現世に生きるAfter liFe

@Azry-

EP/1

「...またやってたのか、らいせ。あーるまで巻き込むな」

「まーいいでしょ、私の自己満だし。それにこれがもうすぐだから」

「はぁ...どっかいけと。しゃーねーな、あんまやりすぎんなよ。俺は言ったからな」

こちらに背を向けて離れていく。

だいすが歩く度、宙に浮いた不思議な何かがカラカラと音を立てる。

その背中を、隣の親友と見届けた後、先程までの作業に視線を戻す。



__ところで目が覚めた。

知ってるようで、知らない記憶の夢に悩ませられる。

登場人物は皆知っていた。

なんだかぱっとしない気分。変な感覚だ。

ベッドからおりて、昨日名亡しに貰った菓子パンを頬張りながら考え事をする。

いつもならちょっと経てばすぐに忘れてしまうような夢の内容を、今回はハッキリと覚えている。

誰か自分以外の視点で、不堪だったわけでもない。

声的に、視界的にらいせちゃんだろうか。

ただどんなシーンかは考えてもわからない。

ここで詰まればもうどれだけ考えようが無駄なことだと察し、スマホを取り出してネットを見始める。

あーるちゃんが好きと言っていたもののイラストにいいねを押してみたり、なんとなくどうでもいい動画を見てみたり、そんなことをしているうちに菓子パンはなくなっ ている。

家ですることもないし、どうせならもう神殿に行こうかと考える。

のんびりと、武器であるチョーカーと自身の種族であるアフの印であるベルトを足につけ、準備を進める。

家を出て、名亡しの神殿へと足を運ぶ。

道中には元気に走り回る人の子供がいたり、こちらが一方的に知っている別のアフの家があったり。

15分程歩けば、神殿のある森に着く。

その近くにあるコンビニでちょっと菓子でも買って。

そこから更に10分くらいで見えてくる。

道は複雑でもなく、なんとなくの目印があってわかりやすい。

神殿といっても凄く大きいという訳でもなく、大きめの一軒家程の大きさ。一人で住むにはちょっと広いくらいで。

「名亡し、来たよ」

「ん...あぁ、音海。いらっしゃい」

「これ、買ってきた」

「まじ??ありがとな、これ美味いよなぁー。とりあえず入って」

「うん」

中に入っていつも通りくつろぐ。

2人で他愛もない会話をしながら、買ってきた菓子を食べながら、動画でも見て。

1時間程後に、玄関から「名亡しー!」という声が聞こえる。

「だいすか、行ってくる」

「ん、行ってらっしゃい」

名亡しが行ってから、夢のことを思い出す。

そういえば、あの夢にはだいすがいた。

実際なんだったのかわからないし、本人にわざわざ聞くほどのことでもないし、何よりめんどくさい。

正直どうでもよくなってきた夢のことは心の中に閉まっておくことにしよう。

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