちらもざっと掴んで出したら終わる量だ。
ちなみに派手なものはない。どれもシンプルなもので、綺麗に畳まれていた。
なお、隠してあるものも――なかった。
まあ今の飛鳥さんの姿でセクシー系は似合わないか(でもちょっと見てみたいが。あ、着せればいいか。って、買うハードル高いわ。ネットで買うとか――さすがにタブレット端末の支払い対応してないだろうしな)。
確認した後下着類も片付けつつ。
これからどんな服を飛鳥さんに着せてやろうか。とかちょっと考えていたが。基本は学園だ。
そして休みも今日は美容院に行くために動いたが。もしかすると、そうそう外出などはしないかもしれない。
今は疲れてないが。飛鳥玲奈として1週間学園生活をしたら土日はぶっ潰れているかもしれない。
それだと――服はまだいいか。という結論になった。
私服が無ければ、体操服で部屋の中は過ごしても良さそうだった。
というか、薬水柚希の時は体操服での生活時間が長かったのでそうなる可能性は高いかもしれない。
衣類の片付けを終えると俺はベッドの下とかも確認――いや、それは男子の部屋だけだろ。と、突っ込まれそうだが。もしかすると何かある。大切な物。貴重品を隠している可能性もあるため。全部チェックする。
まあ結論を言うと何もなかった。
というか、本当に飛鳥さんの家族の事とかが分かるものが全くない。
病院にいる時にも思っていたが。もしかして飛鳥さんの両親放任主義?または国内に居ないとかあるか?
それとも――家にいない子とかいう扱いだった?さすがにそれはないか。
あとは――孤児?言うんだったか?両親や親戚が居ないとかの可能性もなくはないが。まあ、それだと入院しても誰も来ないのが納得できるが――それだとタブレット端末で、すでにいろいろ支払いとかしているが。そのお金はどこから出ているのか――あ、飛鳥さんがアルバイトとかしていた可能性もあるか?やばい、考えれば考えるほどいろいろ調べないといけないかもしれないことが浮かんで来る。
とにかく、わからないことが多すぎたので、俺は考えることを諦めた。
諦めも大切である。
それにm何度も言うが。俺記憶喪失。という切り札ではないが。カードを使いまくればなんとかなる気がしている。
ということで、寝室を調査するというミッション。
実はもっと面白いとか思ったが。事務的――とでも言うべきか。確認作業で特に盛り上がることなく終わってしまった。
その後の俺はタブレット端末を手に持ち。再度何か飛鳥さんの情報がないかベッドに腰かけ確認してみたがやはり出てくるものはなかった。
「これは――記憶ないって言って学園で確認した方が早いか――日曜日とかも学園は入れるのか?」
ちなみにこの時の俺はまだ話を聞いていなかったので知らなかったことだが。後日知ることになるので、先に話しておくと。
学園は基本土日も入れる。
実は寮父のおっちゃん。食堂で料理していた人が休日の学園内の見回りをしているらしく。日中は部活動などが行われており。夜間のみ施錠されている。
また先生らに関しては島の外に住んでいるので朝の列車でやって来て、夜の列車で帰って行っている。
なので土日祝日は学園は空いているが先生らはいない。部活の顧問の先生はいる場合があるが。基本いない。
この時の俺はわからなかったので、また学園に行ってから聞けばいいかなどと思いつつ。しばらくタブレット端末をいじった後。シャワーを浴びてくることにした。
「あー、パジャマは俺が好きなものに変えた方が良いかな。まあ今のでも着心地いいからいいが――そのうち暑くなりそうだよな」
つぶやきつつ置いておいた着替えを手に取るとそのまま洗面所へ向かう。
そして一応家事スキルは持っているつもりの俺。
洗濯とかは自分で出来るならすることにした。
ぽいぽいと服を脱ぎ。素っ裸になって洗濯物は洗濯機へ入れ、そして電源ポチっとしてから洗剤を入れるという流れ作業を行った。
洗濯機に頑張ってもらっている間に俺はシャワーを浴びる。
そして飛鳥さんの身体を鑑賞――ではなく。隅々まで綺麗にする。
――おかしいな。どのように言っても俺が変態に聞こえる気がする。そもそも俺が行っている行為がやばいのか?でも仕方がないことでもある。シャワーを浴びない方が飛鳥さん的にはつらいだろうし。などと勝手に理由を付け。しっかり洗っておく。
決して、長く鑑賞したいからではない。
もともと風呂は好きな方の俺。
しっかり洗っただけだ。
そうそう、今日のシャワーめっちゃ感動した。
飛鳥さんの身体に感動――ではなく。いや、飛鳥さんの身体の一部と言うべきか――。
「やべー。めっちゃ楽じゃん」
さすがに元の俺の身体の時よりかは髪は長いが。それでも昨日の苦労を知っているため。今日は髪を洗うのがとっても楽だった。
そしてシャワーを浴びた後。浴室の鏡で濡れた状態を確認してもオバケではない。
むしろ――ちょっといいんじゃね?レベルである。
同年代のお風呂をじっくり鏡越しに鑑賞しているようなものだ。
これは――あり。
もちろん昨日のオバケの時でも一糸まとわぬ姿はそりゃ――良きもの。
しかし今日はオバケという状態がなくなったからか。さらに良くなった。
まあ俺が中に居るからか。本来なら他人に見られ恥ずかしがっているとか表情にそういうものが出れば、もしかするとさらに良く見えるのかもしれないが。
でもちょっと鏡の前で自分好みのポーズを取らせたくなる雰囲気が出ていた。
少しずつだが飛鳥さん変わりだしている。
というか。俺が勝手に変えている。
明日はどうしようか。そんな事を思いつつ浴室を出る俺だった。
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