一瞬の物語

ブリンケイド

転生と責任

俺は悪魔として転生した。記憶は曖昧だが、生前の「責任から逃げ続けた人生」が原因らしい。地獄の主は冷たく言った。

「お前には人間の魂を堕落させる責任を与える。逃げれば消滅だ。」


最初の任務は、孤独な青年のもとへ行き、その心を蝕むことだった。しかし、俺はどうしても手を下せなかった。代わりに彼を励まし、立ち直らせてしまったのだ。


報告を怠れば罰が待つ。だが、嘘をつき「任務成功」と偽った。奇妙なことに、それを繰り返すたび、俺の身体が変わっていく。角が消え、肌が人間らしくなっていったのだ。


ついに地獄の主が俺を呼びつけた。

「貴様、責任を果たさなかったな。」


覚悟を決めた俺に、主は不敵に笑った。

「だが、逆の責任を果たした。お前は人間に戻る資格を得たのだ。」


気づけば俺は人間として再び地上に立っていた。今度こそ、逃げずに生きる責任を果たそうと誓った。

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