第2話 現実と妄想の間で
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高校一年の春、俺は川上さんに告られた。
とてもかわいい女子だった。
頭もいいしスタイルも抜群で胸は大きいし足は細い。
正直俺好みだった。
でも別にスキだったわけじゃない。
だた、なんとなくこの子なら自分にあってるなと思っただけだった。
川上さんはお弁当を作ってきたり、とれたボタンをつけてくれたりしてくれた。
本当に優しくて気の利く女の子だった。
でもある日、俺はふられた。
理由は「川上さん」から名前の「愛」まで、全然距離がちじまらないかららしい。
俺にはわからなかった。
その理由も、目の前で泣いている川上さんの気持ちも。
「スキだけどだめ」
そう言った。
スキってなんだ?これだけ一緒にいてキスだってして、それだけじゃダメなのか?
つきあって半年で俺達は別れることになった。
クラスの連中は誰もなにもいわない。腫れ物を扱うように二人に接した。
ただそれだけだ。
ただそれだけのこと。
俺が悪いのか?俺はなにもしてない。川上の情緒不安定に問題がある。
そう思っていた。
少なくとも、蓮と会うまでは⋯⋯。
俺は蓮がスキで蓮は俺が嫌い。
切なくて夜、泣きそうな時もあった。
クラスメイトに八つ当たりしそうになることもあった。
そういう時はわらってごまかす。
それが俺の生きる方法だ。
そうしてれば、みんなちやほやしてくれる。
俺の居場所が確実になる。
休み時間になると、俺は蓮にちょっかいをだすようになった。
「おい、何呼んでんの?」
「なんでもいいだろ」小さい声で返事する。面白くなって余計話す。
「おまえ、授業中、ゲームしてんだろ?やばいぜ、田中没収するぜ?」
無視された。でもかまわない。それを見ていた篤が不思議そうにやってきた。
「珍しいじゃん、おふたりさん、いつから仲良しになった?」
「うるせー、勝手にさせろ」
誰にも二人の間に入って欲しくなかった。
蓮の可愛さを知られたくないと思った。
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