要約星書

天珊 編音

第1話

 何故クローンを作ってはいけないか?もうわかってるだろ?人間がクローンだからだよ。自明の理だよ。倫理観とかじゃねぇ、クローンがクローンをつくれるかって話、許されてないんだよ。どうやって魂が生き物の体に入るのかも知らねえ存在が何言ってるんだと。人が神を創った、だと?ふざけるな、クローンが人を創ったって話は聞いたことは無ぇだろ、それくらい荒唐無稽な話だって。

 神と人間が共存をしていた世界は人間とクローンが共存していた世界とイコールだ。ガラスの中の小人、エデンの園。圧縮された別の惑星の記録が片鱗として残ったものだ。知ってる側からすればうまいことコンパクトに収めたよな。

 外界から途絶・隔離された実験場で、最適化された栄養のある食事、管理された気候、危険のない「閉じた」環境。自ら働く必要もなくあるがままで生きることを許され、なんの金銭も仕事も─いわゆる労働が必要のない世界。それが楽園の正体だ。楽園追放だって、管理された環境から運用される環境へ移行したというだけのことだ。


 ほならね、神は今どこへ行った?って話よ。神はいるのか?という問題。実は、昔はいたんだよ。でも今はいない。神話の時代、あんなに神は人に託宣くれたり教え導いたりしてたのに、現代では何もしてくれない。昔の人も今の人も基本はそんなに変わらない、自分が見たり聞いたり、体験してないと信じないっていうのはね。昔の人は、実際に見て聞いたりしたからそれを口伝やなんらかの媒体に記して残したんだよ。今の人は誰もその体験をしてないから信じられない。だから神はいるのかいないのかって話になってる。

 ではなぜ体験してないか?っていったら実は簡単なんだよ。我々を生み出した神は、地球を離れて今べつの星に行ってるから。悪く言えば置いて行かれた・良く言えば信頼し、自由を与えた。

 置いていったっていうとちょっと語弊があるな。地球のことは認識下におきつつ、今はほかの太陽系で銀河系で惑星文化を立ち上げしてる。ひとつふたつじゃないよ。複数だよ。100万年の寿命のある人間がさ、0.5万年程度面倒みてあとは1万年ごとに面倒見に来てるっていうと伝わりやすいか?銀河系が半回転するごとの時間よな。あっという間だよ。しかし地球の人間からすると5000年から1万年放置されるからたまったもんじゃないよな?


 神はそもそもなんなのかって言えば、もっと文明の進んだ星からきた人間だよ。神様ってさ、中心の柱となる神様と役職に分かれてたりする神々がいたりするじゃん。それと唯一神の場合もある。チームで文明をつくりたいか、ひとりで文明をつくりたいかって話だったりもする。性格によるんだよ。まあでもチームで来た方が安全だよね。まず大気の組成を調べて順応するのも必要だし、もってきた動植物の適応問題もある。自分たちの身体組織への影響もあるしいろいろとやること多い。

 文明が進むと星間航行も可能になるしいろいろとやることの上限突破できる。こうやってほかの惑星に来ることもできるし、人類を創造できるし。

 今現在の地球の文明を進化・深化させるには輪廻転生の際、記憶の忘却キャップを外す必要がある。記憶の継承があなたがたには許されてないこと、そのこと自体がまだ支配されていることの証拠として残っている。


【欄外】ついでに言っとくと日本語の「カミ」って概念は本当に便利でね、こういう分化を打ち消す作用があるから本当に優秀。自分より上の概念や存在をすべてひっくるめて「カミ」って呼べるのほんとうに便利(ニギミタマ・アラミタマもひっくるめてカミ枠に入れられる)。なんならカミで一言でいいつくせなければ八百万ってつけたらいいのもたすかる。しかも概念や存在だけでなくて、三次元で物理展開されたものごとにも使える。マジで便利。髪の毛とか、地理上での上方とか、…紙だって文字を残せるし石に刻むより便利だから重宝されてた、その昔。

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