第3話
自分の思考をまとめてみる。
なんだよ時が止まってるって?
え、なにこれ。
この町だけが異常なの?それとも世界中が…?
いけない。私ちょっと動揺してるかも。
「おーい?聞いてる?え、泣いてる?いや、え?俺そんなひどいこと言った?」
「あーごめ…」
「あっ、もしかして俺のスピーチに感極まっちゃった?」
………
「一生狼狽えてろよ…」
「えぇ!?」
んん、と咳払いをしたのはルイ。
「ま、俺の話はこんなもんだよ。ところでさ、お前のことも教えてくれないか?なんでこんなとこで寝てた?なんでお前は普通に動けてる?」
「なんでなんでって…そんなに言われても?」
なんではこっちのセリフだよ。質問攻めする男はモテないぞ。
でも正直、「なぜかは知らないけど、自分以外にも普通に動いている人間」が今の私にとって必要な存在であることは間違いない。
私の現状、あまりにも理解不能なことが多すぎる。
…しょーがない、名前くらいは名乗ってやるか。
「私、陽菜。なんでこんなとこで倒れてたのかはわかんない。もちろん、なんで世界がこんなことになってるのかも。あと、私は倒れてただけで寝てはない。断じて」
ルイの顔をちらちら見てみる。がっかりされるかと思っていたが、彼の表情は当然だというような、どこか達観しているような印象すら受けた。
「あっ、そうだ」
私は唯一伝えていなかった情報を思い出す。
「あんたたしか17歳って言ってた…よね?だったら私と同級生じゃん」
「うそぉ…だぁ…」
ルイの目がぐいと見開かれる。
え?そんなに驚くこと?
「何に驚いてるのか知らないけど…私は見た目通り見目麗しきJK様だよ?っていうかそうだよ、私、制服着てんじゃん」
制服の胸に縫い付けられた校章を指さす。
恐る恐るというようにルイが口を開いた。
「お前…中学生とか…そのくらいじゃなかったのか…」
…
「ん?」
「いやだって…背もちっちゃいし…お子様サイズだし…」
おい、胸の校章をまじまじと見た理由を教えていただこうか。学校の名前を確認してんだよな?そうだよな?
「そうか…こんな高校生もいるのか…世界は広いな…」
「あっ、そうか!陽菜お前、さては世界と一緒に体の成長も止まってんな?」
…こいつ、止まらねえな。
「あーでも、いうて精神年齢も見た目通りかもな…」
数分前の私へ。
「今の私にとって必要な存在であることは間違いない。」だっけ?
それ、勘違いですよ。
あと、私はこいつを持てるだけの力すべてをもってぶん殴るということが今正式に決定しました。
「なぁ、ごめんって…」
「この世界を解決する手段になるかもって思ちゃっただけなんだよ」
ふーん。
「で?ほんとは?」
「年下はなぁ…どうせなら年上のお姉さんがよかったな…とか…」
こいつ、まだ懲りてなかったか。
「でもな…!でも」
あん?言い訳か?
「今は、中学生ではないなって思ってるぞ!」
「あっそうなの?」
なら…まぁ…許してやっても?
「おう!小学生の線も浮かんできたな!」
…
私、なにか凶器になるもの持ってなかったっけ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます