第11話 人間関係
結局場所は見つからず、私は急いで事務所に移動した。
事務所は電気が消えていて、誰もいなかった。
レンちゃんとセバスチャンさんはしばらく居ないと伝言を残しているし、
私の腕にコアラみたいにしがみついて離れない
その時、彼女がいつも飲んでいたココアが事務所の自販機にあったのを思い出した。
これで落ち着くかなと思い、急いで買って帰ってくる。
声も出なくなって泣き疲れてしまった
「…うっ…ぐすっ」
「
用意してきたタオルでぽんぽんと涙を拭いても、
「ごめんね
いつもテレビや私に見せる元気な姿はなく、下を向きかすれた声で話す姿は痛ましかった。
「別に迷惑とは思ってないけど……なんで
ずっと疑問だった。確かに私と一番仲が良かった友達だったけど、それでも関係として正しいのはライバルで、本人の意志とは関係なくとも私がモデル業界から居なくなったのは良いことのはずだ。
申し訳なさはあってもここまで泣くなんて思ってもいなかった。
私が事務所から出ていくときなんて、マネージャーさんも電話で別れを済ませるほどだったのに。
「私友達少ないから」
ココアを飲みながら出てきた言葉に驚いた。
だから
その
「
「ちがう! ちゃんと私を見てくれる人はすっごい少なかった」
駄々っ子のように否定する様子は現場で見た演技をしている人には見えないほどだった。
「うちの話聞いてくれる?」
思わず頷いていた。
「うちは、相手が何を考えてるのか分かるの」
今日一番の驚きだった。
「なんとなく次に何するとか、どう思ってるのかが分かる。
でもそれが気持ち悪くって両親に捨てられちゃった。」
今もずっときゅーちゃんの《
「見たくなくても見えちゃうの。それのせいでうちと話す人たちがうちのことを見てないのが分かるの。」
実は腹黒でキャラを演じているのかとか、そんなことはなかった。
きっと彼女は両親に捨てられた時からずっと子供のままだ。
周りの大人が求める行動をするただの子供だ。
変に周りの空気が読めるだけ、自分の気持ちを押さえつけて行動が出来る人だ。
自分が見たくもない人の内面を見続けるのはどんなに嫌なことか。
外面だけ取り繕って内心馬鹿にしてくる人はどれだけいただろうか。
「
泣きつかれているせいか、少し要領を得ない
幼少期に両親に捨てられ、拾われたのは祖父の家だった。
その祖父は
祖父以外の理解者はいなかった。
友達になりそうな人が居ても、何らかの都合で去ってしまう。なんでかは
その中の一人が、私だったらしい。
邪な考えを持たず、対等な人間として何かに利用することなく接してくれる人がようやく見つかって少しうれしかったそうだ。
それでも今までの経験からいつかは居なくなってしまうと考えていて、実際に私は不祥事で
私が周りとの連絡手段を断って、休んでいる間に
私はそのまま風間家にお世話になっているので、携帯番号も住所も全て変わってしまった。
何もなければ
でも私はまた、
再会した私に、
以前最後にあったときとは全く違う、でも自分に心当たりのあるその感情を見て、
何を話しても警戒心を解かない私が、もう自分のことを友達と思っていないと思って泣いてしまったらしい。
「さっきも言ったけど、
「でも、うちがおじいちゃんを無視して助けに行けばよかったの」
「おじいちゃん? 事務所の人が止めたんじゃなかったの?」
「事務所の人にそうしろって言ったのがおじいちゃん。」
大事そうにココアを両手に持ち、ぐずぐず鼻水をすすりながら
ティッシュを渡して鼻をかんでもらいながら、少し私は考えた。
きっと話している内容に嘘はない。
それはきゅーちゃんが常に確認しているのもあるし、私が今まで見てきた
両親に捨てられたなんてことは初めて知ったけど、子供っぽい言動とは裏腹に危ない雰囲気の人には近づかないのは私が不思議に思っていた点だ。
両親が気味悪がって捨てたと言っているのに、孤児院ではなく祖父が引き取ったこと。
これはいい。
よくはないけど、その内容に変なものはないと思う。少しだけ、
一番の違和感は友達になる人が消えていくというもの。
きっと
何回かはあったかもしれないけど、相手の心を見れる
本人の性格は確かに子供っぽいけど、細かいところに気配りが出来るいい人だ。
性格のせいで離れていく人も少ないだろう。
何かがあると思った。でもそれが何かは分からない。
少なくとも《
一つだけ確かなことが言えるとするなら、それは――
「じゃあ、私は
今度こそ涙が枯れて、充血しきったその目は少しだけ期待があった。
「ほんとう?」
「はい、私こう見えても探索者としてすっごい強くなって、モデルの時より稼いでるんですよ?」
レンちゃんの伝言と、以前の事件のせいで疑ってしまったけれど。
色眼鏡を全て外してみる
子供っぽくて、友達じゃなくなりそうになるだけで泣いてしまうほどに私が好きな人を突き放すのは私には出来なかった。
「うち、
私が
表情はよくなったけれど、気にしているのは私が消えるかどうか。
「酷いことはしてませんよ。
今だから言えることだ、きっとあの事件の直後ではこんな考え方は出来なかった。
彼女は連絡が返ってこなくて寂しかったと言っていたけど、もしあの時にあっていたら関係は修復不可能なまでに壊れていた。
「それでも納得できないなら、次は私を助けてください」
メイクもぐちゃぐちゃになっている笑顔は、やっぱり子供のようだった。
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