第7話 嘘と本当
マネージャーの仕事は簡単だった。
「そもそもマネジメントする相手に仕事がないからね。マネージャーは仕事のし甲斐がないね」
「……」
「そ、そうだけど。そういうこと直接言っちゃダメです」
苦い表情をして黙り込む
今はマネージャーとしての唯一と言っていい仕事である
「私も演技に関してはあまり詳しくはないですけど……結構様になってる気がしますよ?」
一応比較のために残していた最初の演技の記録に比べれば凄い上達しているし、前に聞いていた現役A級探索者としての肩書を含めるならかなりいい感じに仕上がっていると思う。
「うーん、もうちょっとなんていうか雰囲気が欲しかったんだけど。まぁいいか」
私が説得して、それでも駄目だというのがいつもの流れだった。でも、今日だけは違った。
「じゃあ、かなり練習は出来たことだし、そろそろ一歩踏み出そうか」
☆★☆
レンちゃんに「僕はいかないけど、
事務所から出てその人と合流した後、徒歩でテレビ局に向かう。
経費削減とかそう言うものではなく、探索者としてレベルを上げている私たちからするとタクシーや車などは走った方が早いので使わないという事情がある。
「久しぶりだな
彼の名前は
私も一時期レンちゃんに連れられてダンジョンにいくときに会ったことがある。
「ああ、そうだな……お前は元気そうでよかったよ。」
ちらちらこちらを窺っている彼に、私は話しづらいのかと思い思い切って挨拶をすることにした。
「お久しぶりです
「ああ、えっと
「はい、何でも大丈夫ですよ?」
なにやら前よりもずっと警戒されている気がする。そもそも接点が少なかっただけに何が原因なのか分からない。
その様子が気になったのか、
「どうしたんだよ。美女だからって気後れするタイプでもないだろお前。面識あるってボスから聞いたぞ」
「いや、
「実験? いやあれはぽわぽわしてる頭お花畑な女だぞ。知ってるのか自分の《召喚》で出てきたモンスターたちにつけてる名前。ちーとかもーだぞ。あれの何が怖いんだ。」
「お前には分からねぇんだあの恐ろしさは……」
「答えになってないぞ」
「あの……」
私が話しかけると、
「えっと、今回はレンちゃんにテレビ局についてから説明を聞くように言われてますけど、そろそろテレビ局に着きますし、
「そうだな、
「ああそうだ、その前にボスから
「あれ、そんなのがあるんですか?」
「『君の敵がそこにいる。負けないと思ってるけど、慎重に調べてね』だってよ。伝言はちゃんと全部伝えたからな? ほんとだぞ? 嘘じゃない」
伝言を聞いて、私は即座に《召喚術》をつかって目立たないようにモンスターを召喚した。
召喚に答えてくれたモンスターに音を立てないように指示を出して、私の側から離れてもらった。
どらちゃんが召喚できるようになってからダンジョンで鍛えた探索者としての能力だ。
「いや、俺もこんなんじゃ伝わらないって言ったんだ。でもボスはこれでいいって聞かなくて……」
「いえ、分かりました。もう大丈夫なので、説明を始めてください」
何やらびくびくしている
「今回ここに来た目的はオーディションだ。
風間家が初めて作った芸能事務所『トワイライトプロモーション』の最初のタレント。
その内容に疑問を持っていたのは私だけではなかった。
「ちょっとまて、俺はもうデビュー作品は決まってる。ボスと一緒に映画の撮影も始めているが……さすがに映画を二本同時進行は出来ないんじゃないか?」
やっとOKが出た映画撮影に続いてもう一つの作品のオーディション。
「最後まで聞け。
あーその、なんだ残念だったな
「はぁ? 何がだよはっきりものを言う
「いや、これはただの俺の感想だ。いいか最後までよく聞け。
今回のオーディションは国が主導する探索者の促進を目的としたプロパガンダの映画だ。
あらすじはS級を超える実力を持つ超級と呼ばれる世界的な探索者の男と、その超級に助けられて隣に立とうと奮闘する駆け出し探索者の女子大生の二人が主人公の軽い恋愛ものだ。現役探索者が監修をしていて、戦闘や訓練する様子をリアルにするのも特徴だそうだ。」
淡々と話すその声は不憫な話をするような心配そうな色をしていた。
そしてその内容には驚くほどに聞き覚えがあった。一度レンちゃんが私に説明してくれた
「お前は聞き覚えあるだろう。昨日ボスから聞かされて驚いたんだが、あの映画の撮影、全部嘘だったらしいぞ。」
それを聞かされた
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