71 クリスマス当日②
「あのステーキすっごく美味しかったよね? また食べたい! ふふっ」
「う、うん……。美味しかったと思う」
「どうしたの? ナナくん。元気なさそうだね」
「う、うん……? そうかな……」
レストランでステーキを食べた後、俺たちはすぐホテルに来た。
そこまではいいけど、なぜ俺たち……同じ風呂に入っているんだろう。
「だって……」
いきなりすぎて、その話に反論する暇もなく俺たちは浴室に入ったと思う。
ずっと我慢していたのかな? あっという間に花美に脱がされた。
そしてニコニコしている花美が俺の手のひらにシャワータオルを乗せた。どう見ても「背中拭いて!」って言っているような顔だったから、そのまま花美の背中を流してあげた。
俺が……、女の子の背中を。
ちゃんと裸を見たことないからすごく恥ずかしいのに、そんな俺を躊躇なく風呂の中に連れて行く花美だった。収まらない、さっきからずっと緊張している。それにこいつ……、俺より緊張しているかもしれない。
ちょっと苦しいかも。何を期待しているんだろうな、こいつは。
「花美が……、裸姿の花美が目の前にいるからぁ……」
「えっ? 今更? ナナくんって私とずっと一緒に寝てたでしょ? 私が寝てる間に脱がしたりしなかったの?」
「そんなことするわけないだろ? てか、花美がいつも俺にくっつくから寝ている時は動けないよ」
「そうなんだ……。てっきり、あちこち舐めたりしたと思っていたけど、そうじゃなかったんだ」
「えっと……、花美は俺のことなんだと思ってる?」
「大好きな彼氏!」
「そうか……」
とはいえ、風呂がこんなに広いのになんで俺とくっついているのか分からない。
それもあるけど、恥ずかしいところが触れているからどうしたらいいのか分からなかった。
じっと花美のうなじを見ている。
「ギンギンじゃん、ナナくん」
「う、うるさいよぉ」
振り向いた花美がくすくすと笑っていて、すぐ目を逸らしてしまった。
髪の毛から落ちる水玉とか、背中をくっつけてくるることとか、可愛い声とか、すべてが危ない。危険そのものだ。そしてこいつもイキイキしているから、花美の後ろで俺だけめっちゃ緊張している。
女の子はいいな、すぐバレないから。
苦しいよ、俺は……。
「やりたいの?」
「い、いや……! ここはちょっと」
「私は風呂の中でやってもいいよ! ひひっ♡」
「やるなら、ベッド! ベッドがいい」
「ふーん、そうなんだ。分かった!」
すぐ出るのかと思ったらそのまま風呂の中でぎゅっと俺を抱きしめる花美だった。
いくらなんでもこれはひどすぎる。そして感触もやばすぎる……。
しばらくの間、花美の小さな体を抱きしめてあげた。その気持ちいい感触に頭の中が真っ白になるのを感じる。本当に可愛い。
何も考えたくなかった。
……
ソファに座って花美の髪の毛を乾かしてあげた俺はお茶を飲んでいた。
ずっとお茶を飲んでいた。
これから何が起こるのか分かっているから心の準備をしておかないといけない。いけないのにぃ。心臓が爆発しそうで居ても立っても居られない。こんな感情は初めてでどうしたらいいのか分からなかった。
好きな人と今日綺麗な夜景が見えるホテルでセックスを……。
ゆっくり息を吐いた。
「ナナくん?」
「うん?」
そして花美が電気を消す。
薄暗い客室の中、ベッドに座る花美が明るさをコントロールしていた。
「こっち来て、ナナくん」
「うん……」
片手で俺の頬を触る花美に固唾を飲む。
これからやるのか。
「私……、初めてだから優しくしてね。ナナくん」
「俺もやったことないけどぉ」
「そうだね……」
じっとこっちを見ている花美。
もう言葉はいらないような気がした。
その場で花美にキスをされて、そのまま彼女をベッドに倒した。この雰囲気は本当にエロい。なんか、洋画でよく出てきそうなそんな雰囲気だったから精一杯我慢していた。ゆっくりしないと……、花美を傷つけるかもしれないから。
うわぁ、めっちゃドキドキしている。
「……っ!」
いつも俺をからかっていたくせに、こういう時は何もできないのか?
唇が離れた時、花美の顔は真っ赤になっていて俺と目を合わせていた。親指で唇を拭いてあげた後、花美の乱れた姿に固唾を飲む。ブラの紐とか、白い太ももとか、少し震えている体とか、花美のその無防備な姿は俺の欲求をくすぐっていた。
「ナナくんが脱がして……」
その一言に俺は何も言わず、ゆっくり花美の浴衣を脱がしてあげた。
静かな客室の中、衣擦れの音が聞こえてくる。
うるさいのは心臓の音だけ、これから俺は花美とやる。
「なんか……、今日は私のこと好きにしてもいいっていうか……」
「…………」
実際こんな時が来ると何もできないと思っていたけど、本能っていうのがどれだけやばいのか俺はここで分かってしまった。
我慢しようとしていたのに、できなかったからさ。
「———っ!」
「ごめん、痛かった?」
「ううん……。気持ちいい……」
「うん……」
花美の体にキスマークを残した。
唇をつけた時に感じられた体の温もりがすごく気持ちいい。頭の中には「やりたい」ということしか入っていなかった。でも、それより俺は……俺の前で喘ぐ花美が見たかったから、やめられなかった。ずっとからかわれていたから、これくらいやってもいいと思う。
いつも俺の体を噛んだり舐めたりする花美と違って、俺はこういうの初めてだからゆっくり花美の胸を舐めた。
すると、可愛い喘ぎ声を出しながら両手で枕を掴んだ。体がすごく熱い。
そこで俺は気づいてしまった。
「そうか……」
「な、何が……?」
「女の子も……、興奮するとここが……」
そこを軽く噛んでみた。
「———っ! あ、当たり前でしょ! 好きな人が優しく舐めてくれるから! そうならない方がおかしいと思うけどぉ。はあ……」
「そうなんだ……」
息が荒い。
それから花美が気持ちよくなるように体のあちこちを触ったり舐めたりしていた。
でも、なぜかだんだん苦しくなる俺だった。
「もういいから……! ナナくん…………」
「あっ……」
どこに隠していたのか分からないけど、花美が俺にゴムを見せてくれた。
そのまま優しくゴムをつけてくれる彼女に、じっと目を閉じる。
あ、やばい。
「一度もナナくんのことを忘れたことないよ。ずっとこうなりたかった。でも、私がこんなことを言ったらナナくんが嫌がるかもしれないから、ずっと我慢していたよ。ずっとナナくんと一つになりたかった……」
「お、俺も……そうだよ」
「嬉しい。大好き……、ナナくん。私はナナくんのすべてを受け入れるから、心配しないで。私たちずっと一緒だよ?」
「うん、一緒だよ。花美」
前に一度だけ花美が俺の体に乗っかって寸前まで行ったけど、その時と違う。
温かいっていうか、言葉で表せないその感覚がすごくやばかった。前と全然違って、我慢できない。なのに、止められない。バカみたいだ。本当にバカみたいだ。
頭の中が真っ白になる。
「ナナくん……、ナナくん、ナナくん!!!」
「花美……」
そしてキスをした。
ここで何をすればいいのか分からない、すべてを本能に任せたような気がする。
そのまま花美を感じたい、それだけ。
「ぎゅっとしてぇ♡」
「…………」
「うっ———!!! す、好きって……言って!」
「好きだよ、花美……」
「うん♡」
客室の中で響くエロい声、俺はずっと我慢していた欲求を出してしまった。
全部出したような気がする。
そして花美が笑みを浮かべた。
「ナナくんに食べられるのも……、気持ちいいね♡」
「俺……、ちゃんとやった?」
「うん……。ちゃんとやったよ? すっごく気持ちよかった♡ ナナくんのめっちゃ気持ちよかったよ。ふふっ♡」
「よかったな……。すごく緊張していたけど、よかった……」
花美の体を抱きしめて目を閉じる。
今夜はこの温もりを感じながら幸せな夢を見たい。
「ナナくん? 寝るの?」
「寝ないのか……? 花美は」
「私、またやりたいけどぉ……」
「えっ?」
そしてコンビニで買ってきたゴムを思い出す。
まさか……。
「今日は……寝かせないからね?」
そう言いながら俺の指に何かをはめた。
「うん? こ、これは……?」
「これは私がナナくんを束縛するために買った指輪だよ」
「えっ? 指輪?」
「そう。実はナナくんの誕生日プレゼントであげようとしたけど、実家に行ってしまったから」
「そ、そうか」
指輪……。あの花美に指輪をもらうなんて。
そのままじっと俺の指を見つめていた。
「あ、ありがとう! 花美」
「それ外したら絶対容赦しないからね? ナナくん」
「あっ、うん……」
「ふふっ♡ これから死ぬまで私の物だよ。ナナくんは……」
「それはちょっと怖いね」
「嫌なの?」
「いや、ずっと一緒だから。嬉しいよ」
「そうだよね? ふふっ」
ニコニコしている花美を見て、俺も笑いが出てしまう。
誰かにプレゼントをもらうのは初めてだったから……。
もちろん今朝美波さんにゴムをもらったけど、それをもらったって言ってもいいのかよく分からない。ただからかわれただけだよな、あれは。
そんなことよりさっきからあそこを触ってるような気がするけど……、花美。
「何してるんだ? 花美」
「何してるって。ほら! 元気になったからやらないと!」
「えっ?」
「ギンギンじゃん! ふふっ♡ 可愛い……♡」
「えっと、寝ないの?」
「今日は寝かせないって言ったでしょ? そんなの予定にない!」
そう言いながらすぐ俺をベッドに倒した。
「今度は私がナナくんを食べたい……! ナナくんは私の物だから」
どうやら、俺たちの夜はまだ終わってないような気がする。
そのまま花美の中に入ってしまった。
「気持ちいい……。好きだよ♡ ナナくん」
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